石黒敦久 『笑う書店員の多忙な日々』2018/06/14



弟犬が、私が北海道から戻って以来、ご飯を食べなくなりました。
いない間に食べないなら、ママがいなくてさびしくてと思うのですが、帰って来てからですから、何ででしょうね。
バナナやおやつは食べるのです。
ひょっとすると贅沢病?



本が売れなくなり、どこの書店も困っているのでしょうね。
図書館と書店の違いは、色々とありますが、一番の違いは売れる本を仕入れるということですかね。
それにしても、公立図書館と書店も同じで、時給が安く、バイトが多い、社員が少ないですか。ブラックですね。
本が好きだからというだけで、こういう風に働けるということはすごいですね。
そういう人ばかりだからか雇う方もそれにあぐらをかき、時給も上がらないのか?
どうにかしないと、そのうち本当に書店はやっていけなくなりそう。
本好きの私でもいつ書店に行ったっけ、という感じだものね。
今や書店に行かなくても、アマゾンで買えるし、kindleもあるし。

四ツ谷にある書店に新人バイトの沙和が入ってきました。
一週間もつかどうかで、賭けをやる先輩書店員たち。
本好きお嬢さまの沙和でしたが、意外と周りと馴染んじゃいました。

変わった営業マン、万引き犯、個性的な書店員、やって来るお客さんなどが引き起こす数々の出来事。
その中でも新人のデビュー作で全店フェアを企画するなんて、現実的ではないですけど、おもしろかったです。
売りたいと思ったから、売れて欲しいと思ったからという想いは大事ですが、書店は売れる本を売るというのが基本ですよねぇ。

小学生たちのビブリオバトル。
実際にやるのは見たことないけど、やってみると面白そう。
今の小学校などではやっているのかしら?
時代は変わっているのね。
私の時はそんなのなかったですもの。

スラスラと読める本ですが、お仕事本に認定するにはリアリティが乏しいかもね。

小路幸也 『ヘイ・ジュード』2018/06/15



相変わらず、ママがパソコン部屋にいると、柵を押しのけて部屋から脱走する兄犬。
すぐにママのところに来ないで、床に食べ物が落ちていないか確かめるところが何とも言えませんが、兄の様子を見ている弟は、吠えて兄が逃げ出したのを教えてくれるチクリ魔です(笑)。



変わらないバンドワゴンの世界。
13冊目です。
マンネリ化しているといつも言っていますが、それでも今回はおもしろく読めました。
堀田家の何人かの人たちと親しい人に人生の岐路が訪れます。
簡単にまとめると、花陽が医学部受験をし、なんと彼氏ができ、藍子とマードック夫婦はイギリスへ、藤島さんのお父様が亡くなり、遺産相続のゴタゴタがあり、我南人のバンド仲間のボンさんは病気になり、研人は自分のゆく道を決めました。
ハハ、簡単すぎ。本を読んでね。
とにかく、みんな其々に年を重ねていきます。

この本は一年ごとの小路さんからのお便りだと思って楽しみにしていきましょう。
次回は結婚式の場面から始まって欲しいですね。

谷中は、こんな家族がいると思える場所です。
この頃、観光客が多すぎですが。

碧野圭 『菜の花食堂のささやかな事件簿 金柑はひそかに香る』2018/06/16

弟犬の食欲は元に戻りました。
暑かったので、食欲がなかったのでしょう。
今日はペロッと完食でした。


お昼だけの小さな食堂、菜の花食堂で、瓶詰を作って売ることになりました。
初めは2種類のピクルスから始め、ジャムなども増やしていく予定です。
靖子先生の他に香奈さんが菜の花食堂を手伝っています。
優季は月に二度、助手として料理教室を手伝っていましたが、瓶詰を作り始めると今までのように片手間に手伝っていられません。
優季は派遣の仕事をどうしようかと悩んでいました。
正社員にという話が出てきたのです。
そういう時に靖子先生が言いました。

「好きなことばかりできる人間はなかなかいない。だけど、ほんとうに大事な感情は手放しちゃいけないわ。こころが喜ぶことをしていれば、面倒なことも面倒ではない。ひとつひとつのことが、意味のあることになりますから」

正社員ならお金に困らないからと堅実な人生を歩んでいっても、堅実な人生を捨て、こころが喜ぶことをしても、どちらがいいか、誰も答えを出せません。
どちらを選ぶかは、その人次第。
やってしまって後悔するのか、しなくて後悔するのか、どちらがいいかも同じく、その人次第。
言えることは、何でもやってしまえばどうにかなるもの。

優季は勇気を出して一歩を踏み出します。

もちろん、靖子先生の日常の謎解きもありますよ。
読むたびに食べ物をちゃんと作んなきゃと襟を正される本です。

小池真理子 『死の島』2018/06/17



澤登志男は、文藝編集者として出版社に勤務し、定年後、カルチャースクールで小説を教えていました。
しかし、数年前に腎臓癌に罹り、手術したのですが癌が転移し、後、どれぐらい生きられるのかという段階になってしまいました。
そのため、カルチャースクールを辞めて、人生の幕引きをどうつけようかと考え始めました。
カルチャースクールの最後日に、講師としての彼を崇拝する若い女、樹里が彼を待っており、話がしたいと言います。
彼女は彼が褒めてくれた作品の話は自分の家族に本当にあったことだと話します。
彼は彼女の話を聞いた後、衝動的に自分の余命のことを話してしまいます。

