明けましておめでとうございます、ワン♫2021/01/01

犬たちからの新年のご挨拶です。


「みなさん、今年もよろしくお願いいたします。
僕たちは今年もいっぱい遊び、食べ、元気にやっていきたいと思います。
2021年がいい年になるといいですね」 by 兄犬

兄が怖いので、兄の後ろで舌を出している弟です。
兄に袴を着せてみました。結構よい品物だったので、同じ店から弟用も買って、来年は弟にも着せることにしました。来年をお楽しみに(覚えていたら、笑)


兄用を着せてみました。弟は胸囲がないのでブカブカです。


後から考えると、首輪はない方がよかったですね。
手のかかる二匹ですが、今年も元気でいて欲しいです。

今年のおせちです。


横に長いので、こんな感じになってしまいました。肉類と魚介類で別れています。
お雑煮の餅は1個、食べたのですが、ちょっと胃にもたれています。

さて、恒例の(?)2020年に読んだ本や漫画の中から、よかったものを紹介しましょう。あまり記憶がないので、ブログをざっとみて選びました。
2020年に出版されたものではなく、あくまでも私が今年読んでよかったものです。

海外ミステリ:ヴィクター・メソス 『弁護士ダニエル・ローリンズ』
       ディーリア・オーエンズ 『ザリガニの鳴くところ』
日本ミステリ:横山秀夫 『ノースライト』
日本文学:伊吹有喜 『犬がいた季節』、寺地はるな 『水を縫う』
     乃南アサ 『チーム・オベリベリ』、澤田瞳子 『火定』
ノンフィクション:佐々涼子 『エンジェルフライト』
漫画:吉田秋生 『詩歌川百景』、ヤマシタトモコ 『違国日記』
   荒川三喜夫 『ピアノのムシ』、木村紺 『神戸在住』
   小池田マヤ 家政婦さんシリーズ&女と猫シリーズ
   常喜寝太郎 『着たい服がある」、榛野なな恵 『Papa told me』
         はた万次郎の犬漫画

漫画が多いですね、笑。漫画は日本が世界に誇るべき文化ですから(言い訳?)

ついでに映画では「顔たち、ところどころ」と「わたしはダニエル・ブレイク」、「人生フルーツ」かな?

昨年はコロナ一色の年でした。今年はどうなるのか…。
昨日、東京は感染判明者が千人を超しましたから、少なくとも前半は今年と同じような感じでしょうね。
はたしてオリンピックはできるのか?治療薬ができ、ワクチンは効くのか?
あまり期待はできないような気がしますけど…。
4月から仕事を始めようかと思っていましたが、まだまだコロナが収束しないので、今年も昨年同様のんびりしていようかと思っています。

皆様、くれぐれも感染しないように気をつけていきましょう。
今年もよろしくお願いいたします。

M.C.Beaton 「Agatha Raisin and the Dead Ringer」2021/01/02



テレビに映っていた富士山の日の出。
テレビの画面を携帯で撮ったので、あまりきれいではないですが、初日の出ということで。

年末に読み終わっていたアガサ・レーズン・シリーズの29冊目。
シリーズも後2冊になりました。


Thirk Magna村のSt Ethelred教会には素晴らしい鐘のセットがあります。
その鐘のringers(鐘を鳴す人)は8人いて、その中でも双子のMavis & Millicent 
Dupinは人生のすべてを鐘にかけていると言ってもいいほど熱心ですが、他の6人から嫌われていました。
ある日、主教(bishop)が教会を訪れることになり、鐘を鳴らして迎えることになります。双子は難しい長い曲をやりたがりましたが、他の人たちは主教はそんなに長くは滞在しないのだから、鐘が鳴っているうちにいなくなってしまうし、主教と話ができないと反対します。結局短いものにして、彼のために歓迎会を開くことになります。

教区牧師(vicar)の妻のHelen Tomsは夫から頼まれ、ミセス・ブロクスビーに会いに行きます。ミセス・ブロクスビーの夫のアルフがケンブリッジで彼と一緒だったので、今度の歓迎会にブロクスビー夫婦を招きたいというのです。
もちろんミセス・ブロクスビーは行くことに同意しますが、二人が話している時に牧師から電話が来て、主教が探偵のアガサに会いたいと言っているのでアガサも招くように言われます。
そこにたまたまアガサがやってきたので招待しますが、アガサは断り、ヘレンは泣き出してしまいます。

実はヘレンの夫は牧師でありながら妻には横暴な奴で、彼女を殴ったりモラハラまがいのことをしていました。
鐘仲間でヘレンのことが好きなJulianは牧師と別れるように勧めているのですが、なかなかヘレンは別れようとしません。
後にアガサとミセス・ブロクスビーも心配して色々とアドバイスするのですが、どうもヘレンはそういう可哀想な自分に酔っているようで、お手上げです。

