ピーター・トレメイン 『昏き聖母』2023/04/28



修道女フィデルマ・シリーズの九作目。

フィデルマは聖ヤコブへの巡礼の船旅をしていたが、カンタベリーのテオドーレ大司教からキャシェルへの特使として遣わされたサクソン人修道師、ブラザー・エイダルフがラーハン王国を通過するさい、殺人を犯したとして逮捕され、告発されたという知らせを受け、旅を切り上げた。
修道女であるばかりか、ドーリィ(アイルランド五王国の法廷弁護士)でもあるフィデルマは、モアン王国コルグーの騎士団三人を伴い、エイダルフが囚われているラーハン王国の首都ファールナを目指して出発した。

ラーハン王のフィーナマルに会い話を聞くと、エイダルフは少なくとも三週間は前に十二歳の修道女を殺害したとして逮捕され、アイルランドの法ではなくローマ・カトリック教会派の『懺悔規定書』に記された罰則により裁かれ、明日の正午に処刑されるという。
フィデルマはエイダルフが正当な弁護を受けていないと刑の執行の延期を求めるが、王はラーハン王国のブレホンであるファルバサッサ司教の判決は覆すことはできないと言う。
それならばと詳しい捜査を行う許可を求めるが、与えられた時間は刑が執行される明日の正午までだった。

フィデルマは捜査を始めるが、次々と不審なことが見つかる。当日の夜警は事故死、証人の少女は行方不明…。何故そんなに死刑執行を急ぐのか。
エイダルフの命は今や風前の灯火。
フィデルマは間に合うのか。

ハラハラドキドキしながら読んでいました。
エイダルフは処刑されてしまうのかという、そんな時でもフィデルマはフィデルマ。王女様気質が抜けません。

謎解きは途中までこいつら怪しいと思っていましたが、最後の方でひょっとしたら…と思ったら、そいつでした。
エイダルフのことは最後はこうなるなと思った通りでしたが、それでもこのシリーズが好きですわ。(ネタバレになるので、詳しいことを書けないのがもどかしいですww)

このシリーズは三十三作も出版されているようです。一年に一作ずつ翻訳するとしたら、何年かかるのかしらねぇ。
好きなシリーズですが長編が多そうで、アガサ・レーズン・シリーズのように簡単に読めそうもないので、原文で読むのを躊躇しています。
十作目は短編集で、十一作目「Smoke in the Wind」がこのお話の続きのようなので、十一作目を先に訳してくれないかしら。
翻訳家さん、頑張ってね。


<今週のおやつ>


イギリスのコッツウォルズにあるベーカリー&ティールーム<ハフキンス>のスコーンです。
ジャムとかクロテッドクリームなしでも美味しいスコーンです。
おやつではなく朝食に食べてます。