石持浅海 『水の迷宮』2011/10/28



これはミステリーですが、経済小説としても読めるということなので読んでみました。

三年前に不慮の死を遂げた水族館職員片山の命日の日。
羽田国際環境水族館では不審な出来事が起こります。
館長宛に届けられた携帯電話に、不思議なメールが次々と送られてきたのです。

メールは一見すると何気ないことが書かれていますが、よくよく意味を考えてみると水槽の汚染を示唆する内容なのです。
水槽に行って確かめてみると、いたずらがされています。
いたずらされた水槽はどれも片山が亡くなる当日に水温トラブルを起こした水槽でした。

一体誰が何のために、このようなメールを寄越すのか?
水族館職員たちは必死に自衛策を講じますが・・・。

水族館や動物園の職員になりたいという若い子が多いですね。
私も相談されたことがあります。
どう考えても、水族館や動物園は数的に少ないですから、そんなに採用が多いとは思えません。
この本の中にも水族館に勤めるために、職員の空きがでるまで待つということが書いてありました。
本当に勤めたかったら、動物系の大学に行ったりしてコネを作っておくといいんでしょうね。後は運かな?

水族館が閉鎖されないように頑張る職員の姿に旭山動物園を思い出しました。
旭山動物園も職員の方々が相当の努力をして今の姿になったようですから。

羽田国際環境水族館はどのようにして、起死回生を果たしたのか。
夢をどう形に変えていったのか。

ミステリーとしては色々と穴がある上に事件の片付け方に納得できない人もいると思います。
でも、夢を追う男の話としては素敵な話です。