新川帆立 『剣持麗子のワンナイト推理』2022/05/29



次々と紫陽花が咲き始めています。
梅雨が来る前に夏のように暑くなっています。
こんな日には犬たちのお散歩はしない方がいいかもしれません。
昨日行くと、10分もしないでハアハアしていました。
今年二匹共にシニアになり、特に兄犬は10歳ですので、気をつけて散歩させるように、獣医から言われました。
暑くなると散歩はできなくなりそうです。



テレビドラマが不評と聞きましたが、そんなに面白くないのですか?
綾瀬はるかじゃ麗子は無理だったのかしら?
小説では一番最初の『元彼の遺言状』のインパクトが強かったんですが、だんだんと剣持麗子が大人しくなってきているのが残念です。

山田川村・津々井法律事務所に勤める弁護士・剣持麗子は、元彼の遺言状事件の時に出逢った縁で、亡くなった村上弁護士の仕事を引き継いだ。それもお金にならないというのに。
もちろん事務所の仕事が終わった後にやるしかないので、徹夜続き。
どうも今夜も眠れそうにない。

第一話:「家守の理由」
酔っ払い運転で捕まったという女に呼び出され、湾岸警察署に行ってみると、奈良漬けを食べたと言い張り、犬の世話まで押しつけられた。
事務所に帰って仕事をしていると、今度は新宿警察署からの呼び出しが。
武田信玄が呼んでいるとのこと。
行ってみると、橘五郎という刑事がやって来て、死体を見せられ、武田が動かないからどうにかしてくれという。
そこにいたのは韓流アイドルみたいな若者で、武田信玄は源氏名だった。
彼は進藤不動産に侵入して、死体を見つけたという。
なんとか説得して本名と住所を吐かせ、警察に伝えたが、彼は不自然な行動を取っていた。

第二話:「手練手管を使う者は」
武田信玄こと黒丑益也に弁護報酬をもらいに行くと、店で盗まれたと言う。
文句を言っている時に電話が来て、黒丑の先輩ホストの秀光が殺人事件の犯人にされそうだとのこと。親が金持ちだと聞き、麗子は現場のバーに向かう。
バーではホストの信長が殺されていた。状況からすると店で寝ていたという光秀が怪しいのだが…。

第三話:「何を思うか胸のうち」
なんと山田川村・津々井法律事務所では毎年お盆休み直前に運動会が開かれる。
非難ごうごうにも関わらず、今年も強行に開催される。
麗子は昨年ドッジボールに参加し、川村との一対一の直接対決で、川村の暴投を顔面に受けた。試合には勝ったが、この時の借りは必ず返すと決めたていた。
しかしドッジボールの試合中に同期の三神愛が怪我をし、試合は中止になる。
麗子は愛を病院に連れて行き、荷物を取りに戻ると、峰口が宴会会場に来ていないので、様子を見て来てほしいという電話が来る。
ロッカールームに行くと、峰口は死んでいた。
麗子が警察に通報する前にも峰口が倒れているという通報が入っていて、通報したのは、黒丑だった。
実は麗子は人出不足故、弁護報酬を払わない黒丑をバイトとして雇い、雑用や使い走りという半端仕事をやらせていた。
黒丑は運動会の会場に何をしに来ていたのだろうか…。

第四話:「お月様のいるところ」
麗子は刑事の橘に呼び出された。峰口の事件の時の黒丑の行動におかしいところがあるというのだ。
橘と別れて事務所に戻ろうとしたところ、おばあさんに腕を捕まれる。
どうも認知症らしく、橘とタクシーでカーデガンに書かれていた住所に連れて行くと、アパートの部屋にぶらさがり健康器で首を吊っている男がいた。
警察によると彼が最後に電話をかけた相手が黒丑だった。

第五話:「ピースのつなげかた」
依頼人に呼び出され、大久保の家に行ってみると、三隣亡の呪いの相談だった。
三隣亡の日に瓦の張替えを行ったA家の近隣で、泥棒やボヤ騒ぎ、ご主人の死亡という不幸が相次いでいるので、Aさんを訴えられないかというのだ。
そこに橘が現れ、運良く警察案件となり、麗子は事務所に戻ることができることになる。
しかし帰り道で橘と話しているうちに、黒丑への疑惑が強まっていく。

麗子の金に汚いところが薄まってきて、情に厚く、お人好しの面が前面に出てきています。
別に村上弁護士の仕事を引き継がなくてもいいし、黒丑が弁護報酬を払えないからとアルバイトで雇ったりしなくてもいいのに、わざわざしてますからね。
橘五郎警部補と黒丑益也という面白いキャラが出てきたので、ひょっとしてシリーズになるのかな。
倒産続きの彼女』のような企業関係のシリーズ物と交互に書いていくといいかもしれませんね、なんて思っていたら、新しく『競争の番人』が発売されています。今度は公正取引委員会ミステリーだとか。
新川さんは本物の弁護士ですから、色々と書くことがあるのでしょう。
弁護士のお仕事をお休みして執筆に集中することにしたというので、これからも面白いお話を書いてくれることを期待しています。