Thirk Magnaにやってきた主教は独身でとてもハンサム。自分の魅力を使って金持ち女性たちを夢中にさせ、寄付金をまきあげようとしています。
双子のMavisとMillicentが主教を狙ってまとわりつきます。
彼がアガサのことに興味があることに気づいた彼女たちはアガサを目の敵にします。
彼はアガサを食事に誘いますが、食事中にアガサは彼と婚約解消をした後に行方不明になった、膨大な財産を継ぐ予定のJennifer Toynbyのことが気になってしょうがありません。彼女が今どこにいるのか主教に聞きますが、主教は巧みにごまかします。
アガサは彼の中に胡散臭いものを感じ、やがて嫌悪感を抱くようになります。

この後、Thirk Magnaでは警察官の殺害から始まり、次々と殺人事件が起こりますが、なかなか犯人がわかりません。
Jenniferを探すことはJulian牧師に頼まれましたが、誰も殺人の犯人捜しの依頼をしてくれないので、アガサは殺人事件の調査に乗り出せません。
アガサはチャールズやジェイムズと一緒に聞き込みに行っていましたが、今までは喜んで着いてきていたのに、チャールズはアガサに、僕じゃなくて自分の探偵たちと行ったらなんて言い出します。どうしちゃったのでしょうね。

さて、アガサのロマンスはというと、チャールズが結婚しようと言えばすぐにYESと答えようと思っているアガサですが、チャールズは相変わらず煮え切りません。
仕方ないのでアガサは自分から結婚を申し込もうと決心します。しかしなんと今回、アガサにtrue loveが・・・!
でも・・・。

鐘をどうやって鳴らすのかというと、DVDのアガサ・レーズン・シリーズ 1の
"Hell's Bells"中に出てきました。
塔の鐘からロープが下まで垂れ下がっています。


そのロープを全体重をかけて引くのです。


いいエクササイズになりそうです。
転座鳴鐘術なんていうのがあり、独特な譜面があります。
イギリスには鳴鐘術を教える学校もあるそうです。

ドラマのアガサ(Ashley Jensen)とBeatonさんの写真がありました。


私の思っていたアガサと、ちょっと違うわ。

「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」を観る2021/01/03

深夜、あの「ソーイング・ビー」がやっているではないですか。
私の観ていないシーズン3です。(日本では何故か「ソーイング・ビー2」となっています)
審査員パトリックの口ひげ姿が見られました。その上、スカート、間違った、キルト姿が拝めました。(彼、モデルもやっているのかしら?)
今回は男性が活躍しています。よく考えてみると、テーラーはほぼ男性ですものね。裁縫ができるかどうかに男女はないわよね。
見ていて気になったのは、向こうの人は裏地がなくても気にしないのかしら?
キルトは裏地をつけないと番組で言っていましたが、もともとノーパンではくんでしょう。チクチクして痛いわよね・・・。



昨年、ポルーニンのドキュメンタリー映画を観ました。
よくバレエを観に行っていた頃(2012年ごろ)、ロイヤルバレエ団が来日するので、ポルーニンが観られるのではと期待していたら、あっさりと退団してしまいました。あれからどうしているのかな・・・とは思っていましたが、お元気そうで何よりです。

ポルーニンは1989年ウクライナ南部のヘルソンで生まれました。
生まれつき股関節が柔らかかったので、最初は体操をやっていましたが、母親の指示によりバレエをすることになります。
9歳でキエフ国立バレエ学校に行きます。学費が高いので、父親はポルトガルに出稼ぎに行き、庭師として働きます。母方の祖母はギリシャで老婦人の介護の仕事をします。母親はキエフに息子と共に行き、すべてを息子に捧げます。母親にとって彼が希望だったのですが、彼にとってそれは重荷でした。
後に彼は「自分には子ども時代がなかった。いつも怪我をしたいと願っていた。そうすればバレエを止められるから」と言っています。
11歳の時には学年トップ、13歳でロイヤルバレエ学校のオーディションを受け、合格。一人でイギリスに渡ります。
人の2倍のレッスンを受け、居残りして稽古をしていました。踊るのがうまかったため、3年飛び級しました。
2006年ローザンヌ国際バレエコンクールで金賞を取ります。

順当に行っているようですが、彼の心はすさんでいました。
イギリスに留学して一年後に両親が離婚をしてしまったのです。
「バレエで家族を一つにできると思っていたのに、できなかった。二度と誰かを大切に思わないと決めた。思い出も作らない。それ以来、何年も泣いていない」
そう言う彼は15歳の時にはタバコを吸い、酒を飲んでいたといいます。

