「絵画探偵ハロルド・スミス 消えたフェルメールを探して」を観る2009/05/27

現存するフェルメールは35点。そのうち、盗難のため現在見られないものが1点あります。
「合奏」です。
この絵画はボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館所蔵でしたが、1990年3月、警官をよそおった何者かが侵入し、ドガやモネ、レンブラントと一緒にフェルメールの「合奏」を盗んで行ったのです。
500万ドルもの懸賞金をかけても、まだ見つかっていません。
そこで登場したのが、絵画探偵ハロルド・スミス。
彼は山高帽に黒いアイパッチ、そして50年間わずらっている皮膚ガンのために義鼻をつけています。
この映画がドキュメンタリーであることを知らなかった私は、始めは誰か俳優が演じているのだと思いました。
ところが、本人だったのです。
ものすごい存在感です。

彼は、8人いる子供のうち、たった一人、跡を継いでくれた息子と一緒に、捜査を始めます。
いろいろな人の名前もでてきますし、情報提供者にお金を払い、だまされたりもします。
一体どこにフェルメールの「合奏」はあるのでしょう。
美術収集家の美を独り占めにしたいというエゴのせいで、我々にはもう「合奏」が見られないのでしょうか。

ハロルド・スミスもいいキャラクターでしたが、もう一人の人は、もっとすごいですよ。
そう、美術館の名前になっているイザベラ・スチュワート・ガードナーです。
彼女は上流階級の男性と結婚し、2歳の息子を無くすという不幸に見舞われ、その後、父親の多額の遺産を相続したことから、絵画を買いあさったのです。
彼女は美人ではなかったのですが、スタイルがよかったようです。
彼女の肖像画の腰のラインが、すごいですよ。
夫そっちのけで、絵画を買っていたらしいのです。
彼女の死後、住んでいた邸宅は美術館になり、遺言で作品の貸し出しや、新しい作品を加えること、あるいは展示位置を変えることが禁じられています。
そのため、盗まれた絵のところには現在、額縁だけが飾られています。

結局「合奏」は見つからなくて、一体この映画は何だ!といいたくなりますが、まあ、ガードナー美術館の紹介だと思えば、腹も立ちませんわ。
ボストンに行ったら、行ってみたいところになりました。