山本一力 『たすけ鍼』2012/06/27



表紙では色っぽい女性が背中を見せていますが、全然色っぽい話ではないので、間違って買わないようにしましょうね(笑)。
深川蛤超で鍼灸師を営む六十代の男性、染谷(せんごく)のお話です。
奥さんが粋な「カネにも力にも媚びない」元辰巳芸者です。娘も母親と同じ芸者の道を歩んでいます。
初めて知ったのですが、辰巳芸者の源氏名は男名前だそうです。染谷の妻は太郎、娘は権助ですって。吉原の花魁とはえらい違いです。
ちなみにこの二人の名は最上位の源氏名なのだそうです。

染谷はただの鍼灸師ではありません。
おぼれた人を鍼で生き返らせたり、かまぼこで食中毒になった時も、お灸で人を助けます。死にそうなおばあさんも安らかに亡くならせます。
彼が今近所にいたら、絶対に行って鍼を打ってもらいますわ。
鍼の名人に打ってもらったことがないのでどうなのかわかりませんが、本当に彼のような鍼灸師っている(いた)のでしょうか。

江戸物って、ホント、おもしろいです。