2008年ロイヤルバレエ団に入団し、1年で第一ソリスト、2010年に19歳でプリンシパルになります。
ロイヤルバレエ団時代には一度も両親に自分の踊るところを見せていません。
周りからのプレッシャーに潰されまいとしているのか、タトゥーをし、レッスンをサボり、パーティに出てはコカインを吸い・・・。
舞台に出る前は薬漬けです。心臓の薬や鎮痛剤、栄養ドリンクを飲み、ハイになって踊ったのも忘れるぐらいだったそうです。
心も身体も悲鳴をあげていたのですね。

2012年、22歳。突然の退団発表。
アメリカで踊りたかったのですが、アメリカのどのバレエ団も彼を受け入れてはくれませんでした。急に辞められちゃ困るものね。
そのためロシアに戻ります。しかしロシアでは大スター扱いはされず、テレビ番組「ビッグ・バレエ」に出て自分を売り込むしかありませんでした。
イーゴリ・ゼレンスキーのアドバイスでモスクワ音楽劇場バレエにゲストとして参加し、一から出直すことにします。(ゼレンスキーを父のように慕っています)
しかしそれでもなかなか自分を変えることができません。
2年ぐらいは新鮮な経験だったのですが、だんだんと自分を囚人のように感じ、強制されるのが我慢ならなくなっていったのです。
彼はバレエ団のような組織に属せない人なのですね。
彼にとって踊ることは自分から選んだのではなく、母親から強制され、やらされたものという意識しかなく、苦痛でしかなかったのです。

2015年、引退すると決め、ロイヤルバレエ団の時の友人に振り付けを頼み、アイルランド出身の歌手ホージアの”Take Me To Church"の動画をハワイで撮ります。
この時に初めて彼は自分の踊ることの意味を見いだしたのでしょう。
この経験で吹っ切れたのか、二ヶ月後、両親と祖母を自分の公演に初めて招待し、ジェローム・ロビンスの振り付けを踊ります。
2017年には映画「オリエント急行殺人事件」で俳優デビュー。
色々なことにチャレンジして、自分の進む道を、今度は自分で選んでいっているようです。
最後の場面の彼は髪をバッサリ切り、まるで修行僧。

ポルーニンはまだ31歳。
これからどういう道を歩んでいくのか、楽しみと言いたいところですが、精神的に不安定っぽい感じの人なので、ちょっと心配ですね。
ダンサーというのではなく、アーティストとして活動していくそうです。
彼の舞台をいつか観にいきたいです。それまでちゃんと生きててくださいね。

東京の下町にあるお店の本、2冊2021/01/04



今日からパパは仕事始めです。
今朝は5時前からパパが起き出したので、犬たちは面食らったみたい。
パパが出て行くと、犬たちは二度寝をし、お昼まで爆睡しています。
ママは静かなので、犬たちはゆっくり寝ていられるみたいです。



大山淳子 『あずかりやさん まぼろしチャーハン』
東京の下町の商店街のはじでひっそりと営業する「あずかりやさん」。
一日百円で何でもあずかります。
たまにとんでもない物を預けにくる人がいます。

今回のあずかり物は、半年後に引き取りに来なかったら投函するように指示のある手紙とセキセイインコ・・・。
鳥は鳥かごに入れて、餌もやらなければなりません。鳥かごと餌で一万円の出費です。一日百円じゃ足が出ました。
足が出ると言えば、子どもも一晩あずかりに来ましたね。
店主が美味しいチャーハンを食べさせてやりました。
不思議なあずかりものは「声」です。録音できなかったので、店主が代わりに言葉を返しました。
高倉健と緒形拳、石原裕次郎もやってきました。
そうそう、たいそう価値のある盆栽をあずけていった人もいましたね。

ひとつひとつのあずかりものには物語があります。
盲目の店主はその物語を記憶に留めていきます。
今回は彼の物語も語られます。
心がほっこりするお話です。チャーハン、食べたいなぁ。



