姜 尚中 『母―オモニ―』 ― 2010/09/08

姜さんの両親は韓国から日本に渡ってきた人たちです。
お母様はお父様と結婚するために16歳で日本にやってきます。彼らが新婚生活を過ごしたのは東京の巣鴨で、父は軍需工場で働いていました。
戦争が激化し、空襲を避けるために尾張に疎開します。
そこで長男春男が生まれますが、1歳にもならないかで亡くなってしまいます。
その後、弟の大成(テンソ)を頼り、熊本まで行くことになります。
その後、弟の大成(テンソ)を頼り、熊本まで行くことになります。
大成は秀才と言われた人で、戦中は憲兵をやって羽振りがよかったのですが、戦後、憲兵をやっていたことが裏目にでて、妻子を置いて大陸へ帰っていきます。
一方、姜さんの両親は熊本に腰を落ち着け、始めは母が行商をしながらなんとか食いつないでいき、しばらくしてからは廃品回収業を始め、なんとか暮らしていけるようになります。
戦中から戦後にかけて、どんな人でも苦労をしたといいますが、在日であるということが、どれほどのものかは、私の想像のできないことです。
戦中から戦後にかけて、どんな人でも苦労をしたといいますが、在日であるということが、どれほどのものかは、私の想像のできないことです。
これは姜さんの亡くなった母にあてたラブレターでもあります。
豊かになった日本で、もはや忘れさられようとしていることを、母に対する思いと共に鮮やかに書き出してあります。
豊かになった日本で、もはや忘れさられようとしていることを、母に対する思いと共に鮮やかに書き出してあります。
私達の今の豊かさが、どのような人たちの犠牲の上でなりたっているのかを知るという意味において、読んでおきたい本です。
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