風野真知雄 『葛飾北斎殺人事件 月村弘平の事件簿』 ― 2021/01/17
シリーズ物ですが、気にせずに読んでも大丈夫です。

主人公の月村は歴史研究家で、歴史をテーマにしたツアーのアドバイザーをしたり、ツアーガイドとしてツアーに参加したりしています。
今回のツアーは二泊三日の「北斎と富嶽三十六景巡り」です。
ツアーのスタートは両国の<すみだ北斎美術館>。その後に北斎がお参りをしていたという柳橋の法性寺の前を通りスカイツリーへ。
昼食は北斎の好物のそばと中風になってから飲むようになった柚子のジュース。
都内では他に北斎の墓があるという浅草の誓教寺や品川神社の富士塚などを訪れます。
次にどこに行くのか、予想しながら読むといいかもしれませんね。
北斎に関する蘊蓄が結構書いてありますから、私のように北斎初心者が読むと面白いと思います。
月村の彼女が警視庁捜査一課の刑事の上田夕湖です。
彼女が捜査する殺人事件がどういうわけか歴史がらみだったりするので、月村が捜査に協力して犯人逮捕に多大なる貢献をしています。
だから歴史探偵というわけです。
今回殺されたのは近田流星という世界的デザイナーで、東京スカイツリー近くの法性寺で遺体で見つかります。
夕湖たちは捜査を始めますが、なかなか有力な手がかりは見つかりません。
一方、月村のツアーに世界的に有名な抽象画家・桑田画伯や大阪の実業家の児玉翔一、国交省の前川などが参加しているのがわかります。
児玉の行動がおかしく、月村は気になってしょうがありません。
児玉は一人で参加しているはずなのに、前川やヤンキースの帽子の男、青いアロハシャツの男と知り合いのようで、それを知られないように行動しているのです。
そんななか、桑田と話しているうちに殺された近田が桑田の教え子で、このツアーに参加予定だったのに行きたくないと怯えていたことがわかります。
月村は嫌な予感がしてしょうがありません。
そんな月村の予感が当たったのが、北斎ツアー二日目の最後の富士山五合目でした。
さて、ツアーは無事に終わり、夕湖は犯人逮捕となるのでしょうか?
小布施も出てきたので、前に訪れた時のことを思い出しました。
行ったことのない土地のことを読むよりも、行ったことのある土地のことを読む方が、本がより面白くなりますよね。
この頃いつも言っていますが、自由に旅行ができるようになったら、もう一度、杏の花が咲く頃に行きたいです。
いつになるのか、今はまだ定かではないですけど・・・。
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