竹岡葉月 『谷中びんづめカフェ竹善 4』
ライトノベルが好きで、ちょっとドジな主人公とイケメンオヤジが好きな方向きの本です(笑)。

女子大生の紬は谷中にあるびんづめ専門カフェ「竹善」の店主セドリックと知り合い、彼の義理の息子の家庭教師をしています。
セドリックはイギリス人のイケメンオヤジで、紬は彼のことが好き。どさくさに紛れて告白してしまいました。(三巻)
未だに亡き妻のことが忘れられないとセドリックに断られましたが、今まで通り竹善に通い、親から送られてくる野菜を瓶詰めにしてもらっています。
ある日、ネットで竹善の悪評を見つけ、友人を巻き込んで書いた人物を特定する紬。竹善愛なのね。
そんな頃、父親が急に上京してきました。とっても困る紬。
一日は上野動物園に連れて行きました。子どもでもないのに、何で動物園?
次の日は野暮用で父親の相手ができず、一人にすると、なんだかんだと大量の買い物をしてきました。翌日は大学のゼミの発表があり困っていると、セドリックが父親の付き添いをしてくれることになります。
一安心・・・ではなかった!
そしてクリスマスの季節が到来。
物欲のない紬が、ロイヤルコペンハーゲンの1924年のイヤープレートに恋します。
お金がないので、バイトを増やすことにし、やっとお金が貯まったので買いに行くと、お店は閉店セールをやっていて、お皿は何者かに買われていました。
紬、ショック!
でも、神は彼女を見捨ててはいなかった・・・。

まあ、こんな感じの話なので、美味しそうな瓶詰め料理が出てこなければ読みません。今回はお料理が少なかったので、残念でした。
『おいしいベランダ』の作者なので、このシリーズもこんな感じなのでしょうね。

「これが私の人生設計」を観る2021/01/05

題名からするとシリアスっぽい感じですが、コメディですので、間違えて観ないようにしましょう。(ネタバレあり)


セレーナ・ブルーノは過疎化が進んでいるイタリアの田舎で育ちました。
ローマ大学建築学部の卒業制作が海外で賞を取り、それから世界各国の大学で修士号を取り、モスクワ、ドバイ、北京、ワシントンなどで建築家として仕事をしてきました。
ここ数年はロンドンで仕事をしていますが、それも飽きてきたみたい。
だってイギリス男は無作法、天気が変わりすぎ。一日の間に雨⇒晴⇒雪ってありえない!
外国暮らしを満喫してきたはずなのに、何だかこの頃、イタリアが恋しくなってきました。
それでイタリアに帰ろうと思い、みんなに言うと・・・みんなは黙ってしまいます。
何故?

早速イタリアで仕事を探しますが、イタリアの建築業界って完全な男社会で、ろくな仕事がありません。
1年で貯金がつき、セレーナはウエイトレスのアルバイトをすることにします。
レストランのオーナーのフランチェスコは超イケメン(ポスター見て!身体もすごいのよ、ww)。ウエイトレスたちはみな彼を狙っています。もちろん、セレーナも。
しかし彼はゲイだったのです。
バイトで丁寧に料理の説明をするセレーナを見て、フランチェスコは彼女のことが気に入り、一緒に住むことになります。

ある日、バイクが壊れ、困っていると、2人組の男性が直してくれると言ってきます。預けると、乗ってかれちゃいました。ようするに盗まれちゃったんです。
唖然としていると、目の前に大きな公営住宅がありました。どんな建物か見て回っていると、「共同スペースリフォーム案募集」という張り紙があり、興味を持つセレーナ。
変なおばあさんに怒鳴られ、何故か彼女の水を運ぶことになってしまいます。
部屋に着くと、ご馳走をしてくれたので、まあ、いいか。
それからはチョコチョコ訪れて、おばあさんやそこにいた若者たちにインタビューして、設計案を練っていくセレーナでした。

公営住宅のコンペの面接でセレーナは男性建築家「セレーナ・ブルーノ」のアシスタントと間違われましたが、彼女の案が採用されます。セレーナはフランチェスコに「セレーナ・ブルーノ」になってもらい、有名建築家リパモンティの事務所で働くことになります。
フランチェスコは上手くセレーナの代わりができるでしょうか?

イタリアの建築業界って酷いんですね。(ひょっとして建築業界だけじゃないということもあるかしら?)妊娠したら解雇なんて、契約書に書いていいの?
日本も似たようなものだったけど、今は変わっているわよね。(と思いたい)
大成建設株式会社のCMが好きですが、女性の建築家?(現場監督?)がでてくるのがありますよね。ってことは女性も数少ないかもしれないけど、働いているということよね。
(今知りましたが、新海誠監督が作っているんですね。納得。)

めげずに頑張るセレーナ、イケメンだけどちょっと可笑しいフランチェスコ、セレーナの大声を出すおばさん、可愛らしい息子ちゃんなど濃いキャラの人が多いです。
女とゲイは差別の対象というところは嫌ですが、映画は笑うところが多く、楽しくみることができました。
働く女性にお勧めの映画です。男社会にめげずに働こうね!
(小さいお子さんとは一緒に見ない方がいいと思います、笑)

リース・ボウエン 『巡査さん、事件ですよ』2021/01/06

英国王妃の事件ファイル・シリーズを書いているボウエンの別のシリーズです。
雄大な自然の広がるイギリス、ウエールズ地方にある、険しいスノードン山の麓の村のお話です。


