篠田節子 『肖像彫刻家』2021/02/19

先日、夕食を食べ終わった夫に、「食器をうるかしといて」と言ったら、「それどこの方言?」と言われました。
夫がからかっているんだと思って一応調べてみると、しっかりと方言でした。(主に東北と北海道で使われています)
東京人だったら、「水に浸けといて」と言うのでしょうね。
〇十年生きていて、「うるかす」が北海道の方言だと初めて知りました。

では、私が標準語だと思っていて、北海道弁だと知った言葉の中から代表的なものをご紹介しましょう。

①「ぼっこ取って」⇒「を取って」
②「これ、投げといて」⇒「これ、捨てといて」
③「あぁ、こわい」⇒「あぁ、疲れた
④「おっかない」⇒「怖い
⑤「これとばくって」⇒「これと交換して」

全部できたら、あなたも北海道弁の権威です(笑)。
他にも色々とありますが、道産子は自分たちの言葉を標準語だと思っていますから(私だけ?)、指摘されるとビックリしますよ。
北海道出身の人がいたら、方言だと知らずに使っている表現を見つけて指摘してあげて下さい。「標準語だと思っていた」と言うと思いますよ、笑。



肖像彫刻家って職業があるんですね。
私は銅像などは彫刻家が作る彫刻の中の1つだと思っていました。

高山正道は美術大学を卒業後、抽象彫刻で展覧会にも入選したのですが、食べていけず、短大の非常勤講師をしてもアルバイト程度の収入で、公立高校の美術教諭をしている妻に食べさせてもらっていました。
彼の両親と同居後17年経って、妻が息子を連れて出て行ってしまいます。
その後、大学と予備校で教えて糊口を凌いでいましたが、四十を過ぎてしばらくして、イタリアで肖像彫刻家として成功した美大の先輩・御園康成から声がかかり、御園が世話になった親方に弟子入りすることになります。
生真面目な性格が幸いして、二、三年で、工房でいなくてはならないスタッフの一人にはなれましたが、「芸術家」にはなれませんでした。
八年が経ち、イタリアで身に付けた技法で生きていこうと思い、日本に帰ってみると、父も母も亡くなっていました。
正道は父が言った「モノになるまで一切、連絡も寄越すな」を律儀に守ったため、知らなかったのです。
姉に親の遺産を分けてもらい、再出発の場として、八ヶ岳連峰を望む農村、山梨県南麓町に移り住み、工房を開くことにします。
しかし、そう簡単に銅像の注文は来ません。それでも家賃がただ同然なので、親の遺産と大家からの施し、富沢鋳造所のバイトでなんとか暮らしていけます。

最初に来た注文は地元の回向院の雪姫の像でした。
一体目は忠実に姿を写した分身を、二体目は個性を付け加えた像を作りましたが、
二体目の像に不思議な現象が現れます。
正道は変った銅像を作るということで有名になってしまい、様々な人が彼に銅像を注文してきます。

うだつの上がらない彫刻家が色々と翻弄される様が面白かったです。
少しのホラーにユーモアが加わった小説です。
御園のモデルは奥村伸之なのかしら?

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2021/02/19/9348664/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。