青木 新門 『納棺夫日記』2009/03/10

アカデミー賞を取った「おくりびと」の原作ということで、買って読んでみました。
「おくりびと」はまだ見ていません。
私のまたまた勘違いです。
日記というからには、その日、その日に出会った人々とのことが書いてあるんだと思ったのです。でも違いました。
死についての、納棺夫の雑感というものでしょうか。
この本に感動したという本木正弘さんを私は尊敬します。
でも、ごめんなさい。私、こういう本、苦手かも。
死を哲学的に取り扱ったからわかんないというんじゃなく、期待と違っていたため、なんか心が拒否ってます。
もちろんなるほどと思うところもありました。
例えば、火葬場や葬儀屋、僧侶たちと会って気づいたことです。

「死というものと常に向かいあっていながら、死から目をそらして仕事をしているのである。
自分の職業を卑下し、携わっているそのことに劣等感を抱きながら、金だけにこだわる姿勢からは、職業の社会的地位など望むべきもない。それでいて、社会から白い目で見られることを社会の所為にし、社会を恨んだりしている。
己の携わっている仕事の本質から目をそらし、その仕事が成ったり、人から信頼される職業となるはずがない。
嫌な仕事だが金になるから、という発想が原点であるかぎり、どのような仕事であれ世間から軽蔑され続けるであろう。」

この頃仏教やキリスト教が日本に根付き発展しつつある頃のことを読む機会が増えています。
その頃と比べ、現代は宗教が力をなくしています。
宗教だけではなく、医療も死から目をそらすことが当たり前のようになっています。
もっと死と生が共存してもいいように思います。

この本がどういう風に映画になるのか、ちょっと興味があります。