エヴァン・エヴァンズはスランフェア村の巡査です。
実は彼はスウォンジーで刑事の訓練を受けていましたが、都会の暮らしが嫌になり村の仕事を選んだのです。
エヴァンは長身でラグビーのフォワードのようなたくましい体つきで、ケルト人らしい色白の顔をしています。すぐ顔が赤くなるのが玉に瑕。
村のミセス・ウィリアムスのところに間借りしています。
彼女はランチはいらないと何度言っても作り、大盛りにして出してくれます。どうも太らせたいみたいです。彼女はエヴァンがどんなにしずかに帰宅しても気づくという超能力があります。孫のシャロンとエヴァンを結婚させようとするのが困ります。
困ると言えば、肉感的な体で、いつも襟ぐりの大きく開いたぴったりした服を着ているパブのウエイトレス、ベッツィもエヴァンに迫ってきて困ります。
エヴァンってもてるのね。
そんなエヴァンが気になっているのが、学校の教師のブロンウェン・プライス。
彼女とは山歩きが好きだったり、話しが合ったりと、いい感じなのですが・・・。

ある日、エヴァンが教会で賛美歌を歌っていると、手招きされました。
行ってみると、<エヴェレスト・イン>の宿泊客が帰って来ないというのです。
友人と会うと言ってスノードン山を登り、夕食前に戻ると言っていたというのです。取りあえず朝まで待つことにして、パブで飲んでいると、死体が見つかったという知らせが来ます。
翌朝、エヴァンズは北ウェールズ警察のワトキンス巡査部長と死体を捜査しに山を登ります。ワトキンスは死体を見てすぐに事故死と見なします。
どうも彼は11歳の少女の殺人事件に集中したいがために、事故死として扱いたいようです。
ところがカメラを持ってやって来た若い警察官が、死体の写真を撮ってきたと言ったため、別の死体の存在が明らかになります。
なんと死体が二つ。
ワトキンスは不運な二件の事故と見なしますが、エヴァンにはそうは思えません。
二つの死体にはなにかつながりがあるはずだと思えるのです。

死体の身元を確認すると、一人はロンドンの警察官、もう一人はリバプールから来た盗難警報器のセールスマンでした。
一体二人の間にはどんな関係があるのでしょうか。
家族から話しを聞くと、二人には軍に入っていたという共通点がありました。
エヴァンズはワトキンスの許しを得て、二人の軍歴を調べてみることにします。

二つの殺人事件で忙しいというのに、村の牧師の妻、ミセス・パウエル=ジョーンズがエヴァンズにすぐ来るようにと言ってきます。
彼女はどんな事件よりも自分のところで起こった事を優先すべきであると思っているようです。彼女には高い地位にいる友人が大勢いるので、仕方なく呼び出しに応じているエヴァンです。
今回もトマトの苗を何者かが踏みつけた、パイが盗まれた、花壇に大きな足跡をみつけた等のくだらないことで呼びつけられました。犯人は村にもう一つある教会の牧師の妻、ミセス・パリー・デイヴィスだというのです。彼女を問いただせとまで言われ、困るエヴァンズでした。

いつものようにパブで飲んでいると、ニュースで村の事件のことを取り上げていました。その時、チャーリー・ホプキンスが前にテレビ局が村にやってきたことを思い出します。エヴァンは今度の事件と繋がりがあるのではないかと思い、詳しく聞いていきます。
それは山で軍がサバイバル訓練をし、凍死した人がいたという事故でした。
これが亡くなった二人と何らかの繋がりがあるのではと閃くエヴァンズ。

ヒューズ警部補に犯罪捜査は訓練を積んだ人間に任せるから自分の仕事に戻り給えと言われましたが、エヴァンズはワトキンスの助けを借りながら、独自に捜査を続けていきます。

ウエールズ地方って美しい景色や古城、ケルト文化で知られていますね。
今でも妖精やドラゴンなどが出てきそうな感じです。
アーサー王伝説もウエールズでしたっけ?
スノードン鉄道やナローボートにもいつか乗りたいです。

英国王妃の事件ファイル・シリーズと違って、のどかなウエールズ地方の様子が面白いシリーズになりそうです。
英語で読んでも簡単そうなのですが、翻訳が早くて、もう5冊目が出版されるようです。10巻まで出版されているので、アガサが終わったら6巻目から読んでみようかしら。翻訳の方が早いかな?迷います。

「しあわせのパン」を観る2021/01/07



東京でたくさんの大変が貯まってしまい、笑えなくなった妻のことが心配になった夫は、妻に北海道の月浦で暮らそうと言いました。
二人は北海道の洞爺湖の畔でカフェを開くことにします。
店名は妻の好きな絵本の『月とマーニー』にちなんで、「カフェマーニー」にしました。
妻の入れるコーヒーと夫の焼くパン、そして季節の野菜を使った料理がメインのお店です。二階では宿泊もできます。
居心地のいいカフェですので、近所の人たちが常連になってくれました。

