「復活したの”脳の力”」―テイラー博士からのメッセージ2009/05/08

今日、職場からの帰りに電車に乗っていた時に、ふと窓を見ると、虹が見えました。
久しぶりの虹です。
金閣寺の上に出た虹を見て以来です。
なにやらいいことが起こりそうな気がします。(写真は今日の虹です。)

NHK総合で昨夜放送された番組です。
ジル・テイラー博士は現在50歳。
彼女は37歳の時に、脳卒中で倒れました。
その時の彼女は、ハーバード大学で神経解剖学を研究していました。
最初は自分に何が起きたのかわからず、気づいた時も、<脳科学者が体験した脳卒中>ということで、好奇心の方が勝っていたそうです。
自分に起こったことを冷静に見ていたのです。流石学者!
なんとか一命を取り止めましたが、彼女の左脳に出血がありました。
左脳は主に言語機能や論理的思考、分析を司っています。そのため、彼女は言葉が話せなくなりました。
彼女の母親、ジジは数学者で、ジルが脳卒中で倒れたときに退職間近だったため、娘のリハビリの手伝いをしたそうです。
幼児のような能力しか残らなかった娘のために、絵本やパズルなどを使い、ひとつひとつ教えていったのです。
最後まで大変だったのは、計算で、計算の中でも割り算が一番難しいのだそうです。

テイラー博士は、左脳が働かなくなってから、「涅槃の感覚」を味わったと言っています。
彼女は不幸ではなかったのです。むしろ幸福感を味わっていたのです。

面白いのは、脳卒中後、彼女の芸術方面の能力が増したことです。
病気になる前から、ステンドグラスを趣味としていたのですが、病気前の作品は色数も少ない、ぱっとしないものです。
しかし、病後の作品は色数が増え、なんともいえず、美しいものです。(彼女は脳がすきなのですね。作品はなんと”脳”でした。)
左脳が働かなくなって、右脳の働きが活発になったのでしょうか?
ひょっとすると、私達は左脳の働きのために、休むことなく物事を定義づけしすぎていて、幸福感を感じる暇がないのかもしれません。

今の彼女には全く脳卒中の後遺症が見当たりません。
彼女は同じ病気の人達にこう思うようにと言っています。
「脳卒中の犠牲者ではなく、生存者である」と思いなさいと。
なるほど、生存者と思えると、前向きに考えられますよね。
彼女の姿を見ると、人間の中に潜んでいる力を信じられます。
私なんかは、どう考えても左脳ばかり使っているので、考えるのを止めて、風を感じたり、自然の音を聞いたりということをした方がいいようです。
テイラー博士の言うように、「意識的に半球のバランスをとる」ことが必要なようです。