北村薫 『ニッポン硬貨の謎』&『ひとがた流し』2009/05/13

新しく出ていた北村薫の文庫本を2冊買ってみました。
彼は、一応推理小説を書いていますが、なんていうか、ホカホカと心が温かくなるような推理小説を書いています。
なんといっても、殺人が少ないというのが、彼の推理小説が他のものと大きく違うところです。
『ニッポン硬貨の謎』はエラリー・クイーンが出版社の招きで日本に来て、たまたま興味を持った幼児連続殺人事件を解くという内容です。
彼の作品では珍しく、幼い子供の殺人がありますが、それでも彼の描くクイーンや女主人公の小町奈々子なんか、今の世の中にいないような人たちです。(私の周りだけ?)
私はクイーンは読んでませんが(たぶん)、クイーン好きにはおもしろいんじゃないのかしらと思えるところがたくさんあります。
クイーンが好きな方は読んでみてください。
クイーンを知らない人には物足りない推理小説でしょう。

もう一冊は、推理小説ではありません。
『ひとがた流し』という変った題名の本です。
十代の頃からの友人同士の女3人のことを描いた作品です。
これまた、とってもいい人たちが出てきます。
まあ、出来すぎという印象を持つような作品です。
よくある話で、筋が読めちゃうんです。
落ち込んでいて、人を信じたくなる時に、北村薫を読むといいようです。
彼って性善説の人ですね。

そのとおりと思えたところを書いておきましょう。

「小さなことの積み重ねが、生きてくってことだよね。そういう記憶のかけらみたいなものを共有するのが、要するに、共に生きたってことだよね。」

2007年にNHKでドラマとして放送されたようです。