小路幸也 『イエローサブマリン』 ― 2020/07/01

年に一回の堀田家のお話です。
今回は夏秋冬春と四部構成です。
登場人物が増えすぎて、名前だけでは誰だっけという感じなので、相関図で調べながら読みました。
「夏 絵も言われぬ縁結び」
家の解体を依頼された篠原からの相談がありました。
家に行くと奇妙な音や声が聞こえて来て、血まみれの本があったというのです。
そんなわけで、神主の祐円さんの出番です。お祓いしましょう。
この家は一体どんな謂われがあるのでしょうか。
「秋 元のあなたの空遠く」
小説を書いている紺のところに盗作を訴える手紙が届きます。
珍しく我南人が紺と一緒に手紙に書いてあった住所へ行ってくれます。
その手紙の真意は?
「冬 線が一本あったとさ」
お正月には施設に入ったかずみちゃんが帰ってきました。
新年を迎え、十日を過ぎた頃、一人の中学生の少女が古本屋に現れました。
彼女は本の内容ではなく、見返しをみて買う本を選んでいます。見ても何もないのですが。そして、買った本を預けていきます。
不思議に思ったバンドワゴンのみんなは彼女を着けることにします。
彼女の行った先は・・・。
「春 イエロー・サブマリン」
研人と幼馴染みで彼女の芽莉依は高校を卒業します。
研人は進学せず、プロのミュージシャンになります。芽莉依は東大を狙っています。さて、結果は。
それぞれの季節。
一家の要の勘一は相変わらず元気です。
この巻の大きな出来事は研人と芽莉依の高校卒業ですかね。
かんなちゃんと鈴花ちゃんも小学生になって、だんだんと変わってきていますが、出番が少なくて残念でした。
次回に期待しましょう。
中山七里 『カインの傲慢』 ― 2020/07/03
一年の半分が終わってしまいました。
後半分。いいことがあるといいのですけど。
「みんなのミシマガジン」の益田ミリさんの「今日の人生」(毎月2日更新)を読んでほっこりしますわ。

中山七里、デビュー10周年記念12ヶ月連続新作企画第5弾の『カインの傲慢』を読みました。
刑事・犬養隼人シリーズの最新作です。
そういえば私って犬養刑事の物って読んでいたっけ?
散歩中の犬が雑木林で少年の遺体を見つける。
遺体の腹には切開痕があり、肝臓の一部が取り出されていた。
少年は栄養失調の傾向があった。虐待されていたのか、貧困家庭で育ったのか?
なかなか身元が判明せず、犬養隼人と同じ班に属する高千穂明日香は外国人ではないかと思い、調べてみる。そうすると一週間の予定で日本に入国した12歳の中国人であることがわかる。
中国に留学したことのある明日香は中国へと飛ぶ。
そこで見たのは…。
その後、次々と腹に切開痕のある少年の死体が見つかる。
そのどれもが肝臓の一部が切り取られており、貧困家庭の子供だった。
なかなか事件の突破口が見つからない頃、犬養は葬儀を見に来ていた野次馬たちの中の一人の男に目を止め、職質を掛ける。
彼は東朋大学医学部の中国人留学生だった。
事件が動く。
日本は臓器提供者が少ないから臓器移植はあまり盛んではありませんが、中国はアメリカに次ぐ臓器移植国だそうです。
中国では1週間から4週間で適合する臓器が見つかるといいます。
何故かというと、死刑囚が多く(46種類の罪名に死刑が適用されている)、その死刑囚から承諾を得られれば、死刑執行後すぐに臓器を摘出できるからだそうです
が、調べてみると恐ろしい事実がわかってきます。
中国はとんでもない国ですわ。
臓器移植をすれば生きられるとわかったら、誰もが移植を望むでしょう。
それが自分の子供だったら、どんなことをしても生きて欲しいと思うのは親心でしょう。
でもその臓器が違法なものだったら、どうしますか。
それでも自分の子供の命のことを考え、移植しますか。
ミステリーとしては物足りないですが、臓器売買問題を扱った重い内容の話です。
澤田瞳子 『火定』 ― 2020/07/05