夏になると、彼氏に沖縄旅行をドタキャンされたデパート勤務の女性がやって来ました。
秋には鍵っ子の小学生のみきちゃんとお父さんが、雪に埋もれた冬には老夫婦が、そして春には兵庫から手紙が来ました。

夫婦は訪れる人たちに、あったかいご飯で癒やしを与えていきます。

夫の水縞君が言います。
「「カンパニオン」という言葉が好きです。もともとはパンを分け合う人々のことをいい、家族の原点だと僕は思うのです」

マーニーは旅人にパンを分け与える宿泊所みたいなものなのですね。

別に大泉洋を使わなくてもいいんじゃないの、という映画です(笑)。
北海道の景色が主人公の映画です。
実際にあるお店がモデルということなので、洞爺湖に行くことがあったら行ってみるといいかも。(「カフェゴーシュ」HP

リース・ボウエン 『巡査さんと村おこしの行方』&『巡査さん、合唱コンテストに出る』2021/01/08

ウエールズ、スランフェア村の巡査さんのシリーズの二作目と三作目です。


八十に手が届こうという年齢のアーバスノット大佐は、妻が亡くなった次の年から毎夏スランフェアにやってきて、好きなだけ新鮮な空気を吸い、丘を散策し、野草や鳥を眺め、大好きな考古学に没頭しています。
ある日、エヴァンたちがパブで飲んでいると、大佐が駆け込んできて、アーサー王の城を見つけたと言うのです。
村のみんなはこの発見に大はしゃぎ。
これでスランフェアが地図に載るとか、本を書いて観光客に売ろうとか、村の名前を変えて世界一長い名前にしようとか、勝手なことを言い合っています。
とりあえず村の集会を開いて、話し合うことになりました。
しかし次の日、郵便屋のエヴァンズが橋の下でアーバスノット大佐の遺体を見つけます。
やってきたワトキンス巡査部長は相変わらずヒューズ警部補の機嫌を損ねないようにしているのか、殺人だと認めません。
エヴァンは前回のことを持ち出して、ワトキンスに頼み、病理学者に詳しく調べてもらうようにします。
エヴァンの直感は何者かが大佐の口を封じようとしたのだと言っていますが、その証拠が見つかりません。

村に新しい住民がやってきました。アニー・ピジョンと娘のジェニーです。
ジェニーが車に轢かれそうになったのを助けたエヴァンは、何かと彼女に頼られて困ってしまいます。
プロンウェンとの関係がまずくなりそう・・・。

もう一人の新しい住民は、父親から農場を相続して20年ぶりに村に戻ってきたテッド・モーガンです。彼は村人のタフ・モーガンの息子で、ロンドンで成功したビジネスマンだということです。
彼は村の集会で爆弾発言をします。古いスレート鉱山を購入し、そこに<呪われた鉱山>というテーマ・パークを建て、そのテーマ・パークと古い農場に建てるホテルをモノレールでつなぐと言うのです。
観光客誘致反対の肉屋のエヴァンズは怒り狂い、テッドに飛びかかる始末でした。
集会の次の日の朝、テッド・モーガンは遺体となって見つかります。
ワトキンスは自殺で処理しようとしますが・・・。

何の関係もなさそうな2つの殺人事件ですが、巡査のエヴァンは遠慮しつつも独自に捜査していきます。



エヴァンはハーレフで開かれるアイステズヴォッド(文学と芸術の祭典)に出ることになります。聖歌隊のバリトンがひとり必要だからと、急遽頼まれたのです。
練習に行ってみると、とんでもない出来で、指揮者のモスティン・フィリップスが気の毒になるぐらいでした。
ところが村出身のオペラ歌手のアイヴァー・スウェリンが村に滞在することになり、聖歌隊で歌ってくれることになります。
アイヴァーはパウエル=ジョーンズ牧師の家を借りますが、そのとばっちりでエヴァンは大変な目に遭います。
というのも、パウエル=ジョーンズ牧師がエヴァンの下宿に滞在することになり、エヴァンの部屋をしばらく使うことになったのです。そのおかげでエヴァンはまずい食事とひどい部屋、牧師のお説教で悩まされることになるのです。

アイヴァーはアイヴァーでとんでもない奴でした。聖歌隊の練習に遅れてきた上にモスティンをからかい怒らせ、滞在している家からは四六時中大音量の歌声と言い争いの声が聞こえてくるのですから。
アイステズヴォッドのリハーサルの日にはアイヴァーは現れませんでした。
怒ったモンティに頼まれ、一緒にアイヴァーの滞在先に行ってみると、なんとアイヴァーは死んでいたのです・・・。

