堂場瞬一 『悪の包囲 ラストライン5』2022/03/26



天気が悪かったのですが、散歩に行くと、桜が大分咲いていました。
今日の風で散らなければいいのですが。



驚異的な記憶力を持つ岩倉剛は54歳。離婚が成立し、立川中央署刑事課に異動し、立川に住んでいる。
恋人の二十歳年下の赤沢実里は女優で、ニューヨークに行っていたが、コロナ禍で帰国し、吉祥寺に住んでいる。

ある日、岩倉は平野明彦の店の開店祝いに訪れた。
平野は元神奈川県警の刑事で、今は都内で飲食店ビジネスに関わっており、岩倉とは捜査の途中で知り合い、裏の情報を流してくれる情報源だった。
次の日が非番だったので、実里のマンションに泊まった後、喫茶店に入ろうと歩いていると、同僚の熊倉恵美から電話が来る。
国立駅から徒歩15分ぐらいのマンションで、サイバー犯罪対策課の福沢一太が殺されていたという。
殺しには複数の人間が関与し、拷問した可能性があった。
福沢は岩倉の記憶力を研究させろとしつこく迫っていた男で、岩倉はつい最近も彼と人目のある中でやり合っていた。

やがて岩倉が福沢と揉めていたことが問題になり、アリバイを確認されるが、岩倉は黙秘する。
そのため岩倉は捜査から外され、独自に捜査を行うことになる。
聞きこみから、福沢にあるライターとの繋がりがあることがわかる。

そんな頃、岩倉は誰かに尾行され、警察内部の「スパイ」、「始末屋」として知られている川嶋市蔵から虎の尾を踏んだかもしれないから、気をつけるようにと忠告される。

岩倉は尾行している男を追い詰め、負傷してしまう。
ライターが塩山貴明であることが判明するが、三日前から連絡が途絶えている。
ライター仲間の話から塩山が「METO」を取材していたことがわかる。
「METO」は岩倉が数年前から潰そうとしていた武器密輸組織だった…。

岩倉と「METO」の因縁の対決の始まりです。
今回も他のシリーズの面々が出てきます。
前回は犯罪被害者支援課の村野秋生が岩倉以上に活躍していましたが、今回は失踪人捜査課の高城賢吾と捜査一課・大友鉄が出しゃばらず、それとなく岩倉に力添えをしてくれます。
「METO」との対決がどうなるのか楽しみですが、武器があれば岩倉なんかはすぐに殺されてお終いになりそうですけどねぇ。

トリミングと花見に行く♫2022/03/27

2月が28日しかないのを忘れていて、ちょっと早くトリミングの予定を入れていました。


あまり毛が伸びていなかったです。
何故かご機嫌の兄。


弟を撮ろうとしたら、兄が入ってきました。


二匹で撮ると、相変わらずの距離。


兄は微動だせず、弟を無視しています、笑。

体重は兄が変わらず、3.4㎏。弟は2.3㎏とまた痩せました。
一時肝臓の値が悪かったので、あまり運動をさせていませんでしたが、この頃は毎日走り回っています。餌は一回に35gですが、足りないみたい。
兄は餌は26gぐらいに押さえていますが、ママと同じで動くのが嫌いなので、痩せませんわ、笑。


次の日、予報が雨から曇りに変わったので、犬連れで花見に行きました。
夜型の私としては早い時間帯のつもりだったのですが、人も犬も結構いました。


桜は昨日の雨と風では散らなかったようです。
八分咲ぐらいでしょうか?


広場で遊ばせようかと思ったら、3~4匹の大型犬がノーリードでいて、写真を撮っていたので、近寄るのを止めました。


久しぶりに昨日と今日で相当歩きました。
ママはお疲れです。
おやすみなさい…www。

難民を描いた「ヒューマン・フロー /大地漂流」を観る2022/03/29

アイ・ウェイウェイは謝らない」を観てから気になっていた「ヒューマン・フロー/大地漂流」を観てみました。(予告編冒頭映像
この映画では主に各国にある難民キャンプ(世界23ヶ所、40ヶ所)の様子を描いており、制作は2017年、日本では2019年に公開されました。

難民とは「人種・宗教・国籍・政治的立場などを理由に迫害を受ける恐れがある者を指す」(「国連難民条約」1951年)

2016年、6500万人以上が難民生活を余儀なくされており、この数は第二次大戦以来最多である。(2021年、8000万人を超えているという。)