奈良時代の疫病(天然痘)の蔓延を食い止めようと奮闘した人たちの話です。
民を怪我や病から救うために作られた施薬院は出世とは無縁な場所であるため町医者の網手の献身で支えられていた。
出世を望む下級官僚の蜂田名代は辞める機会をうかがいながら働いていた。
その頃、新羅に行った使者から持ち込まれた天然痘が平城京に広まっていた。
必死に病人を助けようとしていた網手だったが、治療法がないため為す術がなかった。
とうとう悲田院の子供たちも感染してしまい、感染を広めないために僧・隆英は子供たちと共に蔵に籠もることにする。
同じ頃、猪名部諸男は皇族を診るまでの地位に昇り詰めていたが、同僚の陰謀で牢獄に入れられ、恩赦で出ることができたが、行き場がないため獄中で出会った宇須と行動を共にしていた。
宇須は天然痘に効くという禁厭札を売って金を稼いでいたが、だんだんと行動がエスカレートしていき、天然痘の原因となった新羅の民を殺せば病は治まると民衆を扇動するようになる。
天然痘と闘ううちに、名代は人を助けることでこれからの己の生きるべき道を、そして諸男は冤罪の恨みから立ち直ることで医師としての己の使命を見いだしていく。
「世の中に、完璧な人間なぞいない。網手も、そして諸男もそうだ。しかしその胸に忸怩たる思いを抱いていればこそ、彼らは他人の弱さや病の恐ろしさに思いをはせることが出来る。医に携わる者は決して、心強き者である必要はない。むしろ悩み多く、他を恨み、世を嫉む人間であればこそ、彼らはこの苦しみ多き世を自らの医術で切り開かんとするのではないか」
医療に携わる者の原点を的確に表していますね。
宇須に扇動された民衆は施薬院までも襲う。名代は暴徒たちを許せず、そんな名代に網手は言う。
「官は都の惨状にいったい何をしてくれた。君が親であれば、民は子。その親が無策を決め込んだがゆえに、迷うた子は正体の知れむ神なんぞを信じ、暴徒と成り果ててしもうたのではないか」
コロナ禍で先の見えない今、政府が無策のままでいたら、私たち民はどういう道を辿ることになるのでしょうか。
アメリカ、アラバマ州の若者たちが、誰が最初にコロナに感染するかを競うコロナパーティを開いていたということを聞いて暗澹たる思いになりました。
日本の若者も自暴自棄にならないで、未来に対して生きる希望を見いだして欲しいと思いますが、さて…。
谷瑞恵 『語らいサンドイッチ』 ― 2020/07/07

『めぐり逢いサンドイッチ』の続編です。
姉・笹子と妹・蕗子は二人で大阪の靫公園にある手作りサンドイッチのお店『ピクニック・バスケット』をやっています。
周りにオフィスビルが多いので、結構お客さんが来てくれます。
サンドイッチを作っている笹子は、お客さんに寄り添った味を心がけています。
例えば、キュウリ好きだったのに、キュウリを拒否するようになった男の子にはキューカンバーサンドイッチ、魚肉ソーセージに嫌な思い出がある女性にフィッシュソーセージサンド、閉店してしまったお店の思い出にクラブハウスサンドイッチ、亡くなったおじいちゃんのジャムサンド、娘の結婚に反対していた父親に鶏つくねサンド・・・。
お店はなんとか軌道に乗ってきたのに、笹子の元彼がフランスから戻ってきて、笹子に一緒にレストランをやらないかと誘います。
そうなったらお店は、自分はどうなるのか・・・蕗子の心は乱れます。
お店のパンを作ってくれている川端さんはそんな蕗子を気にして声をかけてくれますが、蕗子は彼の気持ちに気づきません。
いつも変わった洋服を着ている絵本作家の小野寺さんは彼の広い人脈を駆使して、笹子と蕗子を助けてくれます。彼は笹子のことが好きなようです。
そういえば、なんでアフタヌーンティーにキューカンバーサンドイッチが定番なのかと不思議に思っていましたが、答えが載っていました。
昔のイギリスでは生野菜が貴重で、キュウリが高級品だったとのことです。(23ページ)
具だくさんのクラブハウスサンドイッチもいいですけれど、何の変哲もないキューカンバーサンドイッチ、美味しいですよね。
この本は殺人はないけれど、人の心の中に残るサンドイッチの味を探っていくという、日本のコージーミステリーですかね。
あ~、美味しいサンドイッチが食べたい、高級食パンを買いにいきたい・・・などなど思うこともありますが、今はホームベーカリーで我慢しますわ。
先週ホームベーカリーが届いたので、材料を注文して、昨日届いたので作ろうと思ったら、室温が25℃の時は約5℃の水を入れろと書いてあります。5℃ってどれぐらい?室内に置いてあるペットボトルの水って何度?
わからないので調理用温度計をポチりました。
ちなみに東京都水道局によると7月の水道水の水温は最大24.9℃、最小20.1℃だそうです。5℃って結構冷たいですね。
冷蔵庫の水は何度かしら?
調べてみると、冷蔵室は3℃~6℃(ドアポケットは6℃~9℃)らしいので、夏は冷蔵庫の水を使えばいいのかな?
とりあえず料理用温度計が来るのを待ちますわ。でも2、3日前にたのんだのに、着くのは来週末。遅い!

