酒井雄哉&茂木健一郎 『幸せはすべて脳の中にある』2010/06/07

脳科学者、茂木さんが、千日回峰行を2回も満行した天台宗大阿闍梨、酒井雄哉さんの話を聞くという内容の新書です。


千日回峰行は調べると出てきますし、この本の13ページに書いてあるので、ここには書きませんが、2回も行なった人は3人しかいないそうです。
酒井さんはもともとはラーメン屋やセールスマン、株のブローカーなどをやっていた人です。そういう彼が37歳で宮本一乗の千日回峰行の「お堂入り」に立ち合うことになり、40歳で縁があって比叡山で得度することになるのです。
彼は何故他の人ができない千日回峰を2回もできたのでしょうか?彼が何回も言っているのは、「空っぽ」ということです。

「頭が空っぽになっていると得なときがあるんですよ。「これ、やりなさい」って言われたら迷いもなくやっちゃう」
「頭を空っぽにして目の前のことをやるだけなんだ。」

「空っぽ」というと聞こえが悪いですが、「無心」と言ってもいいかもしれません。
無心になるにはどうしたらいいのでしょうか。
歩くことだといいます。
右の足、左足とただ歩いているうちに、だんだんと身体の感覚がなくなり、ふっと気づくと・・・時間の感覚もなくなっていて、人は無心になっているそうです。
 
「あまり頭の中が複雑になっちゃうと、人はかえって動きが取れなくなってしまうものかもしれないな。物事を単純に考えてると、案外楽なんだよ」

茂木さんが「どうしたら人間が幸せになれるのか」と聞きます。
すると、酒井さんは答えます。
「簡単ですよ。今いるところが一番の幸せだなと思っていればいいんだと思います」
いろいろなことにこだわってしまうと、自分が不幸に見えてきます。こだわることを止めると、心は落ち着き、今が幸せだと思えてくるように思います。
前に読んだ『心は病気』と言っていることが同じですね。