太田愛 『天上の葦』2017/11/01



渋谷駅前の交差点で、老人が空を指さしながら死んだ。
その様子がニュースで流れ、テレビやsnsで話題になった。

興信所を営む鑓水と修司の元に、渋谷の老人、正光秀雄が空に何を見ていたのかを突き止めて欲しいという依頼が舞い込む。
一千万円という報酬のため、修司の反対にもかかわらず借金のある鑓水はその依頼を引き受ける。
一方、刑事の相馬は停職中に、失踪した公安警察官、山波の捜索を命じられる。
調べていくと正光と山波に接点があったことがわかる。

鑓水・修司・相馬の三人のシリーズはこれで三作目。
毎回、追いかけられるのがパターンですが、今回は公安から追いかけられ、瀬戸内海の小島まで行ってしまいます。

戦時中の場面が色々と出てきます。
あの時代、国民はどのように戦争へと導かれていったのか。
今、私たちは同じ轍を踏んではいないのか。
小さな火を小さいうちに消さなければ、その火はいつか大きな火になってしまう。
なんかきな臭い今、考えていかなければなりませんね。

前回同様、物語が上手く一つに収斂していくのがすごいです。

大田黒公園へ行く2017/11/02

今日も用事があり出かけました。
晴れていたので、イチョウの様子を見に大田黒公園へ行ってみました。


イチョウはまだまだ緑色です。
今月末にならないと色づかないかもしれませんね。

ここも知られるようになったのか、ゾロゾロと高齢の女性が歩いていました。
集団で来たのかもしれませんね。


少し色づく木があります。



いつもはおしどりの鴨がいるのですが、見当たりません。


「紅葉ライトアップ」は11月24日から12月3日までです。
平日は日没から午後8時まで、土日は日没から午後9時まで行っています。
金曜日から日曜日にはいつもは上がれない茶室で抹茶と和菓子をいただけるようです。

綺麗に色づくといいですね。

近藤史恵 『ときどき旅に出るカフェ』2017/11/03

兄犬がこの頃元気がありません。
寒いのかと薄いセーターを着せ、一日中かまってやると元気になりました。
弟がアピールをしてうるさいんので、自分にママの目を向けるための詐病かとも思います。
手のかかる犬たちです。



カフェでまったりするということのできない私です。
どちらかというと家でのんびりすることの方が好きです。
だって寝れるもの(笑)。
コンセプトが旅というカフェはいいですね。
そこに行くと旅に出ているような気になるなんて、この頃、旅に出られない私にはこんなカフェが欲しいです。

30代独身の瑛子はマンションの近くで「カフェ・ルーズ」というよさげなカフェを見つけます。
入ってみると、なんと店主が元同僚の円でした。
彼女が仕事を辞めてカフェを開きたいと言った時にうまくいかないからと止めたことを瑛子は思い出しましたが、円はそのことを気にしていないらしく、瑛子を見てとても嬉しそうでした。
それから瑛子はカフェの常連になります。
円の作る料理やお菓子は彼女が旅先で出会ったもので、食べた人まで旅に出た気にさせるようなものでした。

しかし、このカフェに時には雰囲気をぶち壊すような人も来ます。
円はそういう人に対して毅然とした態度で臨みます。
カフェを経営しようと思った円の心意気がいいですね。

近藤さんの描くものには、ちょっとした悪意を持った人が出てきますよね。
そういう人の描き方がうまいです。
日常に潜む謎を描いた、軽い読み物です。

ツップフクーヘンとかドボシュトルタって美味しいのかしら?
ツップクーヘンはドイツのお菓子らしいけれど、どこに行ったら食べられるのかしら?
ドボシュトルタは北青山の「ジェルボー」で食べられるみたいです。
今度行ってみようかしら。
食の世界は広いですね。