「ママちゃん、イライラしているとしわが増えますよ。僕とベッドでオネムしましょうよ」by 兄犬

「ママ、僕と遊びましょう」by 弟犬
もちろんママは兄犬とベッドへ行きましたとさ(笑)。
原田ひ香 『ラジオ・ガガガ』 ― 2020/07/08

高校生の時に、学校から帰って、ご飯を食べ、お風呂に入って、寝て、夜中に起き、ラジオの深夜放送を聞くという生活をしていませんでしたか。
その頃は、オールナイトニッポンが流行っていて、パーソナリティは・・・。
そういえば、パック・イン・ミュージックもあったっけ。
今のようにテレビが低価格で買えなかった時、ラジオは若者たちの娯楽のひとつでした。
私は学校から帰ってから一寝入り出来ませんでしたが、寝付けず、深夜放送を聞いていることがよくありました。
そのおかげで授業中に寝ていて、友達に「よく寝る人だ」と不思議がられていました。
意地の悪い化学教師に目覚めたときに当てられ、「わかりません」と答えたら「そうだろう。寝ていたから」みたいなことを嬉しそうに言われたこともあります。
その時、もし教師になったら寝ている生徒は寝せておこうと思いましたよ(笑)。
あ、ラジオの話でしたね。
American popsが好きだったので、ラジオから曲を仕入れていましたが、いつからなんでしょう、ラジオを聞かなくなったのは?
仕事をしだしてからかもしれませんね。疲れて寝てましたもの。
今はradikoと言うアプリがあるので、後から面白そうな番組を選んで聞くようになりました。
便利な世の中になりましたね。
ラジオ好きな老若男女なら誰もが思い当たることを6編のお話にしてあります。
1つは心に染みる話があるかもしれません。
ラジオをもう一度聴きたくなるかもしれません。
そういえば、岡村隆史がオールナイトニッポンを25(26年?)年間もやっているなんて、初めて知りました。
彼も50歳なんですねぇ。月日が経つのは速いですねぇ・・・とか言っても、私、彼のオールナイトニッポン、聞いたことないんですけど(笑)。
radikoで聞いてみますわ。
M.C.ビートン 『アガサ・レーズンの幽霊退治』 ― 2020/07/09

アガサの隣に引っ越してきたポール・チャタートンは、アガサが色々な男性と浮名を流していると聞いて彼女に興味を持ちました。
アガサがロンドンから戻ってきたので早速会いに行き、幽霊退治を一緒にしないかと誘います。
友人の牧師の妻のミセス・ブロクスビーから元夫のジェームズが村に現れたのに、アガサに電話もしなかったことを聞き、がっかりしていたアガサはポールの話に飛びつきます。
最初はポールに興味がなかったアガサですが、しばらくするとまた悪い癖が出てしまいます。
どんな男性でも自分の結婚相手として見て妄想し期待するのです。
彼女は幼い頃貧しい暮らしをしており、無残に終わった最初の結婚から奮起して、PR会社の経営者まで登り詰めたのに、自分に自信がなく、いつもくだらない男にひっかかるのです。
友人のミセス・グロクスビーとミルセスター警察の部長刑事のビル・ウォンはアガサのよさを知っているので、彼女にふさわしくない男に時間を費やさないようにといつも注意していますが。
幽霊退治は上手くいかず、屋敷に住む老婦人が転落死し、アガサとポールはよせばいいのに今度は殺人犯探しに乗り出します。
ポールのわがままな妻が現れたり、結婚したはずのサー・チャールズ・フレイスがアガサの家にやって来て泊まったりと、アガサとポールの間も上手くいきません。
果たして二人は殺人事件を解決できるのでしょうか。
あとがきに書いてありますが、作者のM.C.ビートンさんが83歳で2019年の大晦日にお亡くなりになったそうです。
アガサ・レーズンのシリーズは30作あるそうで、今回のは14作目なので後16冊あります。
次回は2021年2月刊行予定だそうで、一年に一作の刊行なら16年かかりますね。
読みたけりゃ英語で読めということですかぁ。
仕事をしていないので財政的に苦しいので、日本語の本は図書館で借り、英語の本をkindleで買って読むようにした方が良いかしら。
よく考えてみますわ。
中山七里 『ヒポクラテスの試練』 ― 2020/07/10
法医学ミステリー、ヒポクラテス・シリーズの第三弾。
10周年記念・12ヶ月連続刊行の6月の本です。
2月と3月の本は図書館の予約待ちです。

