三上 延 『ビブリア古書堂の事件手帖』2011/05/05



この本、買う時に躊躇してしまいました。だって表紙の絵が、あまりにも漫画チックで・・・。
読んでみると、大人でも十分読める内容でした。

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」が舞台です。

五浦大輔は、本が読めない体質(ってあるのかしら?)でした。これには理由があります。幼い時、祖母から祖母の部屋の本には触らないようにと言われていたのに、魔が差したというのでしょうか、ふと手に取り見ていると、祖母に見つかり、びんたを二発くらったのです。
それ以来大輔は活字が苦手になったのです。

祖母も昨年亡くなり、大輔は就職も決まらず、ブラブラしていました。
そろそろ一周忌なので、祖母の残していった本を整理していた時に、大輔の母がある本を見つけます。

『第八巻 それから』

この本の見返しに「夏目漱石 田中嘉雄様へ」というサインがあったのです。

夏目漱石の全集がどれぐらいの価値があるか知りたいという母の意向を受け、大輔は値札の隅に印刷されていた「ビブリア古書堂」に行ってみることにします。この時、祖母の隠された秘密を知るところとなります。

祖母の古本を持って行ったことから大輔は高校時代の憧れの人に再会し、彼女が入院している間、古本屋の手伝いをすることになります。

大輔の憧れの人が「ビブリア古書堂」店長篠川栞子です。彼女は人見知りがひとくて普段はまともに人とは会話ができないのですが、本に関することでは饒舌になるという変わった人です。
彼女は言うなれば香菜里屋の店長と同じ、少ない情報をもとに謎を解くという謎解きの達人です。
そう、この本は古書にまつわるミステリーなのです。

扱われている本は夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)、小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)、ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)、太宰治『晩年』(砂子屋書房)など全13冊。漱石と太宰以外は知らない本が多いです。

今は大学院生とか研究者、よっぽどの本好き以外は古本屋に行かないのではないでしょうか。私も大学時代以降神保町の古本屋には行っていません。(ウソ、何回か行ったかも)
古本と言えば、昔引っ越す時に本を処分しようとしたら4万円以上になり、びっくりしたことがあります。その時、古本屋のおじさんが山関係の本は高いと言っていましたが、今もそうでしょうか?
今はブックオフがあるので、新しい、古本としての価値のない本は引き取ってもらいますが、文庫本一冊10円ぐらいでしたっけ。意外と映画のDVDが高く売れました。
たまっていく本をどう処分するかが問題です。

この本、シリーズ化するといいでしょうね。ビブリア古書堂栞子さんシリーズなんてね。

鎌倉移住が夢となった今、鎌倉の町を思い描きながら読んでいました。

そういえばこの本の出版社のメディアワークスって有川浩さんの『図書館戦争シリーズ』も出版してましたっけ。
ライトノベルというジャンルを得意としている出版社ですか。ライトノベルというと普通の小説よりも軽い内容を扱っていると思う人がいるかもしれませんが、本は表現や内容が難しいものよりも、読むのが簡単で深い内容のものの方が私は好きです。読書は娯楽ですから。

あ、そうそう、「ビブリア」とはラテン語で「本を愛する人」だそうです。