中山七里 『祝祭のハングマン』 ― 2023/02/02

春原瑠衣は警視庁捜査一課に勤めている。
昨日、富士見インペリアルホテルで毒物による大量殺人事件が起り、地取り捜査に駆り出される。
その時にたまたまトラックが通行人を跳ねたという事故と遭遇する。
運転手と通行人から話を訊いていくと、どうも突き飛ばされたらしく、犯人は現場から逃走していた。
被害者の藤巻亮二は瑠衣の父が勤めているヤマジ建設の資材課に勤務していた。
その日家に帰ると、父は藤巻のことを知っておりしつこく訊いてきて、個人的に便宜を図ってくれとまで言い出す。
瑠衣はそんな父に違和感を感じる。
数日後、瑠衣が属する宍戸班は藤巻の事件を担当することになる。
しかし犯人特定に繋がる情報はなかなか得られない。
そしてさらにヤマジ建設の経理課長・須貝謙治が駅構内で転落死する。
瑠衣は葬儀で案山子を想像させる男が気になったが、彼は私立探偵の鳥海明彦と言い、須貝の友人だと言う。
瑠衣は何かを知っていると思われる父と話しをしようとするが、話をする前に父は作業中の事故で亡くなってしまう。
瑠衣はヤマジ建設関連の事件から外され、焦燥感に苛まれる。
そんな瑠衣の前に地検特捜部の神川が現れる…。
なかなか犯人が特定されず、その上、題名の「ハングマン」は事件とどう関係するのかがずっとわからず、途中でちょっと中だるみし、動きがあるのは最後でした。
書き方によってはもっとワクワクするように出来たでしょうに。
瑠衣よりも鳥海たちのことを書いた方が絶対に面白かったと思います。
キャラ的に瑠衣は面白くないですもの。これからの彼女の行く末が気にはなりますが。
シリーズになるのかしら?
中山さんの本に期待しているので、辛口になってます(ゴメン)。
読んだ時代小説三冊 ― 2023/02/03

馳月基矢 『友 蛇杖院かけだし診療録』
シリーズの三作目。
ある日、蛇杖院に北町奉行所の定町廻り同心の大沢振十郎が現れる。
怪しげな薬で騒ぎを起こしている黒い暖簾の正体が蛇杖院の蘭方医・鶴谷登志蔵であるという投げ文があり、その証として大沢は帳面を持っていた。
登志蔵は見習い医の長山瑞之助に右のまぶたのあたりにやけどの痕がある男を見かけたら、気を許すなと告げた後、姿を消す。
一体誰が登志蔵を陥れようとしているのか。
登志蔵の隠された過去に関係があるようだった。
瑞之助は少しずつではありますが、医師として成長しています。
今回、先輩医師の登志蔵の過去が明かされます。
それにしても男の男に対する嫉妬は酷いと聞いたことがありますが、これほどとは思いませんでした。恐ろしいです。
和田はつ子 『小雪ずし 料理人季蔵捕物控』
時は師走。塩梅屋では小雪寿司が評判になっている。
北町奉行の烏谷が季蔵のところにやって来る。
金江藩主の息女伽耶姫と清水川藩主の三男龍之介との縁談が持ち上がり、龍之介の女関係を糊塗とすることになった。
しかしその中でただ一人、女絵師の清原彩香だけは示談に応じなかった。
彼女と龍之介は男女の仲ではなかったからだという。
困ったことに龍之介は片思いゆえの下心が窺える代物を彩香に贈っているという。
今回の季蔵の密命は、その贈った物を取り戻すことだった。
次の日の早朝、季蔵は松次親分に起こされる。
浮世絵師の喜多見国麿の骸を検めて欲しいというのだ。
助っ人として来た疾風小僧によると、お奉行からのお役目と喜多見国麿殺しは関わりがあるという。
季蔵は疾風小僧と共に彩香の家に行き、季蔵に化けた疾風小僧が彩香に小雪ずしの作り方を教えている間に季蔵が屋敷内を調べることにする。
いつも思うのですが、料理ネタが長すぎます。
料理のことをほどほどにすると、事件がもっと際立つと思いますけど…。
坂井希久子 『ねじり梅 花暦居酒屋ぜんや』
年の瀬となると、押し込み強盗が多く現れる。
狙われたのが、熊吉の奉公する俵屋。
何者かが熊吉を名乗り、女中に潜り戸をあけてくれないかと告げた。
熊吉と若旦那は居酒屋ぜんやの女将・お妙の父がかつて売っていた薬をもとに作られた「龍気補養丹」を上方で売るために旅立っており、そろそろ戻って来る頃合いだった。
女中の機転で俵屋は事なきを得ましたが、声や口調、喋る早さまで熊吉と似ていたと言う。
お花は宝屋に海苔を注文しに行った帰りに自分を捨てた母親と再会する。
母は堅気の男と所帯を持ち幸せそうだった。
母に自分と会ったことをお妙たちに内緒にすること、そして毎月一のつく日に会いたいと言われ、お花は断れなかった。
しかしこのことが後にぜんやにとんでもないことを招く。
とってもイライラするのがお花の言動です。
15歳ぐらいになればもっとしっかりしませんかね。
大事にならなかったからいいのですが、今のままでは心配です。
「花暦居酒屋ぜんや」シリーズになり、若い熊吉とお花たちの世代のことになってから、あまり面白くなくなりました。
私はお花のような性格の子が苦手なようです。
<きょうのわんこ>