浦和医大法医学教室に城都大付属病院の内科医・南条がやって来た。
前日に搬送された前都議会議員の権藤の死に問題がありそうなので、解剖を引き受けてくれないかというのだ。
権藤は9ヶ月前に受けた健康診断では何も問題がなかったのに、肝臓がんで急死したという。
死因に疑問があるということで、浦和医大法医学教室の教授・光崎藤治郎は急遽埼玉県警の刑事・古手川を呼びつけ捜査をさせる。
権藤の甥が事故米を使って毒殺を目論んだ証拠があがるが、解剖してみると死因は肝臓がんではなく、感染症だった。
パンデミックの可能性があり、感染源を突き止めなければならない。
その5日後、同じ症状の患者が見つかるが、問い合わせをした前日に亡くなっていた。
この患者は都庁の職員で権藤とは関係がなさそうだった。
しかし、調べて行くと、何年か前に二人はアメリカへ視察旅行に行っていたことがわかる。
二人に同行した五人も判明したのだが、彼らは硬い口を開こうとはしない。
一体アメリカで何があったのか。
浦和医大法医学教室の新米助教・栂野真琴と准教授のイタリア系アメリカ人のキャッシーはアメリカに渡り、視察団が訪れたニューヨーク市検死局の助けを借り、感染源を探っていく。
今回は光崎教授が流石でした。医師とはこうあってもらいたいものです。
しかし、議員たちはクソッタレでした。日本の恥。なかなか口を割らないのもうなずけます。
視察団が行った場所のことを書いたら某国から難癖をつけられるのではないかと心配でしたが、杞憂でした。驚いたことに、本当にそんな場所があったんですね。
そこがNY市警に摘発されたという報道があったはずですが、全く覚えていません。
作家ってこういうことも覚えておいて、いつか使おうと思っているのかしら?
現代社会の病巣を描く、なかなかグロいお話でした。
<今日のわんこ>

マフィンを食べていると「ママちゃん、自分ばかり美味しいもの食べてないで、僕にもください」と兄犬が言ってきました。
兄犬はシニア用餌を食べなくなったので、半分、弟用の療養食を混ぜています。
弟の餌の方が美味しそうだと思ったのでしょう。
この頃はちゅーるをつけないと食べません。口の奢った犬です。

「ママ、僕は餌は何でも食べます。良い子だと褒めてください」
「ハイハイ、良い子ねぇ。足におしっこをつけないと、もっと良い子なんだけどねぇ」
「ママ、そういう褒め方は子供のやる気をそぎます。やめましょう」
弟に怒られてしまいました(恥)。
家族を描いた本――『at Home』&『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』 ― 2020/07/13

本多孝好 『at Home』
家族を描いた4篇の短編集。
どの家族も「普通」ではありません。
とは言っても、「普通」の定義が難しいのですが。
例えば、「at Home」では、全員血のつながりがない家族で、職業が変わっています。
100の家族があれば、100の家庭の形があります。
どれがスタンダートと言えるのか・・・。
現代の家庭がかかえる問題も描かれていますが、本多さんですから悲惨なだけでは終わりません。
家族とはと考えるいいきっかけになる本です。

山田詠美 『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』
再婚した二組の親子が一組の家族となるために、東京郊外の一軒家に住みつきます。
母・美加のお腹には新しい命がありました。
誰もが描く「きれいな」理想の家族でしたが、家族の要であった長男が17歳で雷に打たれて亡くなってから家族が崩壊していきます。
母は長男・澄生を溺愛しており、彼の死から立ち直れず酒を飲み始め、アル中となってしまいます。
父の誠は頼りにならない優しい人。
長女の真澄は家族の形を崩さないように奮闘します。
次男の創太は義母を愛し、彼女からも愛してもらいたいと思い、気を引くために無駄な努力を続けます。
唯一、二家族の血をひく次女の千絵は、冷めた目で家族を見ています。
失われたものを取り戻すために、現実に目を塞ぎ、家族を再生させようとする努力があまりにも美しくて悲しいです。
久しぶりに読んだ山田詠美でしたが、初期の頃と全く違っていて驚きました。
再婚して、落ち着いた生活をしているからかしら?
オネムのわんこ ― 2020/07/14
ホームベーカリーを買いました。
五月蠅くて夜中には使えないことがわかったので、昨夜寝る前にできあがるように使用してみました。
そうすると、音もそれほど気になりません。
音に敏感な弟犬は全く吠えませんでした。

