「カポディモンテ美術館展」@国立西洋美術館2010/07/28

まだイタリアに行ったことのない私は、カポディモンテ美術館のことは知りませんでした。ナポリの公園内の丘の上にある美術館のようです。1738年にブルボン家のカルロ7世(スペイン王カルロス3世)によって建てられた宮殿が美術館になっているというので、ナポリに行ったら是非宮殿内を見てみたいですね。
あまり有名な絵がないので、この頃美術展に一緒に行く友人に行かないかというと、断られてしまいました。有名な絵がないわりに(失礼)、平日だというのに結構人が入っていました。
私の好きな絵と気になった絵を載せてみますね。
 
Ⅰ・イタリアのルネサンス・バロック美術
 
            1535-37年 パルミジャニーノ
            「貴婦人の肖像(アンテア)」

この絵は美術展のポスターに使われているので、誰でも見たことがあるでしょう。この女性は解説によると、高級娼婦か花嫁という風に言われているそうです。でも、この2つの間にはそうとうな隔たりがあるような気がします。始めは娼婦だった人が結婚したのかと思ってしまいました。
キッと見つめる目がとっても印象的です。本当に娼婦だったら、結構気位が高そう。だから高級なんでしょうかね。
右側をぐっと前に突き出しているようですが、よくよく見ると顔に比べると肩幅が広過ぎ、身体も太いような。
それでも素敵な絵です。
 
            1570-72年 エル・グレコ 
           「燃え木でロウソクを灯す少年」

エル・グレコの絵は宗教画しか見たことがありません。展示されているこの絵を見て、有名な絵描きはどんな絵を描いても上手いのだという当たり前のことを思いました。実際の絵では、ロウソクの光が少年の顔と服に当たりできる陰影がもっとリアルです。
 
「毛深いアッリーゴ、狂ったピエロと小さなアモン」という絵の解説を読んで唖然としました。絵の左側に小人、中央に毛深い人、右側にピエロがいます。彼らと一緒に犬や鳥が描かれています。この絵が描かれた頃、彼らのような奇形の人間(毛深いのもそうなんですねぇ)などは動物と同じ自然に近いものと考えられていたそうです。ちょっとね・・・。

工芸品も展示されていました。その中で、記憶が確かではないのですが、アダム・レンクハルトの「ネプトゥヌス」はとっても小さな像ですが、男性の腕の血管や胸の筋肉などとっても細かく彫られていました。

Ⅱ・素描
美術館には約2500点もの素描が収蔵されているようです。今回はその中から14点展示されています。

Ⅲ・ナポリのバロック絵画

        1641-45年 フランチェスコ・グアリーノ
               「聖アガタ」
 
一見すると、なんとも妙齢な女性で色っぽいともいえるような表情です。しかし、胸に血が・・・。聖アガタとは一体どういう人なのでしょうか。
アガタは3世紀にシシリアに生まれた、処女の誓いをたてた敬虔なキリスト教徒でした。美しい娘だったので、当時のローマ総督に求婚され、それを断ったため捕らえられ、拷問され、両方の乳房を切り取られたそうです。よく描かれているのはお盆に両方の切り取られた乳房を持っている姿です。今回のは乳房を切り取られた後に毅然として、たぶん乳房を切った兵士を睨んでいるアガタです。もしかしたら神に自分の乳房を捧げ、恍惚としている姿かもしれません。

宗教画を見ていると法悦を描いたものがあります。法悦とは、「神の神髄に触れることで湧き起こる至上の喜び」ということですが、絵画を見るとエロチックな感情と紙一重に思えるのですが、考えすぎですかね。

15-17世紀の絵画を見ることが多いのですが、見るほどに神話や宗教的素養の必要性を感じています。そのことを理解していないと、作品を深く理解できないような気がするからです。
そうは言いながら、何もせずに終わってしまい、またこういう絵画を見ると勉強しなきゃと思うことの繰り返しです。困ったもんです。