死を前にして思い出すのは、別れた恋人、貴美子とのこと。
貴美子は独身を貫き、自分の意志で、自宅で亡くなっていました。
彼に残したのが、一枚の絵、ベックリンの「死の島」でした。


彼に近づいてこようとする樹里に、彼は言います。
「おれが死んだらおれのことを書け」
彼は樹里を遠ざけ、一人、別荘へと向かいます。

自分が余命何ヶ月になったら、どうするのか。
最後まであきらめずに治療をつづけるのか。
貴美子のようにするのか、志男のようにするのか。
たぶん、貴美子のようにするんだろうなと思います。
まだまだ日本は尊厳死とか安楽死なんて認められていませんから。

それにしても、初老の男の考えることはしょうもないことですねぇ。
と言って、私が考えることも、どうでもいいことなんでしょうね(笑)。

絵の「死の島」のように、そっと死へ向かって船を漕いでいるような小説でした。

久坂部羊 『祝葬』2018/06/18



医者が多い家系なのに短命という土岐一族。
本当に土岐家は短命の家系なのか。
土岐家の医師たちがどのように亡くなったのかが、次々と書かれていきます。

本を読み終わって、つくづく思います。
人間ドックを受けても被爆して癌が発生する可能性があるし、長生きしてもそんなにいいことがないみたいだし・・・。
ほどほどがいいのはわかっていても、死ぬのは怖いし・・・。

昨年の12月に亡くなった母は、たとえ歩けなくなって寝たきりになっても生きたいと言っていました。
私なんかはそんなになる前に死にたいと思うんだけど。
どっちがいいのか答えはありませんがね。
久坂部さんの本を読むと、なんでもほどほどがいいと思います。
我が家の母親たちのように、病で長く苦しまないで逝くのがいいのですが、それは選べませんからね。

今からどう死ぬのかを考えるより、どう悔いのない生き方をしていくのかを考える方がいいような気がしてきました。
死に方は選べないけれど、生き方は選べますから。
さて、こころの喜ぶことは何かしら。



そんなわけで、というわけではないのですが、そろそろ鰻の季節です。
近所には2つ鰻屋があります。
一番近いお店に行くと、売り切れでした。
仕方なく、もう一軒のお店で鰻を食べました。
ここは丼物が塩辛かったなぁ…心配。
食べると、鰻のタレはそれほど塩辛くなかったので、よかったです(笑)。

群ようこ 『優しい言葉 パンとスープとネコ日和3』&『婚約迷走中 パンとスープとネコ日和4』2018/06/20



スープとサンドイッチのお店を営んでいるアキコ。
前に飼っていたネコが亡くなってから、なんと二匹の腕白兄弟ネコがやってきました。
二匹は兄弟ですから、とっても仲良しで食いしん坊です。
最初に出てくる彼らの様子が、我が家の犬の様子とダブっています。
ネコも犬も結構似たところがあるのかな?

ネコも二匹になると、飲食業では毛が気になるところ。
従業員のしまちゃんもネコを飼っていますから、お互いに注意をし合っています。
そんな頃、近所にアキコの店を似せたカフェができるとか。
気にするしまちゃんですが、アキコはそんなことにもおかまいなし。

しまちゃんと仲のいい男の人がいました。
二人の仲はどうなのか、アキコは気にしつつも聞いたりはしていませんでした。
ところが・・・。


婚約したのは、もちろんあのしまちゃんです。
子どもができてもお店を手伝ってと言ってあるのですが・・・。

しまちゃんは体育会系女子で、相手のシオちゃんには優しくありません。
彼が迎えに来て、お店に入ってくると、けじめをつけるのだと言って、怒って外で待つようにいいます。
その後、どうもお仕置きをしているようです。
シオちゃんのお母さんが娘ができて喜び、しまちゃんといろんな所に行こうとすると、しまちゃんは困ってしまいます。
結婚式にドレスを着るなんて、もってのほか。
色々と考えると面倒なので、婚約解消まで考える始末。
しまちゃん、いい子なんですが、今時の女子には見られない、ちょっと頑なな所があります。
シオちゃん、かわいそう。

アキコの周りでは色々と起こるのですが、彼女はのんびり、悠然と日々を過ごしています。
夏休みでも家にいて、ネコとくつろぐだけ。
世の中の人々は予定がない状態を嫌がり、予定を入れるのに必死になっているというのに、アキコは一人の世界を楽しむ。
いいですね。

次はアキコの周りでどんなことがあるのかしら?

