海堂尊 『チーム・バチスタの栄光』2010/06/28



司書さんお勧めの本です。
どうも私は日本の作家にうとく、この本はテレビドラマになっているし、映画にもなっているようなので敬遠していたのです。でも、いい意味で裏切られました。
だって、ドラマでは田口公平:伊藤淳史、白鳥圭輔:仲村トオル、映画では田口公平が女になっていて、田口公子:竹内結子、白鳥圭輔:阿部寛ですから。
実はドラマも映画も見ていないのです。それでも本とは、特に田口が全然違います。(でも、白鳥の阿部ちゃんはいいかも)
つり革広告からは、イケメンが多いので、もっとシリアスなものかと思っていました。や~、読んでみるもんですねぇ。
妙に病院の内幕に詳しいので、もしやと思って調べてみると、海堂さんって医者なんですね。やっぱりねぇ。
一番気になったのは、バチスタ手術って何かということです。この手術、とんでもないです。特発性拡張型心筋症に用いられる手術で、心臓移植ができない患者の拡張した心臓の左心室を三分の一ほど切り取ってしまうというものです。

バチスタ手術を行なってほぼ100%に近い成功率を誇っていたのが、東城大学医学部付属病院心臓外科医の桐生恭一が率いるチームでした。
ところが、立て続けに三例、術中に患者が死ぬことがありました。
そこで、神経内科学教室の万年講師で不定愁訴外来、別名愚痴外来担当の田口公平が、病院長高階から呼ばれます。
高階は田口に桐生の手術チームの調査を依頼するのです。
行灯、グッチーとも呼ばれている田口は、何でオレがと思いながらも、高階に卒業試験の時の恩があるので、仕方なくチームの面々から話を聞いていきます。
田口の捜査が行き詰った時に、厚生労働省大臣官房秘書課付技官、白鳥圭輔、自称ロジカルモンスターというとんでもない男が現れ、田口と一緒に患者の死亡の理由を探っていくことになります。

田口と白鳥の個性の違いがとってもおもしろいですし、医師が書いただけあり、医学的表現が正確です。
ミステリーとしてどうかというよりも、人間のおもしろさで読ませてくれます。
読む本がない時にどうぞ。