上田早夕里 『菓子フェスの庭』 ― 2012/01/11

『ラ・パティスリー』の続編。
西富百貨店芦屋支店企画部に勤める武藤隆史は甘いものが大嫌い。
それなのに、部長からスイーツの企画を担当するようにと言われてしまいます。
西宮ガーデンズにある喫茶と販売の店<パレドゥース>で行う期間限定のお菓子フェスティバルの企画です。
どうしようもないので、部長の許可をとり同じ企画部の後輩でお菓子大好き人間の緒方にアドバイスを受けることにします。本音は苦手なスイーツですから、どうやって彼女に手伝って、いいえ、自分がお菓子にタッチせずに、緒方を利用できるかと考えていました。
しかし、そうは問屋が卸さない。
お菓子フェスに参加してもらう菓子店選定のためには、味をチェックしなければならないのです。
胃の調子は最悪。胸焼けは最高潮。
そんな時、<ロワゾ・ドール>で森沢夏織の作った「ウフ・ア・ラ・ネージュ(淡雪)」を食べて、武藤は自分のように甘いものが苦手なお客さまにもおいしく召し上がって頂けるものも出そうと思いつきます。
武藤からの提案を受け入れ、菓子フェスの担当となった夏織はブラン・マンジェの新作を作ることにします。
ブラン・マンジェとは「牛乳をゼラチンで固めただけのシンプルなお菓子」です。
ミルク・プリンとか牛乳ゼリーみたいなものです。
さて、夏織はどういうお菓子を作るのでしょうか。
前作とは違い、内容的にはあまり面白くありません。もちろん、お菓子を作る上での色々な苦労話は興味を持って読めました。しかし、途中から武藤がストーカーじみてきて、面白さも半減してしまいました。お菓子嫌いがたまたま口に合うお菓子に出会ったからといって、そのお菓子を作る人を好きになりますか?
この本の中で一番食べてみたいのが、ドイツ菓子のオペラ・フレッド。
「チョコレートの香りをつけた本格的なコーヒーに、香ばしいクッキーを軽く浸して食べているような印象」
「昼下がり、風通しのいいオープンカフェで、お洒落な雑誌のページをめくりながら一緒に楽しむような――そんな印象のお菓子」
チョコレートとコーヒーのムースを交互にかさねてあり、フランス菓子のチョコレートケーキ、オペラをモデルに、イタリア風に創作したお菓子だそうですが、実際に作っているお店があるのかしら?お店があったら是非食べてみたいです。
この頃の私は美味しいケーキを食べても、あまり感動もなく食べるのですが、美味しくないケーキを食べて、あの時のあのケーキは美味しかったんだとつくづく思うのです。それだけ美味しいケーキのお店が増えたということですね。
美味しいケーキといえば、ギャレット・デ・ロワを食べました。
フランスでは1月6日の東方の三賢人がキリストを神の子として発見したとさせる祝日「公現祭(エピファニー)」に食べるお菓子です。

普通はクレーム・ダマンドゥ(アーモンドクリーム)をパイで包み、焼き上げるのですが、アーモンドクリームのは食べたことがあるので、杏とピスターシュのを頼みました。

サクッとしたパイの食感と杏のすっぱさがきいた、とっても美味しいものでした。
残念だったのは、中に入っていたフェーヴ(陶器の人形)。
この菓子の中にはフェーヴ(そら豆の意味)が入っており、切り分けた時にそれを引き当てた人にその一年幸運が続くと言われているのですが、なんとこんなのでした。

ハロウィーンですかぁ。今は一月ですよ。違うフェーヴはなかったんですかぁ。
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