各国の状況 
<イラク>
2003年アメリカ主導の多国籍軍がイラクに侵攻。26万8000人が死亡し、400万人以上のイラク人が故郷を追われた。

<ギリシャ>
2015年から2016年にシリア、イラク、アフガニスタンから100万人以上の難民がギリシャに押し寄せた。
レスボス島に一週間で56000人以上が流れ着く。
昨年一年で100万人が地中海からヨーロッパに避難し、レスボス島から50万人がヨーロッパに入った。

<バングラデシュ>
ミャンマーのムスリム系少数民族のロヒンギャは長年繰り返し弾圧を受けており、約50万人がバングラデシュやタイ、マレーシアに避難した。

<ギリシャーマケドニア国境>
2015年初頭、ヨーロッパの国々が難民に対し国境を閉じ始め、数万人がギリシャで足止めされている。
ドイツを目指すシリア、イラク、アフガニスタンから来た1万3000人がマケドニア国境が開くことを願い、ギリシャ北部に集まっている。

<シリアーヨルダン国境>
シリア内戦で約130万人のシリア人がヨルダンに逃げた。
ヨルダンは国境を40~45ヶ所開けていたが、現在は5ヶ所のみである。正規のルートで避難したのは55万3000人であるが、実際は140万人。1948年と1967年のパレスチナ戦争の後、ヨルダンは200万人以上のパレスチナ難民の家となっている。

<イタリア南部>
21万人を超える難民がアフリカから来た。

<トルコ>
イラン、イラク、シリア、トルコにまたがる山岳地帯に3000万人のクルド人が暮らしており、自治を求めてきた。
2015年トルコ軍が軍事作戦を強化し、50万人のクルド人が故郷を奪われた。

トルコはその地理的な理由ゆえ、シリアをはじめ、イラクや他の国々から多くの難民がやってくる。300万人の難民を保護したが、公的キャンプに住む難民は全体の10%で、大勢が限られた人道支援で日々をしのいでいる。
2015年には85万7000人の難民がトルコから海を渡ってEU加盟国のギリシャに流入している。
2016年3月、EUとトルコは難民対策で合意。トルコはEUに渡った難民の送還を受け入れる代わりに60億ユーロの支援と自国民のビザ免除措置を手に入れた。
しかしEUートルコ協定は難民を守らない。トルコの法律は一時の保護しか与えず、難民認定をされていないので国際的権利がなく、強制送還される恐れがある。

<レバノン>
シリアやパレスチナの難民を人口の三分の一に当たる約200万人保護している。
アイン・エルヒルウェ難民キャンプでは1キロ四方に約10万人が住んでいる。
シリア難民の子は学校に通っていない。未来に夢を持てず、生きがいも感じられない。家族を亡くしたトラウマを持っている。そのため多くの若者は戦闘員になって闘うことで、復讐できると思っている。

<パレスチナ、ガザ地区>
470万人以上のパレスチナ難民がガザ地区とヨルダン川西岸地区に住み、分離壁や検問所で自由を規制されている。
2007年、イスラエルとエジプトがガザを封鎖したため、住民の80%が人道支援を頼って暮らしている。

<ケニア>
サハラ砂漠の南の地域で世界の難民の60%を保護している。
数年の気候変動で2億5000万人のアフリカ人が干魃、飢餓、病気で苦しむことになる。2050年までにアフリカの人口は25億人になると予測される。

<パキスタン>
1979年のソ連のアフガニスタン侵攻後、300万人の難民を保護しているが、現在は帰還を促しているが、祖国に帰っても難民である。

<ドイツ>
2015年~2016年、120万人がドイツに庇護を申請。
テンペルホーフ空港跡地にある4つの格納庫が難民キャンプとして使用されている。

<フランス>
2016年、1万人がイギリス入国を望み、カレーの難民キャンプ”ジャングル”で暮らしていたが、キャンプの解体が始まった

<イラク>
2014年、ISがモスルを占拠し、50万人が難民となる。
2016年、イラク軍とクルド人部隊はモスル奪還を計画。ISは退去前に油田に放火し、30万人が避難を余儀なくされる。

<地中海>
2016年、5000人以上の難民が溺死。
飢餓や貧困、紛争のために故郷をすてたエリトリア人やソマリア人がボートに乗るために密航業者や犯罪ネットワークに全財産を払い、スーダンからリビアを経由しやって来る。
彼らの多くはリビア国内で待つ間に、盗難、不当な扱い、差別、搾取、さらに妻や娘の性的暴行など、様々な問題に直面する。
上手く辿り着いたとしても彼らの多くは栄養失調や下痢や赤痢、壊血病などを患っている。

