百田尚樹 『風の中のマリア』2011/11/29



永遠のO』が面白かったし、元同僚も勧めてくれたので読んでみました。
でも『永遠のO』とは全く違ったものでした。
題名からしてちょっととは思ったのですが、違う意味で騙されました。

マリアとはなんとオオスズメバチの働き蜂の名前なのです。

私はハチには興味がありません。
前に読んだ『ハチはなぜ大量死したのか』は面白く読めましたが、この本は小説としてどうでしょうか・・・。
生物に興味のある人には面白いかもしれません。

ようするにハチを擬人化した物語です。
ハチが話せたら、たぶんこういう風に考えるんだろうなぁと作家が想像して書いたものです。もちろん学術的に正確なものだと思います。

私の知らないことがたくさんでてきました。

例えば、ハチはどんな種類でも花の蜜を吸って生きているんだと思ったのですが、違うんです。
オオスズメバチの幼虫や蛹は蜜なんて食べないんです。肉食なんです。
チョウやコガネムシ、イモムシ、クモ、ハナバチなどの肉団子を食べるんです。
働き蜂は獲物を捕えて殺し、顎で砕いて肉団子にして幼虫たちにあげるんです。
意外と残酷なんですね。
一方、成虫たちは樹液や花蜜、幼虫の出す唾液を食べます。

秋になり餌が足りなくなると、オオスズメバチたちは他のハチの巣を集団襲撃します。
十頭のオオスズメバチが三万を超えるミツバチを虐殺なんてこともあるそうです。
恐ろしい。

ニホンミツバチはオオスズメバチに勝つために蜂球などというものを作ります。
集団でオオスズメバチのまわりに集まり、球のようになり、そこにいる全員が翅をふるわせ蜂球の中を摂氏四十八度にして、中にいるオオスズメバチを熱死させるのだとか。
すごいですね。

ちなみにオオスズメバチってこんなハチです。


ハチってしっかり見たことがないので、遭遇したことがあるかどうか何とも言えません。ハチの違いがよくわかりませんわ。

人間とは違い、本能のままで生きているオオスズメバチの生きざまに感動できるかどうかによって評価がわかれるでしょうね。