茅の輪くぐり2018/06/21



神田明神で茅の輪くぐりをしてきました。
茅の輪の横に柵みたいなものが置いてあり、大分歩かなければなりません。
何でだろうと不思議に思っていたら、ある人が言うことには、神田明神は人が結構多く参拝するので、待つ人を減らすために置いたのではとのこと。
私が行った時は雨で人がいなかったけど、晴れると参拝客が多いのかもしれませんね。
これで穢れを祓ったので、いいことあるかしら?

伊藤比呂美 『閉経記』2018/06/22

弟犬の肝臓の薬をごまかすために犬の餌のトッピングとしてヨーグルトを使っていましたが、切らしたので、なしで餌をやると、兄犬が「エ?」という顔をして、餌を食べませんでした。
次の日もヨーグルトを買うのを忘れたので、トッピングなし。
同じように「エ!」という顔をして、餌を食べませんでした。
面倒なのでほっておき、夕方、帰ってきてみると餌はそのまま残っています。
しかし、食事の用意をしてから餌をやろうとすると、餌がなくなっていました。
流石にお腹が空いたのでしょうね。
軽目に餌をやると、これも食べました。
弟のハンストは3日間、兄は1日しかもちませんでした(笑)。


この本は特に閉経について書いているわけではなく、老いていくと女性なら誰にでも起こる出来事を、辛辣にかつユーモアを交えて書いています。
更年期の年代になると、身体は変わり、体重は減らず、親は老いて介護が必要になり、亡くなったり、夫は偏屈になり、子どもは去り・・・。
伊藤さん自身も、再婚してカリフォルニアに彫刻家の夫と住み、父親の介護に月に一回、熊本とアメリカを行き来し、娘が3人いて・・・色々とあります。

気になったのが、ズンバ。
エアロビよりもおもしろそうですが、近所にやっているところ、あるかしら?
動画で見ると、若い人が踊ってますね。
日本の50代女性はスポーツクラブに行かないですものね。

勉強不足ですが、「漢」を「おんな」と読ませていますが、「おとこ」のことではないのですね?
伊藤さんのオリジナルでしょうか?
おんなもおとこと同じように勇敢に人生に立ち向かっているという感じですかね。

男性が読むとどうかはわかりませんが、女性は共感する部分がたくさんあると思います。
若い女性は自分が年取った時の参考になるかも。
私はパワフルな伊藤さんを人生の師として見習うことにします(笑)。

レイ・ペリー 『ガイコツと探偵をする方法』2018/06/23

新しいコージー・ミステリ・シリーズです。


非常勤の大学講師の職を得て、故郷の街に帰ってきたジョージア。
大学教授の両親がいない間、彼らの家を借り、娘と一緒に暮らし始める。
その家の屋根裏部屋には幼馴染の親友、シドがいる。
実はシドは「歩いて喋る骸骨」。
シドは人間だった時の記憶は全くないのだが、オタクの娘についていった先で見覚えのある女性と遭遇する。
このことをきっかけに、ジョージアとシドは二人でシドの前世を調べることに。
しかし、その女性が何者かに殺されてしまう。
さて、二人はシドの前世を知ることができるだろうか。

日本もそうかもしれませんが、終身雇用の資格のない大学の講師って大変なんですね。
読んでいるとかわいそうになってきます。
でも、話は明るく、楽しく、後味はいいですよ。
ただし、あなたが骸骨がしゃべって、動いて、読書をし、パソコンすることに違和感を感じないのならね(笑)。

須賀しのぶ 『革命前夜』2018/06/24

この頃の流行なのか、音楽をメインにした本が多くなりましたね。
この本の主人公もピアノを専攻する男性です。


父親が聴いていたバッハに影響を受け、1989年、バブルで湧いている日本から、まだ共産主義の国へと、ピアニストの眞山は音楽留学をしました。
ドレスデンの音楽大学には様々な国から来た留学生がおり、才能あふれる人たちがいました。
その中で、ひょんなことからハンガリーから留学しているヴァイオリストの伴奏をすることになります。
彼の伴奏をすると、つぶされると言う噂もあり、実際に眞山も彼に振り回されることになります。
そんなある日、教会でバッハを弾く女性に出会います。
彼女のバッハは眞山にとって天啓のようなものでしたが、彼女は国家保安省から監視されており、その教会で弾く以外に音楽家として活動ができなかったのです。

東ドイツはまだ冷戦下で自由は制限されている監視社会でした。
しかし、時代は変わろうとしていました。

革命とはベルリンの壁崩壊のことです。
ついこの間のことのように思えますが、大分経ったんですね。
ベルリンやドレスデン、プラハには行ったことがあり、あの場所かと思いながら読めて、旅行はするものだなとあらためて思いました。
ふと入った教会からパイプオルガンの音が聞こえてくることが、本当にありましたから。

残念なのは、前半は音楽的なことに苦悩する眞山だったのに、後半は時代に翻弄される仲間を助ける眞山になってしまい、彼の求めるバッハはどうなったのかしらって思いました。

音楽(+社会)を描いた作品の中で、お勧めの一冊です。