地中海から欧州を目指す難民・移民が海上でリビアの沿岸警備隊に拘束され、暴力や性的暴行を受け、リビアの劣悪な収容施設に強制送還されている。収容された難民ら数百人が行方不明。(「アムネスティ国際ニュース」2021年7月15日)

印象に残った言葉
・1989年、ベルリンの壁崩壊時、11カ国の国境にフェンスや壁があったが、
 2016年には70カ国に増えている。
・難民を受け入れるシステムがあったが、人数が増えすぎてシステムが崩壊した。
・難民は世界平均26年、避難生活を送る。
・「自尊心を持ち続けてもらうことが大事」

ヨルダンの王女
「他者の苦しみに無関心な社会は危険」。
「どの国にも厳しい現実がある。だからこそ人道主義をつくことが、ヨルダンの健全な社会や暮らしにも繋がる」

ギリシャ移民政策大臣イオアニス・ムザラズ
二つの道がある。「ヨーロッパが団結して進み、忍耐強く、人権重視の信念で、差別や外国人排除に対抗する」か「排他主義のヨーロッパになるか」。

ブルッキングス研究所シニアフェロー、ケマル・キリサイ博士
「宗教や文化の違いを乗り越えて共存する道を模索しなければならない」

シリア人元宇宙飛行士、ムハンマド・フェリス
「宇宙飛行士だった時、宇宙から地球見て人類は一つだと感じた。人類は一つの国に住む兄弟なのだとね。シリア人、インド人、中国人やアメリカ人も、この美しき星で共に生きているのだ。資源は分かち合うべきだ。この星を守るには、結束と愛の力が要る。人を繰ったり、殺したり、抑圧してはいけない。地球の悪人どもは宇宙に送ってしまおう」


文字だけ見ても、難民キャンプの悲惨さがわからないと思いますので、是非映画を観てください。
ドローンを使った空からの映像は圧巻です。美しくさえ思えます。
映像が難民たちが置かれている現状を余すことなく伝えてくれます。
映画ではたまにアイ・ウェイウェイが登場し、iPhoneで撮影したり、大人や子どもに話しかけています。(監督アイ・ウェイウェイの姿、いるかなぁ…?)
惜しむらくは一本調子過ぎて、途中で見るのを止める人がいそうなことです。
ドキュメンタリー映画としてはマイケル・ムーアのように面白くないけれど、難民を知るために見る価値はあります。

実は私は難民たちが難民キャンプで20年以上も生活することを余儀なくされていたり、子どもたちが学校に行けないことを知りませんでした。
難民を受け入れても、キャンプに押し込んでおくだけで、仕事や教育を与えて社会的な生活を送れるようにしないのでは、本当の支援とは言えませんよね。
人間は生きているだけではダメなんです。国連UNHCRの職員が言っていたように、「自尊心」って大事だと思います。
見ていて日本の難民受け入れ数が少ないのが恥ずかしくなりました。

難民について詳しく知りたい方は国連UNHCR難民支援協会のHPをご覧ください。

読んだ本2022/03/31

散歩途中で見させていただいているお庭では花が盛りです。



しだれ桜が満開になりました。


アーマンディーというクレマチス属の花だそうです。
そばに咲いている黄色いミモザと白い色が合っていました。



群ようこ 『子のない夫婦とネコ』
kindleで安くなっていたので、読んでみました。五編の短編小説集です。

「子のない夫婦とネコ」
結婚三十九年の子のない夫婦、モトコとツヨシ。新婚の時からネコを飼い続けています。ネコとは言っても、家族の一員。亡くなると悲しくなります…。
「男やもめと犬」
妻と離婚し、五十五歳から一人暮らしをしているコウジが公園のベンチで缶ビールを飲んでると、一匹の犬がやって来て、焼き鳥をご馳走するとアパートまで着いて来た。大家さんに飼えばと軽く言われ、飼いだしますが…。
「中年姉妹とネコ」
築六十年の古い木造の家に二人で住んでいるヒロコとヒトミ姉妹。
一匹子ネコを保護したら、もう一匹来ちゃいました。二匹のネコが姉妹のかすがいです。
「老母と五匹のおネコさま」
70歳で夫に先立たれた母が急に人が変わってしまいます。父が亡くなってせいせいしたと言い出し、五匹のネコを飼い始めます。五匹も世話が出来るのか、お金はあるのか心配する娘でしたが…。
「歳の差夫婦とイヌとネコ」
サトコは六十六歳、夫のオサムは四十八歳。近所のスポーツジムで出逢いました。
オサムは動物第一主義の人。ひとり暮らしのおばあさんが施設に入るので、イヌを飼ってくれる人を探していると聞くと、オサムはすぐにイヌを引き取ると言います。ところがイヌを飼いだしてからしばらくすると、近所の奥さんがネコを連れてきて、押しつけていきます。二人と二匹の生活は楽しいのですが…。

