森晶麿 『黒猫の接吻あるいは最終講義』2014/07/05



気持ちよさそうに居眠りする犬は、見ているだけでなごみます。


今回の黒猫シリーズは楽しめました。
美学講義はちょっと私の能力を超えていますが、前回と違って今回のモチーフはバレエの『ジゼル』です。

黒猫に誘われバレエ『ジゼル』を見に行った付き人は、黒猫の大学時代の友人でガラスアーティストの塔馬に会い、五年前に黒猫は天才プリマと同棲していたと教えられます。
第一幕の終わり、ジゼルが心臓発作で亡くなろうとしている時に、アブレヒト役の男性が転倒するというアクシデントが起こります。
プリマは上演中にもかかわらず、舞台から退場してしまいます。
その時、塔馬は「復活した・・・」とつぶやきます。

五年前、同じホールの『ジゼル』公演中に、黒猫の元恋人で塔馬の婚約者のプリマが自殺したそうです。
本当に自殺だったのかと疑問を持つ付き人。

黒猫はプライベートな事件だから首をつっこむなと言います。
付き人は自分一人で五年前の出来事を調べることにします。

『ジゼル』の解釈がおもしろいですね。

「バレエにおいてはありきたりなメロドラマが一瞬にして崇高な芸術に変わる瞬間が訪れる」

もう一度『ジゼル』を見たくなりました。
残念ながら今年日本に来るバレエ団は『ジゼル』を踊りません。
ボリショイは「ラ・バヤデール」を見たかったのですが、犬の餌やりがあるので行けません。
休日は「白鳥」と「ドン・キホーテ」だし・・・。

小説に出てくる「モンロー・グラス」、かわいいです。
モンローの足ペンもあるそうです。
どこに売っているのかしら?

黒猫シリーズはまだまだ続きます。
黒猫と付き人の関係に変化があるような・・・?