中山七里 『殺戮の狂詩曲』2023/04/22

「御子柴弁護士」シリーズの第6弾。


高級老人ホーム<幸朗園>で凶悪殺人事件が起る。
好人物と思われていた介護職員の忍野忠泰が九人もの入所者を殺害したのだ。
彼は入所者三十九人全員を殺すつもりだった。
彼は「これは天誅だ、あの人たちは生きていたって何の価値もない、さっさと消えてもらった方が世のため人のためだ、生産性のない金持ち老人を殺害するのが罪と言えるのか」と言う。

忍野の裁判はリスクが高く、国選で報酬も見込めないのに、弁護に名乗りを上げたのが、弁護士・御子柴。
口さがない世間の人々は『バケモノの弁護を元<死体配達人>が請け負う。まるでバケモノの互助会だ』と宣う。
(御子柴は14歳の頃、幼女を殺害してその遺体を解体してばら撒いたので、世間から<死体配達人>と呼称されている)

周囲に反対され、死刑の判決は揺るがないと分っているにもかかわらず、御子柴は被害者の家族に会い続ける。
御子柴はいったい何を目論んでいるのか…?

『ロスト・ケア』を読んだ後のなので、また介護問題かと暗澹たる気持ちになりました。
でもそこは中山さんで、御子柴弁護士シリーズですから、違いました。
「エピローグ」の前まで読んでいき、これでは終わらないのではないかと思ったら、最後の四ページで驚きの結末が…。
御子柴のキャラ、変わったわねぇ。
余計なことは書きませんので、御子柴ファンの方はどうぞ読んで下さい。
そうそう、最初の18ページまでが生々しいので、そういうのが嫌いな人は気をつけるようにね。

このシリーズは最初から読んで行った方がいいので、興味を持った人は一作目の『贖罪の奏鳴曲』から読んで下さいね。