中野京子 『怖い絵 3』2009/10/24

『怖い絵』シリーズの最終巻。知らない絵が多かったのですが、結構この巻はおもしろかったです。
なんと言ってもレーピンの『皇女ソフィア』を見ると、怖いです。こんな女性が、もし職場にいたら、私はサッサと逃げ出します。絶対に私とは合いそうもありません。絶対に私は嫌われます。彼女に嫌われたら即首がはねられます。
(写真を載せると夜にうなされる人がいそうなので、載せません)

17世紀ロシアはロマノフ家ロシア皇帝アレセイの時代。
アレクセイは二度の結婚で多くの子供がいましたが、彼が亡くなったため、年齢順で子供たちが皇帝の座につくことになります。
フョードル→イヴァン→ピョートルという順番でした。
しかし、フョードルは皇帝になって六年目に死亡。イヴァンには知的障害がありました。
次はピョートル。
そこに横槍が入りました。
イヴァンの姉、つまりピョートルの異母姉、ソフィアが、イヴァンが敵方に殺されたと嘘の情報を流し、宮殿に銃兵隊を差し向け、ピョートル支持者を血祭りにあげたんです。
怖~い。
でもピョートルを殺さずにいたところが、ちとわかりません。
ピョートルも黙っちゃいません。
ひそかに私的軍隊を養成し、17歳の時、ソフィアに反撃をして、無事ピョートル一世になりました。
でも、彼もソフィアを殺さず、生かしておくんですね。
あんな女を修道院に閉じ込めておくだけでいいんでしょうか?
案の定、ソフィアはピョートルがヨーロッパ視察大旅行に行っている間に動き出します。
が、残念。失敗に終わりました。
ソフィアが裏で糸を引いていることはわかっていても、どんなに拷問しても、誰も口を割りません。
ピョートルよりソフィアの方が怖いんですねぇ。
ピョートル一世は腹立ち紛れに1500人近くを処刑。首謀者3名を殺し、その死体をソフィアの部屋の窓に吊るしました。
そして、ソフィアを尼にするように命令し、兵士と僧たちがいやいや(たぶん)ソフィアの部屋に入っていくと、そこには毅然として立ち、やるならやってみろよ、と睨み付けているソフィアがいたんです。
とっても怖いですね。

三巻には他にも怖い女性が出てきます。
例えば、メドゥーサやメディア。
でもこの絵のソフィアに勝てる女はいません。
絵はトレチャコフ美術館にあるそうですが、この絵を見る人はいるのでしょうか?

本には、他にボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』、シーレ『死と乙女』、伝ブリューゲル『イカロスの墜落』などの”怖い”絵の説明があります。
説明を読むと、より絵が身近になりますね。

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