堤 未果 『ルポ 貧困大国アメリカ Ⅱ』 ― 2010/05/17
今日は懐かしい人から電話があり、ハッピーになりました。元気で頑張っている様子に一安心しました。
さて、『ルポ 貧困大国アメリカ』に続く本が出ていました。とりあえず、感想というより、覚書みたいになります。ちょっと表現が変なところがあるかもしれませんが。
「第1章 公教育が借金地獄に変る」
アメリカと言えば、奨学金がしっかりしているので、バイトをしながら、どんな人でも大学に通えるようになっていると思っていました。しかし、それはもはや過去のことだったのです。
学生は学位を取るために、無理をしてローンを組んで大学に行きます。簡単にローンを組めるようになっているからです。
しかし、無理をして入った大学教育はビジネス化しており、株式会社が経営するものが多く、学費が高い上に、経費削減のため、いい教育を行っているとは言えません。その上、「学位さえあれば望む仕事につける」は幻想で、大学を出てもろくな仕事がない場合が多いのです。
学費ローンはサリーメイという企業の独占のような状態です。学生は大学を出さえすれば、明るい未来が待っていると、よく考えもせずに、サリーメイから借金をします。そうすると、どうなるか。
学費ローンは住宅ローンやカードローンのように消費者保護法の適用がないのです。ということは、借り手が自己破産した場合の借金残高免責もないし、利子の低いローンへの借り換えもできないし、経済的困難に陥ったからといって、支払いの猶予期間の申請もできないのです。
不良債権化したローンは、執拗な取立てが始まり、借り手が死亡しても借金取りが追いかけてくるのです。
これではアメリカの若者に未来はありません。
さて、『ルポ 貧困大国アメリカ』に続く本が出ていました。とりあえず、感想というより、覚書みたいになります。ちょっと表現が変なところがあるかもしれませんが。
「第1章 公教育が借金地獄に変る」
アメリカと言えば、奨学金がしっかりしているので、バイトをしながら、どんな人でも大学に通えるようになっていると思っていました。しかし、それはもはや過去のことだったのです。
学生は学位を取るために、無理をしてローンを組んで大学に行きます。簡単にローンを組めるようになっているからです。
しかし、無理をして入った大学教育はビジネス化しており、株式会社が経営するものが多く、学費が高い上に、経費削減のため、いい教育を行っているとは言えません。その上、「学位さえあれば望む仕事につける」は幻想で、大学を出てもろくな仕事がない場合が多いのです。
学費ローンはサリーメイという企業の独占のような状態です。学生は大学を出さえすれば、明るい未来が待っていると、よく考えもせずに、サリーメイから借金をします。そうすると、どうなるか。
学費ローンは住宅ローンやカードローンのように消費者保護法の適用がないのです。ということは、借り手が自己破産した場合の借金残高免責もないし、利子の低いローンへの借り換えもできないし、経済的困難に陥ったからといって、支払いの猶予期間の申請もできないのです。
不良債権化したローンは、執拗な取立てが始まり、借り手が死亡しても借金取りが追いかけてくるのです。
これではアメリカの若者に未来はありません。
「第2章 崩壊する社会保障が高齢者と若者を襲う」
アメリカの2009年5月の失業率は9.4%。10月は10%を超えています。
アメリカの年金制度を見ると企業年金が多いようですし、企業年金が拡大していると言います。
例えばGM。GMに就職すると、生涯無料の医療保険と年金がついてくると言われていました。ところが、年金制度の改革をしなかったため、年金基金が破綻し、医療保険はなくなり、年金も大幅に減少することになってしまいました。そのため、退職しても働かなければ暮らしていけないという状態になった退職者がたくさんいます。
アメリカン人の貯蓄率は低いと言われています。何故でしょう?
