ジェス・Q・スタント 『ミセス・ワンのティーハウスと謎の死体』2025/02/24



気がつくと、梅の花が満開で枯れそうになっています。
寒いので、春は遠いと思っていたら、来週は三月です。
早いですね。
三連休は犬たちとはどこにもいかず、五島うどんを食べに行ってきました。
島で食べた方がおいしかったような気がします。



ヴェラ・ワン・チュウチュウはサンフランシスコのチャイナタウンに住む六十歳の女性。
夫のジンロンは亡くなり、ティルバードという法律事務所で働くジュニア・アソシエイト弁護士の息子がいる。
ヴェラはティリー(ヴェラは息子をこう呼んでいる)に毎朝四時頃と夕方にメールを送るが、滅多に返事は来ない。
ヴェラはチャイナタウンにある<ヴェラ・ウォンの世界に名だたるティーハウス>のオーナーだ。
昔は多くの常連客がいたが、今はアレックス、ただ一人で、客はほとんど来ない。
アレックスの妻のリリーは一年前にアルツハイマー病と診断され、いまでは家から出られないほどだそうだ。

ある朝、ヴェラはティーハウスの真ん中に死体がころがっているのを見つける。
すぐに警察に連絡して、警察官のためにお茶を用意した。
しかし、警察官はここで飲食はしないと言って、ヴェラを邪険に扱った。
ヴェラは<CSI:科学捜査班>を観ているから、捜査のことは知っている。
それに自分の店で人が死んだんだから、捜査状況を逐一知らせてもらいたいし、死の原因だって、仮説を提供する権利があるはすだ。
ところがグレイ巡査はヴェラを排除した。
そこでヴェラは決めた。役立たずの警察官の代わりに自分が事件の捜査をしようと。
早速、ヴェラは地元紙とティックトック、Xに死亡記事を出す。
これで犯人はティーハウスに来るはずだ。

ティーハウスにやって来た容疑者は4人。
リキ・ヘルワントという二十五歳の<バズフィールド>のレポーターとサナ・シンという犯罪ドキュメンタリーのポッドキャストをやっているという女性、殺されたマーシャルの双子の兄のオリヴァー、そしてマーシャルの妻のジュリア。
ヴェラは彼らに絶品料理を用意して、懐柔していく。

読み始めはヴェラおばさんの一日の描写なので、つまらなく思えるかもしれませんが、殺人が起きて、容疑者たちが集まり始めると、俄然面白くなりますので、しばし我慢を。

ヴェラのパワーは凄いです。彼女の強みは美味しい料理とお茶が作れることです。美味しい料理の前では、誰もが我を忘れますものね。
ヴェラは有無を言わせず、四人に料理を食べさせ、仲良くなり、殺人事件の調査を進めていきます。
ヴェラのパワーに屈した若者たちはこれからも彼女に引っ張られていくのでしょうね。

この本は昨年、MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞最優秀ペイパーバック賞を受賞したそうです。
二作目は『Vera Wong's Guide to Snooping(on a Dead Man)』といって、今年の四月に刊行予定です。
息子にガールフレンドが出来、人生も順調でしたが、一回目の殺人事件捜査に味をしめたヴェラは、知り合った若い女性の行方不明の友だち探しをするみたいです。
ホント、お騒がせなヴェラです。
二作目も面白そうですね。