畠中恵 『うそうそ』&『ちんぷんかんぷん』2012/02/18



一太郎、湯治へ行くの巻。
身体が弱く、すぐ熱をだしてしまう一太郎。
兄やたちが反対するので、なかなか外へ出してもらえず、くさっているとお母様が湯治に行くことを提案してくれます。(たぶんお母様よね)
兄やと兄の松之助と共に箱根の湯治場へ行くことになります。喜ぶ一太郎ですが、兄やたちは嫌々一太郎を船に乗せ、箱根へと向かいます。
しかし、何やら兄やたちの様子がおかしいのです。
船から降り、籠で箱根の湯治場へと行くというのに、兄やたちが見当たりません。
仕方なく、松之助と二人で湯治場へと向かうのですが、人さらい、天狗、幼い女の子・・・と色々と現れ、一太郎は誘拐の危機。



今回は短編集。
色々な謎が解けておもしろいです。
まず、「蝦夷地にまで噂が届くほどにひ弱」な一太郎が死にかける話。
なんと三途の川に行ってしまうのです。
さて、無事に帰って来られるでしょうか。といいたいところですが、死んでしまうとシリーズが終わってしまいますから、戻るのですが・・・。

母おたえと父の元手代藤吉のお話ではお父様の優しさがいいですね。おたえが言います。

「あの人と居ると、本当になんの心配もない日々の中にいる心持がするの。一緒になれて良かった」

オー、一回でも言ってみたい。
私なんか(以下略)・・・。

そうそう、三月が近づきました。三月と言えば桜。
楽しみですねぇ。
さくらに寄せる話もいいです。人の命の短さ。一太郎がいつになくしんみりしています。
命は終わりがあるからこそいいのかもしれないと思える話です。

本の中に出てくる広徳寺に行ってみたいと調べてみると、昔は下谷にあり二万坪もの敷地だったのですが、関東大震災後練馬区に移転したようです。