アメリカ人は将来の貯金より株に投資したり、現役時代を楽しむという「消費至上のライフスタイル」を選んでいるからです。
このことが、年金制度が破綻した時に、どうしようもない状態を招いていると言ってもいいかもしれません。
「第3章 医療改革VS医産複合体」
オバマ政権が単一支払い皆保険制度を行うと公約では言っていたのですが、現在は「公的保険+民間保険」か「既存のまま民間保険のみ」のどちらかにするということになりました。
何故アメリカでは日本のような皆保険制度ができないのでしょうか?
保険会社が国民の感情と無知を利用し、ネガティブCMを流し、単一支払い皆保険制度になると、大変なことになると、反対を唱えたせいだと言われています。
ようするに単一支払い皆保険制度になると、保険会社が儲かんなくなるのです。
「ER」を見ていると、とうていお金を払えないような人も診察されています。不思議に思っていたのですが、その謎が解けました。
アメリカンでは法律でERだけは無保険でも患者の受け入れ拒否ができないとなっているのです。
アメリカでは病院も株式会社化しているため、ERを置くと経営が苦しくなるので、ERを閉鎖するようになっているようです。
第2章で学生の学資ローン返却が大変だということを書きましたが、医学部の学費ローンが高額になっているため、収入の多い専門医を目指す学生が7割だそうです。このためプライマリケア医師(家庭医や小児科医、内科医)が不足しているそうです。
ライマリケア医師が不足すると、医師の過剰労働が起り、医師たちが過労死しないために診察を止めるか、診察時間を数分にするか、その前に赤字で廃業するかになってしまいます。
医療費の高騰により、新ビジネスが流行っているそうです。その名は「コンビニ・クリニック」。大手薬局チェーンが看護師資格を持つ人を雇い、待ち時間なしで薬を売るというものです。この弊害として、ERに運び込まれる、親に過剰に薬を飲まされた5歳以下の幼児が増えているそうです。
今のアメリカの医療現場は効率主義に陥っており、「患者と医師の間のつながりや医師の中に存在するはずの誇り、充実感など」がなくなっています。
「第4章 刑務所という名の巨大労働市場」
日本では刑務所というと国営ですよね。ところがアメリカは国営と民営の2つがあります。
本来刑務所では社会復帰させるための職業訓練や教育を行っていましたが、コスト削減のため、「官から民へ」となってきました。
コスト削減になると、何が削られるかというと、職業訓練費や教育費です。そのため技術も教育もなく、訴訟費用などの借金がある若者を出所させることになり、再犯Uターン率が上がります。
刑務所ビジネスというものがあります。受刑者の時給が最安価で対応丁寧、サービスが早く、雇用保険は要らないし、文句を言わない、ストもやらないということで、刑務所がローリスク・ハイリターンの投資信託になっているのです。
アメリカの総人口は世界の5%なのに、囚人数は世界の25%だそうです。
なんでこんなに囚人が多いのでしょう。実は凶悪犯はそんなに多くないのです。 囚人が多いと得をするのは誰か? 企業ですよね。
「エピローグ」
今や、たくさんのアメリカ市民が動き始めたそうです。党派にかかわらず、おかしいと声をあげ続ける議員、こどもたちのためにもう一度同じものを目指そうと手を差し伸ばす教師たち、いのちの商品化を止めようと議会に乗り込んでいく医師たち、政治世界に自ら参加し始めた若者達、真実を届けようと身体を張るジャーナリストやNGO・・・。
この本を読んでいると、アメリカはもはや日本が見習うべき国ではなくなりましたね。アメリカの轍を踏まないように、私達は冷静に状況を判断し、日本をいい方向へ動かしていくようにしなければと、つくづく思いました。
アメリカの2009年5月の失業率は9.4%。10月は10%を超えています。
アメリカの年金制度を見ると企業年金が多いようですし、企業年金が拡大していると言います。
例えばGM。GMに就職すると、生涯無料の医療保険と年金がついてくると言われていました。ところが、年金制度の改革をしなかったため、年金基金が破綻し、医療保険はなくなり、年金も大幅に減少することになってしまいました。そのため、退職しても働かなければ暮らしていけないという状態になった退職者がたくさんいます。
アメリカン人の貯蓄率は低いと言われています。何故でしょう?