ほのぼのとしたネコやイヌとの生活、いいですねぇ。
ネコ好き、イヌ好き、必見の本です(?)。

青木祐子 『これは経費では落ちません! 9』
29歳の森若沙名子と太陽とのおつき合いも安定かと思ったら、30歳の壁ってあるんですね。沙名子は違うと思ったら、やっぱり「結婚」がネックなんです。
トナカイ化粧品との合併後、経理部はやっと落ち付いたのに、営業部の鎌本が絡んでくるし…。なんなんですか、彼は(怒)。
その上、国税局の税務調査が入るって!

仕事が出来る森若さん。次回に結婚するとしても頑張ってもらいたいです。

三上延 『ビブリア古書堂の事件手帖 3』
北鎌倉にあるビブリア古書堂は古書に纏わる特別な相談を請け負っている。
ある日、古書店の跡取り息子が亡くなり、遺された蔵書のことで相談される。
蔵書は高校生になる息子が相続するはずなのに、古書店の主である祖父はすべてを売り払おうとしているという。
ビブリア古書堂も出店する即売会場で古書店の主の説得を試みるのだが…。

読みたいと思ったのが、山田風太郎の『人間臨終図鑑』。
歴史上のあらゆる人物の臨終の様子を蒐集している本だそうです。
扉子の祖母・千恵子の存在が不気味です。何を考えているのやら。

澤村御影 『准教授・高槻彰良の推察 7 語りの底に眠るもの』
今回も講義ネタが面白いです。
第一章:「違う世界へ行く方法」
今回の『隣のハナシ』に寄せられた怪異に遭って困っている人の依頼は、文学部一年の女子学生からです。
エレベーターで『異世界に行く方法』を試した友人がいなくなったと言うのですが…。
第二章:「沼のヌシ」
深町尚哉と同じ経験をし、同じ力を与えられた遠山宏孝から依頼が来る。
山を潰して別荘地を作る計画に関わっているが、地元の老婆がヌシ様の祟りを訴えている上に、不審な出来事が相次ぎ困っている。ついては高槻に地元住民と話をして欲しいというのだ。
早速、高槻と尚哉は栃木県の那須町にある沼に行くことにする。
第三章:「人魚の肉」
人魚の肉を使った料理を出すレストランが都内にあるという。
高槻がレストランに予約を入れ、尚哉と共に調査に出向くと、長野で出逢った海野沙絵がフロア係として働いていた。彼女によると、特別料理は月に一、二回あるかどうかで、オーナーに何か耳打ちすると個室に通され、提供されるらしい。
沙絵の助けを借り、顧客情報を手にいれ、自称ライターの林原が顧客から話を聞き、合言葉のヒントを手に入れる。
高槻が合言葉を推測し、再び予約を入れ、レストランに行くと…。

BLの本ではないのですが、高槻と尚哉の関係は仄かにBLっぽさが漂っています。イケメン高槻に「一人でどこかに消えたりしたら駄目だよ」なんて言われたら…。

ほしおさなえ 『紙屋ふじさき記念館 春霞の小箱』
紙屋ふじさき記念館の閉館まで後少し。
ワークショップも一ヶ月に一回、定期的に行われるようになりました。
これで本社の会議室で続けることもできるでしょう。
夏休みにサークルで紙の産地・東秩父と小川町を訪れた時に出逢った墨流し職人の岡本さんと記念館には意外な縁がありました。
百花の父が書いた『東京散歩』の活版冊子作りの話も実現しそうです。
しかし、二月になると…。

本の中で気になった言葉を書いておきます。
柳宗英悦の言葉、「手仕事は一面に心の仕事」
「歌う身体、作る身体。身体を使うとき、心は自分を超えてはるか遠いところまで広がっていく。」

出てくる紙などに纏わる蘊蓄が楽しい本です。
昔、書道をやっていたので、墨をするお話なんか、なるほどと思いました。
そんなにいい硯を使っていないので、石紋を楽しむなんかできませんでしたけど。
せつない終わりでしたが、次は希望に溢れるお話になるといいなぁと思いました。

今回の本はどれもおすすめです。

<今日のわんこ>
夏用に買った金魚鉢の形をしたハウスを部屋に置いてみると、早速新し物好きの兄が入っています。


夏用だからか上が開いています。
兄が可愛らしく、見上げていました。