こんな風にグッスリと寝ています。

兄犬は弟ほど音に敏感ではないのか、いつもと同じようにぐっすり寝ていました。
彼の興味は食べ物です。
パパやママが冷蔵庫を開けると、ジッと見ています。
果物を剥き始めると、貰おうと出てきます。
食いしん坊ですね。
M.C.Beaton 『Agatha Raisin and the Deadly Dance』" ― 2020/07/16
嬉しいことがありました。
あのシャープのマスクの当選メールが来たのです。
なかなか当たらないという噂だったのですが、うちが当たったということは、もうマスクはいらないという人が増えたからということですかね。
今になると三千円もするマスクは高いですが、記念に買っておきますわ。

アガサ・レーズン・シリーズは来年まで刊行されないということで、仕方なく英語で読んでみました。
アガサ、絶体絶命!
休暇でパリに行ったアガサはスリにあい、警察とのやり取りに頭にきて、さっさとイギリスに帰ってきてしまいました。
彼女の悪いところ(良いところ?)はカッとなるととんでもないことをやらかしてしまうことです。
警察よりも私の方が捜査はお手のものよ、と探偵事務所を開いてしまったのです。
なかなかよい秘書候補が現れずヤキモキしていた時に、アガサの家の隣に引っ越してきた67歳、未亡人のEmma Confreyがやって来ます。
彼女はなかなか図々しい性格のようで、面接中に猫を探してもらいに人がやって来たのをいいことに、その猫を探せたら雇うとアガサに約束させてしまいます。
その後、猫探しが上手くいったもんだから、しぶしぶアガサはエマを採用しますが、このことが後からとんでもないことになります。
猫の捜索や浮気捜査などに飽き飽きしていた頃、アガサの探偵事務所に友人のサー・チャールズ・フレイスから紹介されたというMrs Laggat-Brownがやって来ます。
明日の娘の21歳の誕生日パーティで婚約発表をする予定なのに、結婚すると殺害するぞという脅迫の手紙が来たと言うのです。
パーティに出席して怪しい者を捜してもらいたいと依頼されたので、アガサとエマはパーティに行きます。
花火が上がった時に、アガサは屋敷の窓から銃が発射されるのを見て、Mrs
Laggat-Brownと娘、婚約者の三人をプールに突き落として助けました。
それなのにMrs Laggat-Brownはアガサがパーティを台無しにしたとカンカンになって怒ってしまいます。
しかし、アガサの友人でミルセスター警察の部長刑事・ビル・ウォンはアガサの言うことを信じ、銃が発射されたと見られる部屋を調べ、彼女が正しかったことを証明してくれました。
そのおかげでアガサは調査を続けられることになります。
アガサは50代前半、エマは60代後半ですが、イギリスの女性ってそんなに愛情に飢えているのかしら?
チャールズがエマをランチに2回誘っただけなのに、エマはその気になってしまうんですよ。チャールズは40代だったと思うけど、彼に対しストーカーまがいのことをやっちゃうんですから。
アガサの元同僚のロイなんかは30代なのに、エマは彼と私は恋人同士に見えるかしらなんて思ったりするんです。
エマもアガサのように結婚生活が不幸だったからかしら?
とにかくエマのアガサへの敵対心や上手くいかないのはすべてアガサのせいにするということには驚くばかりです。
エマは危ない人ですね。
可哀想だったのがアガサです。
命を狙われ、誰かそばにいて欲しい時に、牧師の妻のミセス・ブロクスビーが電話をしてきて泊まりにいくわと言ってくれたのに、アガサのことが嫌いな彼女の夫がそばで文句を言うのを聞き、アガサは大丈夫だからと断るんです。
牧師なのに、人が助けが必要だというのに、好き嫌いで行動していいのかしら?
このアガサの遠慮して素直に人の助けを求められないところが、幸せを逃してしまう原因じゃないかしら。
真の友はミセス・ブロクスビー。彼女の言うことを素直に聞こうよ、アガサ。
エピローグのクリスマスパーティは笑わせてくれました。
アガサは手柄をすべて自分のものにして、手伝ってくれた友人のチャールズとロイをないがしろにしたため、彼らを怒らせてしまいました。
やっぱり友人がいないのは淋しいと思ったアガサは仲直りをしたいのですが、なかなか機会がありません。
ミセス・ブロクスビーに相談したところ、クリスマスパーティを開くように勧められます。
クリスマス料理なんて作ったこともないくせに、ミセス・ブロクスビーの手伝いを断って、自分で料理をすることにします。
こういう所がアガサの悪いところですね。
さすがチャールズはアガサのことをよ~く知っていますから、用意がよかったですけど(笑)。
もちろん散々なパーティになりました。
エピローグを読むだけでも読んだかいがあったというもんです。
このままシリーズを読み進んで行けそうです。
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