M.C.Beaton 『Death of an Outsider』2023/04/24

ヘイミッシュ・マクベス・シリーズの三巻目。
お話の内容を表しているような表紙を選んでみました。


1月の下旬、スコットランドの北部ハイランド地方の小村ロックドゥの巡査ヘイミッシュ・マクベスは、フロリダにいる兄弟に会いに行くというマクレガーの代わりとして三ヶ月間、よそ者に冷たいCnothanという村に行くことになる。

マクレガーは引き継ぎも碌にせず、車のキーのありかも教えず、サッサと旅立って行く。
寒いのにセントラルヒーティングは朝晩の二時間しか使えないようにしてあるし、戸棚にはコーヒーも塩も何も入ってない。
来た早々にホームシックになるヘイミッシュ。

教会の牧師の妻、Mrs. Struthersは夫がいない時は色々と村のことを話してくれるのに、夫が帰ってくると途端にそっけなくなる。
唯一隣に住んでいるカナダ人の画家で四年前から村に住んでいるJenny Lovelaceだけがヘイミッシュに優しくしてくれそうだった。

駐在所に戻るとすぐに、Mrs. Struthersの話の中に出てきた、村の嫌われ者のMr. 
Mainwaringがやって来る。彼はイングランドで生まれ育ったが、8年前におばの屋敷と農地を相続し、この村に住み着いたという。
彼は妻のアガサが昨夜帰宅途中に通りかかった教会の墓地で三人の魔女に脅かされたので、すぐに犯人を見つけて捕まえろと言う。
噂通りのなんとも嫌な男だ。

The Clachanというバーに行くと、Harry Mackayという不動産屋が話しかけて来た。彼と話しているとMainwaringが二人の男たちとやって来たので、呼びかける彼を無視してヘイミッシュはバーを後にする。

次の日、Mainwaringに会いに行くと、妻のアガサがいた。彼女は6フィートもある、がっしりとした女性で、夫に隠れて酒を飲んでいるようだった。
彼女は魔女たちのことはどうでもいいと思っているようだが、Mainwaringが色々といちゃものをつけてきたので、ヘイミッシュは久々に切れる。

村に来てから三日目。
Cnothan Game and Fish Companyへ行ってみる。
店主のJamie Rossはロブスターやスモークサーモン、鹿肉などをロンドンで売っているという。
週末に息子の結婚式でインヴァネスに行くというので、ヘイミッシュは留守の間、様子を見に寄ろうかと申し出るが断られる。
留守は酒飲みで有名なSandy Carmichaelという地元の男に頼んでいるという。
ヘイミッシュは彼からMainwaringのことを色々と聞く。

駐在所に帰り、Jennyに会いに行こうと思い、身だしなみを整えていると電話が来る。Clachan Mohrの頂上に死体があるというのだ。
急いで行ってみると、死体はなく、ガイドの二人が仕組んだ悪ふざけだった。
頭に来たヘイミッシュは二人に手錠をかけ、波止場まで連れて行き、彼らを海に突き落とす。
駐在所に戻ったヘイミッシュは着替えて、予定通りJennyに会いに行く。
Jennyはプリシラにはない魅力を持った人物だった。

週末、Jamieの留守中にCnothan Game and Fish Companyにやって来たサンディはロブスターが入ったタンクの端にウイスキーの入ったグラスがあるのに気づき、飲む。それが呼び水になり、彼はバーに行ってしまう。
飲み過ぎでバーから追い出されたサンディは家に帰り、次の日の正午まで眠る。
起きてからまずいことをしたと思ったサンディはCnothan Game and Fish Com-panyに戻り、グラスをポケットに入れ持ち帰ろうとするが、ロブスターのタンクの水がピンク色なのに気づく。
覗いてみると…。

その日、ヘイミッシュははるばるとAngler's Restまで行ったが、何事もなかった。また何者かが彼をおちょくったのだ。

ヘイミッシュは日曜日の午前中は教会に行き、午後はMrs. Mainwaringの件で地元民に聞き込みをした。
Jennyの家に行くと、彼女は泣いていたようだ。カナダにいる姉妹が亡くなったという知らせが来たという。
彼女を慰め、帰ろうとすると、いてと言われたが、彼は断る。

次の日、Jamie Rossが来て、サンディがいなくなったと言う。
彼を探しに行こうとすると、今度はMrs. Mainwaringが来て、夫が二晩家に帰ってきていないと言う。
ヘイミッシュは二人を探しに行く。

インフルエンザで家にいるはずだった2人のこどもが遊びに行き、ストーンヘンジのミニチュア版のような立石のところで骸骨を見つけた。
ブレア警部がやって来て、駐在所からヘイミッシュを追い出し、また捜査から外す。
失意のヘイミッシュはJennyのところに行き、夕食を一緒に食べ…。

さて、捜査から外されたヘイミッシュはどうやってブレアを出し抜くのか、そしてJennyとの関係はどうなるのかが読みどころです。

ヘイミッシュも男ですから、魅力的な女性にフラフラとなっても仕方ないですよね。
そういえばこのお話はいつの時代かしら?
地主の娘と警官が付き合うなんて、とんでもないと思われているし、ヘイミッシュが「Proposal first. Bed later.」と思っているので、現代ではなさそうですね。

よそ者に冷たいという排他的な村は嫌ですね。
気のいいヘイミッシュが怒って怒鳴ったりするのも仕方ないです。
Jennyとどうにかなってしまうのも、淋しいからでしょう。

それにしてもブレアはいけ好かない奴です。
ヘイミッシュが事件を解決したというのに、いつも手柄を横取りするんですから。
いつか彼に天罰が下ることを祈っていますわ、笑。

そうそうロブスターがどうなったのか、気になりました。

四作目は『Death of a Perfect Wife』で、ロックドゥ村にやって来た夫婦の妻は何でもパーフェクトに出来る女性ですが、彼女、何か裏がありそう。
ヘイミッシュは次もブレアを出し抜くのかな?
kindleで買ってしまったので、次も読みます。