西村健 『バスを待つ男』2017/11/04



兄犬は元気になりましたが、心配なので、トリミングは弟犬だけ行きました。
弟は小さい時は寒がりだったのに、今は全く寒がらず元気です。


顔はかわいいのですが、行動がいつまでたってもやんちゃです。



年を取ると、何か趣味があった方がいいといいますが、どうでしょう。

この本の主人公は70代の元刑事の炭野。
妻が家で料理教室という名のおしゃべり会を週一回開くので、家にいられず、妻に勧められしぶしぶ一年間、約2万円もするシルバーパスを買ってバスに乗り、東京都内の様々な場所に行くことにします。
私には知っている場所が多かったので、こういう所もバスで行けるのかというおもしろさがありました。
あ、東京に住んでいない人(もしくは住んだことのない人)には全くおもしろくないかもしれませんね。

同じ趣味の男性とひょんなことで知り合い、元同僚ともばったり会い、バス友になった男三人がバスに乗って様々なところに行き、降りた先で酒を飲みかわしている様子が微笑ましいです。

炭野の奥様が賢くて、びっくりです。
一応バスで行った先の日常の謎を解くというミステリですが、旦那たちが解けなかった謎を奥様が簡単に解いてしまうのです。
元刑事の旦那よりも推理がさえているなんて、そんなことあるのと言いたくなります。
ひょっとして、刑事の旦那の代わりに事件を解決してたりして、笑。

とにかくバスに乗りたくなるお話です。

犬も老いる・・・2017/11/05



いつもは二匹で散歩をしていたのだけれど、兄が具合が悪そうだから一匹ずつにしてみました。
そうすると、ヨーキーの3歳弟は最初から走る気満々。
いつまでたってもグイグイ歩きます。
見ている人が「元気な犬ね」と言うぐらい力強い歩きです。
ところが5歳の兄は、いつのまにか静かに歩くようになっていました。
兄もグイグイとリードを引っ張って歩いていたのに、いつのまに・・・(悲)。
犬の5歳は人間でいうと36歳、3歳は28歳らしいけれど、こんなに違うものなのかしら?
犬もいつのまにか老いていたのね。
後何年かしたら私の年齢を追い越してしまいます。
そう思うとちょっと悲しくなってしまいました。


この写真では兄の方が幼く見えるのにね(笑)。

大倉崇裕 『オチケン、ピンチ!』&『オチケン探偵の事件簿』2017/11/06



東京目白にある学同院大学に入学したばかりのオチケンこと越智健一のピンチは続く。
相変わらず先輩2人に翻弄され、どこかのクラブのピンチの調査に駆り出され、仕舞には学生部の土屋に目をつけられてしまいます。
このままいくと無事に卒業できるのか・・・心配です。
この大学、変わっていて、始末書三枚で退学なんだそうです。
あ、変わっていないか、始末書なんて普通の大学生は書かないものね。

三作目は表紙が変わっていました。


一番最初に歩いているのは、落語家志望の岸弥一郎、二番目は岸の落語に惚れている、武道がメチャ強い中村、そして最後はかわいそうなお人よしの越智健一ですね。

夏休みだというのに、何故か大学に出てきているオチケン。
部屋にはクーラーがなく、扇風機を買おうとお金を持っていたら、カンパだと取られてしまい、そのせいで暑くて部屋にはいられず、結局、大学にまた来てしまいます。
変な時に大学にいるので、今度は水泳部と水球部の抗争に巻き込まれてしまいます。
夏休みの宿題をやりたいのにやれず、新しい学長にも目をつけられたようです。

三冊も出ているのに、まだ夏休みということは、四年間を描くのに何冊必要なのか・・・。
まあ、落語のネタは沢山あるからいいか。
越智は中村に落語家になるんでしょうと言われ続け、否定していますが、そのうち本当になりそうですね。
越智の運命はいかに・・・(笑)。

梶よう子 『花しぐれ 御薬園同心水上草介』2017/11/09



小石川御薬園で働く水上草介のシリーズも三作目。
水草のようにひょろひょろした体形で、植物と接していれば幸せで、何を考えているのかはた目からはわからない草介です。
彼は二作目で医学の勉強をするために二年後に旅立つことが決まりました。
そういうわけで、彼の母がお見合い話を持ってきます。
誰かいないのか、いないならこの釣書からいい人を選びなさいと言われるのですが、心の中に千歳の顔が浮かびはしても、はっきりと言えない草介です。
なさけないわね。