警官だった父親が目の前で殺され、都会に嫌気がさし、田舎の村にやってきたエヴァン。村を徒歩で回り、村人たちと世間話をしていれば5時には帰れる仕事だったはずなのに、次々と殺人事件があり、のんびりする暇もありません。
それにしても村はすごいです。すべての人の動向が筒抜けなんですもの。
エヴァンは人柄もいいんでしょうね。村人から好かれており、村人は何でも話してくれますから。そういえばアガサ・レーズンには誰も何にも話してくれませんでしたね。ウエールズの田舎とイングランドのコッツウォルズのような都会から来た人が住む田舎との違いですかね。

1作目よりも2作目、3作目と読むにしたがい面白くなってきました。
5作目まですぐに読んでしまいそうです。


<今日のわんこ>


弟は遊ぶのが大好きなので、持って来いをやるとこんなにいい笑顔を見せます。
兄は遊ばず、すぐにソファーの上に上がります。何をしたいのだか?

「パーソナル・ソング」を観る2021/01/10

昨年の11月にスペインのアルツハイマー病の元バレリーナが「白鳥の湖」を聞いて踊り出した動画が話題になっていましたね。
この映画はそれに関連するものなのかもしれません。
「パーソナル・ソング」は2014年に公開された、認知症の高齢者に彼らの思い出の曲を聴かせて、その音楽が高齢者たちの心や記憶にもたらす効果を3年間にかけて追ったドキュメンタリー映画です。


ダン・コーエンはIT企業に長年勤めていましたが、ソーシャルワーカーに転職し、6年前に介護施設を訪れてから人生が変わりました。
彼は認知症の人が「パーソナル・ソング(思い出の曲、思い入れのある曲、好きな曲、自分が輝いていた時にくちずさんでいた曲)」を聴けば、音楽の記憶と共に何か思い出すのではないかと思い、iPodで音楽を聴かせることを始めました。
驚くべきことに、彼らの過去の記憶やその人の本来の人格がよみがえってきたのです。

90歳の女性は「どんな少女だった」と聞かれ、「思い出せない」と言っていたのに、ルイ・アームストロングの「聖者の行進」を聞くと、次々と昔のことを思い出し、話し始めました。
94歳のヘイリーは全く話せなかったのに、歌を聴くと歌い出しました。
ギルは施設に閉じ込められていることに怒りが沸き起こり、混乱することが多かったのですが、キャロル・キングの歌を聴くと笑顔を見せ、落ち着いてきました。
躁鬱病のデニースはシューベルトの「アベ・マリア」を聞くと2年間使っていた歩行器を手放し、踊り出しました。
どのような間隔で何回聴かせたのかはわかりませんが、パーソナル・ソングを聴くことは認知症に多少の効き目があるようです。

アメリカでは約500万人の認知症患者がいて、施設で無気力に暮らしています。彼らは施設では機械のような生き方が求められ、社会から排除されています。
彼らの「パーソナル・ソング」を見つけ、iPodに入れ聞かせると、彼らは生き生きとした表情になり、失われた人生を取り戻し、人生の喜びを見いだしていきます。
この試みを受け入れてくれた老人ホームは最初は4件でしたが、助成金をもらい3年間で56の老人ホームで行われるようになったそうです。
他の施設でも行うには財源が不足していますが、コーエンは今後160万人の患者の生活を向上させることを目標に活動していくそうです。(2014年頃)

カント曰く、「”音楽”は目覚めの芸術」。

老人ホームなどで童謡とかを歌わせているのは意味のあることなのですね。
私なんかは日本の歌よりも外国の歌の方が好きなので、老人ホームに入っても歌の時間はパスしますわ、笑。
iPodに好きな音楽を入れていますから、それを大事にとっておけば、「パーソナル・ソング」として使えますね。
年を取ってからというのではなく、今から聴いていれば認知症になるのが遅くなるということはないかしら?

