アンナ・マクリーン 『ルイザと水晶占い師』2010/06/21

『若草物語』を書いたルイザ・メイ・オルコットが活躍するシリーズの三作目です。


ルイザは家族と離れ、一人ボストンに住み、執筆をしながら、牧師のシャツを縫って暮らしていました。
親友のシルヴィアは前回は儒教にだったのに、今回は降霊に夢中になっています。亡くなった父親の霊に会いたいと言うのです。
ルイザはシルヴィアから一緒に降霊会に行って欲しいと頼まれます。
もちろんルイザは霊なんて信じていません。しかし、人を信じやすいシルヴィアを守るためにルイザは降霊会に行くことにしました。
降霊会には招待された人しか行くことができませんでした。
聡明なルイザは降霊会のペテンを見破ります。
シルヴィアのために2回目の降霊会に参加しに行った時、パージー夫人が密室で死んでいました。
ルイザはまたまた犯人探しをすることになります。

今回はなんと母親から結婚を強く勧められているシルヴィアが、ボストン警察の巡査のアルバート・コバンに秋波を送り、二人はいい感じになってしまいます。
ルイザの妹のリジーがボストンにやってきて、ルイザのところに滞在します。
ルイザはピアノ好きのリジーのために、クリスマスのプレゼントとして買ったものは、とっても素敵なものです。
ルイザ一家の仲のよさがよくわかります。

ルイザ一家とエマーソンは交流がありました。(ちなみにエマーソンはアメリカの思想家です)
ルイザは事件が解決した後に、エマーソンならこう言うだろうといいます。

「普遍的な精神は喜びを楽しみ、闇に置き去りにされるべきではない。わたしたちの最高の本能は幸福を求め、犯罪のほんとうの罪は幸福を破壊することだ」

ルイザの哲学的なこと。
残念ながら、名探偵オルコット・シリーズは次回作が発行されていないそうです。オルコット一家のその後が気になるのですが。
『若草物語』でルイザが有名になるのは、この話の13年後です。
後年彼女は女性参政権を主張し、コンコードで始めての投票権を持った女性となりました。生涯独身で、若くして亡くなった妹の娘を引き取って育てたそうです。