そんな頃、小石川養生所に漢方蘭方融合の施術を行うのを快く思わない目付役人鳥居が現れ、蘭方医川島と共に草介は彼に対抗し、今までにない働きをします。
そして、もろもろの事情で早く旅立つことになる草介。
きちんと思いを告げられるのか・・・。

残念ながらこのシリーズはこれでお仕舞です。
しばらくしてから医学の勉強をしている草介の姿を描いてくださると嬉しいのですが。

誉田哲也 『増山超能力師大戦争』2017/11/10



兄犬は復活しました。
昨日の散歩はいつも通りにグイグイいきました。
(これじゃ躾がダメじゃんと怒られそうですが)
先週は具合が悪かったようです。
よかったです。老化かと心配しちゃいました。



超能力師たちが集まってドンパチ、技の掛け合いで大混乱が起こるのかと思ったら、たいしたことなかったです。
題名に嘘有!
大戦争は次回持ち越しのようです(笑)。
買って読まなくてよかったわぁ。

超能力関連の最先端技術開発に関わっている人物が行方不明になりました。
妻が一級超能力師の増山の事務所に調査を依頼してきます。
調査を始めると、産業スパイの存在がわかってきますが・・・。

新しいキャラが出てきましたが、三作目は彼女が鍵を握りそうですね。
次回こそ超能力師同士の闘いになりそう。
どう展開させるのかしら?

兄犬のトリミング2017/11/11

先週、元気のなかった兄が元気になったのでトリミングに行ってきました。
まだ寒くないと、犬のいるリビングに暖房を入れずにいたためか鼻がつまってプスプス言っているので、人間でいう風邪だったのでしょうか?
犬用のお年玉でもらった薄いウールの服を着せています。


赤い服は外用。
トリミングが嫌いなはずなのに、今日はお店に自分から入ろうとしました。


ボーロを見せると、ペロリと舌を出します。


お座りと言うと、伏せをします。

この頃、毎夜、毎夜、4時頃になると目を覚まし、甘え声を出して鳴きます。
ママはその声で目を覚ましてしまい、寝不足です。
昼寝を一緒にするようになってから、一緒に寝たがります。
躾の本には鳴こうがわめこうがしらんぷりをすることと書いてありますから無視します。

一緒に寝ると、お尻を人間の頭の方にして、身体をくっつけてくるのが可愛いんです。
私の腕に頭をのせて寝ている姿に癒されます。

赤ちゃんの寝姿もいいのですが、犬もいいですよ。
犬は永遠に2歳ですから。

谷村志穂 『移植医たち』2017/11/12



1985年、アメリカに三人の医師が最先端の医療を学ぶために旅立ちました。
彼らはピッツパーク大学のセイゲルの講演を聞き、彼の熱意に打たれ、彼の元で臓器移植を学びたいと思ったのでした。
日本では札幌で心臓移植が行われて以来、臓器移植はタブーとなっていました。
セイゲルは意欲的に臓器移植を行っていました。
医師たちは動物実験でデータを集め、手技を向上させ、移植後に起こる拒絶反応を抑えるための免疫抑制剤の開発をしていました。
久南大の佐竹山はセイゲルの手足となって奮闘し、全臓器移植を成し遂げ、セイゲルの後継者とまで言われるぐらいになるのですが、移植医療構築のために日本へ戻るという選択をします。
しかし、日本では移植はなかなか受け入れられません。

日本はまだまだ移植医療は後進国ですよね。
脳死という概念がまだ受け入れられないのです。
本の中にも出てきましたが、脳死ではまだ心臓が動いているので、人は生きているように見えるのです。
ドナーがなかなかでなくて、移植はできない状態ではないでしょうか。

死んだ人の臓器をもらい生き続けることはどうなんだろうとも思います。
医師たちが患者を助けようとする気持ちには感動しますが、移植は神の領域に踏み込んでしまうような気もします。

医療小説としてもおもしろいと思うのでお勧めします。
動物実験反対の人は読まない方がいいかも(笑)。