アメリカ人は将来の貯金より株に投資したり、現役時代を楽しむという「消費至上のライフスタイル」を選んでいるからです。
このことが、年金制度が破綻した時に、どうしようもない状態を招いていると言ってもいいかもしれません。
「第3章 医療改革VS医産複合体」
オバマ政権が単一支払い皆保険制度を行うと公約では言っていたのですが、現在は「公的保険+民間保険」か「既存のまま民間保険のみ」のどちらかにするということになりました。
何故アメリカでは日本のような皆保険制度ができないのでしょうか?
保険会社が国民の感情と無知を利用し、ネガティブCMを流し、単一支払い皆保険制度になると、大変なことになると、反対を唱えたせいだと言われています。
ようするに単一支払い皆保険制度になると、保険会社が儲かんなくなるのです。
「ER」を見ていると、とうていお金を払えないような人も診察されています。不思議に思っていたのですが、その謎が解けました。
アメリカンでは法律でERだけは無保険でも患者の受け入れ拒否ができないとなっているのです。
アメリカでは病院も株式会社化しているため、ERを置くと経営が苦しくなるので、ERを閉鎖するようになっているようです。
第2章で学生の学資ローン返却が大変だということを書きましたが、医学部の学費ローンが高額になっているため、収入の多い専門医を目指す学生が7割だそうです。このためプライマリケア医師(家庭医や小児科医、内科医)が不足しているそうです。
ライマリケア医師が不足すると、医師の過剰労働が起り、医師たちが過労死しないために診察を止めるか、診察時間を数分にするか、その前に赤字で廃業するかになってしまいます。
医療費の高騰により、新ビジネスが流行っているそうです。その名は「コンビニ・クリニック」。大手薬局チェーンが看護師資格を持つ人を雇い、待ち時間なしで薬を売るというものです。この弊害として、ERに運び込まれる、親に過剰に薬を飲まされた5歳以下の幼児が増えているそうです。
今のアメリカの医療現場は効率主義に陥っており、「患者と医師の間のつながりや医師の中に存在するはずの誇り、充実感など」がなくなっています。
「第4章 刑務所という名の巨大労働市場」
日本では刑務所というと国営ですよね。ところがアメリカは国営と民営の2つがあります。
本来刑務所では社会復帰させるための職業訓練や教育を行っていましたが、コスト削減のため、「官から民へ」となってきました。
コスト削減になると、何が削られるかというと、職業訓練費や教育費です。そのため技術も教育もなく、訴訟費用などの借金がある若者を出所させることになり、再犯Uターン率が上がります。
刑務所ビジネスというものがあります。受刑者の時給が最安価で対応丁寧、サービスが早く、雇用保険は要らないし、文句を言わない、ストもやらないということで、刑務所がローリスク・ハイリターンの投資信託になっているのです。
アメリカの総人口は世界の5%なのに、囚人数は世界の25%だそうです。
なんでこんなに囚人が多いのでしょう。実は凶悪犯はそんなに多くないのです。 囚人が多いと得をするのは誰か? 企業ですよね。
「エピローグ」
今や、たくさんのアメリカ市民が動き始めたそうです。党派にかかわらず、おかしいと声をあげ続ける議員、こどもたちのためにもう一度同じものを目指そうと手を差し伸ばす教師たち、いのちの商品化を止めようと議会に乗り込んでいく医師たち、政治世界に自ら参加し始めた若者達、真実を届けようと身体を張るジャーナリストやNGO・・・。
この本を読んでいると、アメリカはもはや日本が見習うべき国ではなくなりましたね。アメリカの轍を踏まないように、私達は冷静に状況を判断し、日本をいい方向へ動かしていくようにしなければと、つくづく思いました。
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