森 博嗣 『すべてがFになる』2010/11/20

森さんの本は本好き同僚がだいぶ前に進めてくれて、読んだのですが、書くのが遅くなってしまいました。

よく文系、理系といいます。でも、これもいい加減ですね。
高校時代に数学と物理が得意だった私ですが、全然理系ではありませんでした。
だって考え方が理論的じゃないですから。
どう考えたって文系です、などというと怒られそう。
どんな学問にも理論が必要ですからね。
ようするに、物より人に興味があったと言った方がいいでしょうかね。

同僚がなんて言って紹介してくれたかというと、森さんは理系の人で工学博士なので、本もここでこうなるから、こうだというように論理的でおもしろいというような感じでした。

本屋で見ると、なんだかたくさんあるんですね。
ちょっとひるんでしまいました。
一番有名なのがメフィスト賞をとった『すべてがFになる』だということなので、買ってみました。
シリーズ物がたくさんあって、これは「S&Mシリーズ」っていうんですってね。


「S&M」とはS=N大助教授・犀川創平の頭文字。M=N大工学部建築学科一年生・西之園萌絵の頭文字。
な~んだでしょ。大した意味はありません。

西之園萌絵(なんだ、この名は!理系の人はこういう名が好きなのかしら?その上美人でスタイル抜群の御嬢さん)は犀川の恩師えN大総長だった西之園恭輔博士の娘。その関係で萌絵はよく犀川の研究室に出入りしています。

萌絵はどうも犀川のことが好きらしいのです。

萌絵は名門西之園家の政治力を使い・・・そう西之園家は名門なのよ。
叔父は愛知県警のトップで叔母は県知事の夫人。全国に散らばった西之園家の親族はそれぞれの分野で地位と富の頂点にいるそうです。

萌絵は西之園家の政治力を使い、コンピューターサイエンスの頂点に立つ天才プログラマの真賀田四季博士に会ってきたというのです。

真賀田博士は十一歳でMITのPh.D.を取得しています。
天才という名にふさわしい彼女は、十四歳の時に両親を殺害したことで世界的に有名になります。
裁判では心神喪失状態にあったと認められ、無罪になりました。
現在は人々の前から姿を消し、愛知県内の孤島、妃真加島にある研究所に隔離され、研究を続けています。

真賀田博士に興味のある犀川に萌絵は、博士に会えるかどうかわからないけれど、ゼミ旅行で妃真加島でキャンプをしたらいいと言い出します。ちゃっかり自分も参加しようというのです。

ゼミ旅行で妃真加島に行った犀川たちと萌絵は、予期しない殺人事件に遭遇します。

密室殺人事件です。

しかし…。

ちょっとこじつけかと言いたいところがあり、まじめに謎解きしていた私は肩すかし。
理系ミステリに否定的になりそう。
そう思い、二作目の『冷たい密室と博士たち』も読みましたが、なんかね、登場人物たちに深みがないのよね。

工学的知識があって論理性が好きな方にはいいのかもね。
といってもミステリですから・・・。