大鐘稔彦 『孤高のメス』全巻読破2019/01/29


『孤高のメス』は堤真一主演の映画にもなっているし、1月から滝沢秀明主演でテレビドラマもやっているそうですね。
おもしろそうなのでkindleで買ってみました。
全13巻で、三部に分かれています。


『孤高のメス 外科医当麻鉄彦 1~6』
当麻鉄彦は大学に属し、心臓や脳などの手術手術の専門家になるのではなく、どんな手術でもできるオールマイティな外科医となるべく、国内外の名外科医の元で学びました。
そして、アメリカで肝移植チームに属していましたが、高度な地域医療を実現するために琵琶湖のほとりの民間病院に勤務することにします。
そこで当麻は「エホバの証人」の手術を成功させるなど様々な手術を行い、評判を上げていきます。

そんな時に、近江大の実川助教授から二歳の幼児の生体「肝臓移植」を手伝って欲しいと頼まれます。
幼児が助かるにはもはや肝移植しか残されていなかったのです。
大学病院の保守的な壁にぶつかり、なかなか手術にゴーサインはでません。
しかし、上司の教授が定年後のポストを得るための方策として手術は秘密裏に行われることとなりますが、実川を妬む医師がマスコミにリークしてしまいます。
手術は無事に終わり、実川は一躍マスコミの寵児となりますが、喜びもつかの間・・・。

一方、当麻の方も、心を寄せる翔子の父である大川町長の肝硬変が進み、危篤に陥ります。
このまま大川が亡くなると、病院にとっても由々しいことになります。
肝臓移植が最後の手段でした。
幸運なことに、この時、交通事故で脳死状態である男性の母親が臓器提供を申し出てくれました。
当麻は脳死肝移植を行うことにします。

『孤高のメス―神の手にはあらず 1~4』
脳死肝移植を成功させたにもかかわらず、内外の激しいバッシングにあった当麻は病院を辞め、母の知人の経営する台湾の病院で働くことにします。
彼の評判は台湾でも高まるばかりでしたが、台湾の国際外科学会で「エホバの証人」に関する発表を行ったため、反当麻派である教授に居場所を知られてしまいます。
そのため当麻たちが台湾の医師免許を持っていないことを通報されてしまいます。

当麻がいなくなった甦生記念病院では医師たちの辞職、医療の質の低下、院長の異変、そして医療ミスが起こっていました。

台湾にいつまでいられるのかと当麻たちが案じている時に、脳死肝移植で一命を取り留めた大川に拒絶反応が起こります。
もはや生体肝移植の道しか残されていません。
移植ができるかどうか娘の翔子と妻の肝臓を調べてみると、翔子に病が見つかります。
当麻は台湾での生体肝移植後、日本へ戻る決心をします。

『孤高のメス 死の淵よりの声』
『孤高のメス 遙かなる峰』
『孤高のメス 完結篇 命ある限り』
当麻の戻った甦生記念病院は身売りし、「鉄心会」の病院となっていました。
妻の翔子は残り少ない命をホスピスで平家物語の語りをしながら過ごしました。

「鉄心会」によって病院を追い出された荒井は復讐を胸に、国政選挙や町長選挙に出馬し、当麻たちの前に立ち塞がります。


読んでいて、医局から地方の病院に派遣された医師たちのあまりのひどさに驚きました。
いくらなんでもこれほどではないでしょう。
それにしても手術の下手な荒井のような医師に当たると、不運としかいいようがないです。
どうやって手術のうまい医師を見つけりゃいいのか。
私は3回手術しているけど、ありがたいことにうまい方にしてもらったようなのでよかったのですが、そうじゃないこともあり得ますよね。
そうなると、素人にはわかりませんよね。
なかなか傷跡が治らないけどとか、入院が長引いたりして、変だなと思っても、実際はどうなのか、正直に医師は言ってくれないということですよね。
医師に対する不信感が増しました。

どうにかして欲しかったのが、心理描写です。
特に異性関係のは古臭いし、気持ち悪いしで、まあ、作家さんのお年と職業(医師)を考えると仕方ないのかもね。

第三部は医療物というよりも、政治色の強いものになってしまい残念。
そんなに「徳洲会」っていいんでしょうか?
ちょっと持ち上げ過ぎな感じがしましたけど。
近所に病院がないので、判断のしようがないですが。
医大を作る構想があったなんて、初めて知りました。

今風にドラマや映画にしてアレンジすると面白くなるのだろうなと思いました。
まあ、3部は惰性で読んでましたけどね(笑)。
患者のための医療をして欲しいけれど、医師も人間だからねぇ。
どうぞいい医師に当たりますようにと、これから毎日祈りますわ(笑)。


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