フェイ・ケラーマン 『新人警官の掟』2012/06/12



ロサンゼルス市警の警部補であるピーター・デッカーと、その妻で正統派ユダヤ教徒であるリナ・ミリアムの活躍するシリーズの最新作です。
しかし、今回の主人公はデッカーの前の結婚でできた娘シンディです。
シンディはアイビーリーグ出身でデッカーの反対を押し切って警官になりました。
ところが、なかなか周りと馴染めません。
彼女の鼻っ柱の強さもありますが、どうしても自分はエリートだという気持ちが出てしまうのです。そのため、同僚や上司のトロッパーに嫌われてしまったようです。
ある日、自分の部屋の中の写真立てが動かされているのに気づきます。
気のせいか、酔っぱらった時に送ってくれたデッカーの部下のスコットが動かしたのかもしれないと思おうとするのですが、それから車で後をつけられたり、部屋を荒らされたりします。
シンディはデッカーたちの心配をよそに、一人でどうにかしようとするのですが、それが裏目になっていきます。

デッカーは一連のカージャック事件の中に毛色の違う事件がまじっているのに気づきます。
その事件で殺された男はシンディと同じスポーツクラブに通っており、シンディとも顔なじみでした。
デッカーたちはシンディから話を聞こうとしますが、なかなか彼女は本当のことを言おうとはしません。その代り、シンディは自分自信で勝手に事件を調べ始めま、そのためにとんでもない破目に陥っていきます。

女が警官になったら、性差別と向き合わなければならないというのは、日本もアメリカも同じなのですね。荒事の多い警察の仕事ですから、女が邪魔になるということもわかりますが、事件の被害者や被疑者に女性もなるのですから、女性の警官も必要です。
それにしても、この本に出てくる新人の女性警官に対するいやがらせはとんでもないものです。日本ではこれほどのことはやらないと思いますが、言っておくべきことを言わないで恥をかかせるとかいうことはありそうですね。

シンディがあまりにもひよっこなので、これからどう成長していくかを見るのも楽しみのひとつになりそうですが、それよりも、私としてはリナとデッカーの二人に活躍してもらいたいものです。特にリナにデッカーのためにどんどん前に出て行って欲しいです。もっともっと大人の女性が活躍してもいいですもの。