堂場瞬一 『暗い穴』&『報い』 ― 2025/02/13
警視庁追跡調査係シリーズの六作目と七作目。

『暗い穴 警視庁追跡調査係』
沖田大輝が夏休みを取り、恋人の響子の実家のある長崎へ行っている時に、追跡調査係に電話がくる。
一ヶ月ほど前、捜査一課の強行班に手を貸して逮捕した犯人が遺体を埋めたと自供したが、証言が具体的なので、本人を同行して穴掘りを始めたというのだ。
追跡調査係のメンバーたちは遺体の遺棄場所の檜原村に行き、穴掘りを手伝うことになる。
供述通り遺体が発見されるが、その遺体のすぐ側から、もう一つ遺体が見つかる。
西川は乗りかかった船だからと、この事件に噛むことにし、沖田を呼び戻す。
遺体の身元割り出しをする一方、西川は供述した犯人の相澤の取り調べを任される。
しかし、相澤はそれ以上頑なに話そうとはしない。
沖田は村で聞き込みを始めるが・・・。
今回出てくる犯人がすごいです。
サイコパスであり、最強のファム・ファタールです。(ネタバレになるので、知りたくない方はめくらないでね)
沖田も西川も餌食にならなくてよかったです。
今回見つかった5人以上人を殺していそうです。
もっと事件を突き詰めて欲しかったような気もしますが、こんなもんでいいのかも。
なんともいえない後味の悪いお話でした。
『報い 警視庁追跡調査係』
一ヶ月ほど前に肺癌で亡くなった男が、二年前に墨田区で起きた強盗致死事件の犯人を見ていて、犯人の顔の特徴を書いた日記を残し、それを読んだ家族が所轄に日記を持ち込んだ。
その特徴に当てはまるのが、ベテランのスリ、辰見一朗。
沖田大輝は追跡調査係の後輩刑事の三井さやかと庄田基樹を連れ、宇都宮に辰見の身柄を押さえに行く。
だが、辰見は八幡山公園の駐車場で瀕死の状態で発見され、「はめられた」という言葉を残し死亡する。
二年前の事件と今回の事件がつながっているのか?
沖田たちは、栃木県警から手出し口出しは無用とは言われたが、近所の聞き込みを始める。
一方、西川は七年前に杉並区で起きた強盗殺人事件に取り組んでいた。
不動産経営をしている夫婦が殺され、自宅に保管していた五千万円近くの現金のうち、二千万円が盗まれた。
初動は完璧だったのに、なぜか犯人に辿りつけなかったのだ。
沖田と西川は昨日の事件と七年前の事件の殺し方が共通しているのに気づく。
二つの事件の犯人は、同一人物なのか?
二年前の強盗致死事件も含め、三件とも関係しているのか?
西川は情報の入手先を考え、ある場所を思いつくが・・・。
西川の家庭に変化がありました。
妻の美也子さんの父親が亡くなり、母親が心配な美也子さんはしょっちゅう静岡に母親の様子を見に行っています。
美也子さんのコーヒーがないと、というか、美也子さんがいないと、西川も調子がでないようです。
沖田は相変わらず、響子さんと結婚せず、ぐずぐずしていますww。
40歳を過ぎると、なかなか決断できないものなのですね。
そうそう、猪突猛進の沖田が絶体絶命という場面もあります。
彼は懲りない人っぽいので、これからも色々とありそうです。
響子さんも大変ですねぇ、笑。
このシリーズには他のシリーズの登場人物がよく出てきます。
犯罪被害者支援課の村野が登場し、西川に「もっと被害者遺族のことを考えるべき」だと言っています。
温厚な西川でも、支援課から見ると強引に見えるのですね。
今回は人の恨みの深さを思い知らされました。
人に恨まれるようなことをしてはいけませんね。
それがいつか返ってくることがあります。
恨みを晴らすために考えたことがすご過ぎです。
本当にこんなことできるのかと思いました。
結構、このシリーズ、面白いです。
後三冊、読めそうです。
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