認知症ねっとに認知症予防法「パーソナルソング・メソッド」というのが載っていました。ツモリレコード株式会社が商標登録したそうですが、こういうのって商売になるんですね。

年を取るとおしまいというのではなく、何歳になっても人間には限りない可能性があるということを気づかせてくれた映画です。
もしあなたに高齢の親がいるなら、パーソナル・ソングを探して、聴かせてあげてください。貴重な話しが聞けるかもしれません。

リース・ボウエン 『巡査さん、フランスへ行く?』&『巡査さんを惑わず映画』2021/01/11

このシリーズ、「英国ひつじの村」シリーズと名付けられておりました。


平和な村にこの頃流行っているのは、放火です。
最初の放火は、ロードリじいさんがイングランド人に売ったひつじ飼いの古いコテージでした。イングランド人が何時間も前に帰っていたので、コテージが全焼しただけでした。
次の放火は美しい山の景観を壊していると村で評判のホテル、<エヴェレスト・イン>の物置小屋でした。物置小屋ですから、たいした被害がなく消火できました。
しかし、2件共に灯油と導火線が使われていました。
どちらもよそ者の所有物です。国粋主義者の過激派グループが関係しているのか?
ワトキンス巡査部長は相変わらずでしたが、「”ここにはおまえの居場所はない”」と書かれた紙を見つけたため、巡査部長のビーター・ポッターという放火捜査の専門家がやってくることになります。
彼は鼻持ちならない男で、エヴァンも辟易します。

この頃、スランフェアからほんの数キロ先のエビニーザ礼拝堂に、フランス料理店<シェ・イヴェット>ができました。マダム・イヴェットはサセックスの海岸沿いで夫と二人でレストランをしていましたが、夫が死んだので、ここにやってきたということです。
フランス料理教室も開催するようで、村の女性たちが参加するようです。もちろん大家のミセス・ウィリアムスと教師のブロンウェンも参加します。
エヴァンはマダム・イヴェットに脅迫状が来たということで呼び出されます。
呼び出しついで(?)に夜のお誘いがあって、エヴァン、もてますね。
彼女のせいでブロンウェンとの仲もこれまでか・・・と思えることもありましたが、何とか誤解も解け、一緒に<シェ・イヴェット>にフランス料理を食べに行くことができました。
しかし、エヴァンたちが食事をした夜に、<シェ・イヴェット>が火事になり、マダム・イヴェットは九死に一生を得ました。
前の2件の放火と今回の放火には違いがありました。
2件は人がいない建物を選んでいましたが、今回は人がいました。何か個人的な恨みがあるのかもしれません。

今回もエヴァンはワトキンスの命を受けて捜査に乗り出します。
エヴァンは巡査なので、本当は捜査に参加できないのですけどね、笑。
捜査の過程でマダム・イヴェットのことでフランスまで行きますが、可哀想なことに、観光は全くできなかったみたいです。


今回は付き合い始めた教師のヴロンウェイの過去が明らかになります。

村に撮影チームがやってきます。
監督のハワード・バウアーと映像プロデューサーのグラントリー・スミス、飛行機専門家のエドワード・フェラーズ、そして映像制作助手のサンディ・ジョンソンの4人で、<エヴェレスト・イン>に滞在するそうです。
彼らはスリン・スラダウ湖からドイツの爆撃機を引き揚げ、その様子を撮影するのです。
撮影を地元民に邪魔されたくないということで、エヴァンは野次馬を湖に近づけるなという仕事を仰せつかいます。

村人たちの話題は映画の撮影のことばかり。みんな映りたいんですねぇ、笑。
特にパブのウエイトレスのベッツィは熱心で、女優になれると思い込み、なんとか映ろうと頑張ります。エヴァンがいくら映画を撮るのではなくドキュメンタリーを撮るのだと言っても信じようとはしません。エヴァンが邪魔をしていると思い込み、珍しく彼に冷たくしたりします。

実は飛行機専門家のエドワードはブロンウェンの元夫でした。
彼らはケンブリッジ出身で、二人とも劇団に所属していたようです。
エヴァンは彼らの話を聞きながら、劣等感と嫉妬に苛まれます。

撮影チームは飛行機を撮りに来たはずなのに、プロデューサーのグラントリーが色々なことを思いつき、エヴァンは彼に振り回されます。
地元色が欲しいから、面白いことを知っている風変わりな田舎者を紹介してくれとか言うんですよ。地元民をバカにしてますねぇ。
彼は感動の再会をお膳立てしたり、戦争中にスレート鉱山に隠した絵に興味をもって、老人に話しを聞きにいったり、鉱山を見に行ったりと飛行機以外のことに興味があるようです。
ある日、グラントリーは行方知らずになってしまい、エヴァンが探しまくり、結局死んだ彼を鉱山で見つけることになります。
とにかく迷惑な奴です。

エヴァンは捜査を外されてもめげずに独自の捜査をして頑張ります。
彼の短所が見つかりました。閉所恐怖症です。前回は海峡トンネル、今回は採石場と、閉所恐怖症気味の人にとっては責め苦のような所に行かなければならず、可哀想ですわ。
他にも色々と可哀想なことがエヴァンにありますが、とにかくヴロンウェイとは上手くいって欲しいですね。

次巻が速く翻訳されますように。(アレ、英語で読むんじゃなかった?と思わないでください)