相変わらず髪がボサボサの弟犬です。
彼はこの頃ソファに跳び乗れなくなりました。
勢いをつけて跳ぶのですが、胸をソファにぶつけてしまうのです。
懲りたのか今は階段を使ってソファの上にのります。
悲しいことに犬も人と同様に年を取って、だんだんと出来ないことが増えていくのですね。
今年初のトリミング♫ ― 2023/02/04
今年になって初めてのトリミングに行ってきました。

顔は可愛くカットされています。

タテガミはあまり切らず、伸ばすようです。
この頃目やにが出てきました。餌が合わないのかもしれません。

弟を兄の方に寄せて、いつものようにおやつを見せながら写真を撮ります。

意外と近くに寄りました。

珍しく兄が弟に近寄り匂いを嗅いでいます。弟は嫌そうです。

「ママ、どうにかして下さい」

「なんですか?」

「ガウゥ」

最後に珍しく兄がお座りして、弟がフセをしている写真を載せておきます。
兄は3.5㎏、弟は3.3㎏で、兄はなかなか痩せません。
小西マサテル 『名探偵のままでいて』 ― 2023/02/05
第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
小西さんはラジオ番組の構成をしている方らしいです。
表紙と内容から女性を想像してしまいましたが、男性でした(恥)。

小学校教師をしている楓の祖父は元小学校の校長で、71歳になる。
幻視や記憶障害といった症状が現れるレビー小体型認知症を患っている。
ひとり暮らしをしている祖父が心配で、楓はほぼ毎週祖父の家を訪れている。
楓は祖父にできるだけ彼女の身の回りで起った日常の謎の話をするようにしている。
というのも話を聞くだけで祖父はその謎を解いてしまうのだ。
祖父の解く謎は6つ。
「第一章 緋色の脳細胞」
ネット書店で買った瀬戸川猛資の評論集に挟まれていた、四枚の訃報記事の謎。
「第二章 居酒屋の”密室”」
祖父が贔屓にしていた割烹居酒屋で起きた殺人事件の謎。
「第三章 プールの”人間消失”」
プールから消えた”マドンナ先生”の謎。
「第四章 33人いる!」
小学校六年生の英会話授業に現れた三十三人目の正体とは…。
「第五章 まぼろしの女」
遊歩道で起きた殺傷事件を目撃したウォーキングママは何故逃げたのか。
「終章 ストーカーの謎(リドル)」
楓をストーキングしていた男の正体とは…。
『このミステリーがすごい!』大賞受賞作品は好き嫌いか分れますが、今回はとんでもないキャラの人はいないし、嫌悪感を抱くような気持ちの悪い事件も起りません。
そのためコメントに「万人向け」と書いてあるのが納得できます。
それに特にミステリーが好きじゃなくても読んでいけます。
謎は難しくて、私には解けませんでしたが(笑)、楓とおじいちゃんの会話がほっこりしていていいです。
<今週のおやつ>
ヴァレンタインデーではないのに、チョコレートを食べてしまいました。

昨年食べて気にいったマリアージュフレールの「ショコラデマンダレン マルコポーロ」です。

昨年は香と味に感動しましたが、今年は香がそれほどでもないような…。
チョコが古かったのか、私の鼻が悪くなったのか?
昨年も書いてますが、他にアールグレイやらサクラやらがあるようなので、今年こそ買ってみようと思います。
面白い時代小説三冊 ― 2023/02/06

畠中恵 『わが殿』
畠中さんの初めての史実に基づいた小説です。
殿とは越前国大野藩七代目藩主・土井利忠。
主人公はその殿に仕える、わずか八十石の内山家の長男・七郎右衛門。
幕末期にはほとんどの藩が財政赤字に苦しんでいたが、大野藩も例外ではなかった。藩主・利忠は藩政改革を行い、藩の財政を立て直そうとする。その時白羽の矢が立ったのが金勘定に優れた七郎右衛門だった。
彼は幕府から大きな借金をし、面谷鉱山で新鉱脈探しを行い、金を作る。一方藩主は面扶持を断行する。
しかし借金がどうにかなるという見通しがつくと、藩校明倫館を作るために金が必要になる。そうこうするうちに江戸城が、その二年後に江戸の上屋敷、中屋敷が火事で燃え、立て直しを余儀なくされたりと、金は出て行くばかり。
七郎右衛門は命を狙われ、恨み嫉みで嫌な思いをすることもあったが、打ち出の小槌とはよく言ったもので、誰も考えないような金策を次々と考えていく。
やがて黒船が到来し、時代は移り変わっていく。
七郎右衛門に絶大な信頼を寄せる藩主と「殿、命」と仕える七郎右衛門の関係がいいです。偉大な功績を残した君主のもとには素晴らしい家来がいるのですね。七郎右衛門の才能を発掘し、登用した殿の見る目の確かさは流石です。
淡々とした書き方で、話が長く、途中で飽きちゃうこともありましたが、江戸時代の藩がいかに財政赤字に苦しんでいたのかがよくわかりました。
こうしておけば幕府にたてつく暇がないですものね。
福井はまだ行ったことがないので行って、天空の城「越前大野城」を見てみたいです。
泉ゆたか 『春告げ桜 眠り医者ぐっすり庵』
藍は生まれ育った茶農家の”千寿園”で西ヶ原の名物となるお茶を作り出すという研究に打ち込んでいる。
そんな藍のところに『万屋一代記』という格言集で人気を博した商売人の万屋一心がやって来る。
千寿園は滝野川の京料理を出すことで有名な高級料亭「桜屋」に千寿園の茶葉を仕入れてもらおうと画策しており、一心が桜屋と話をつけてくれたのだ。
藍が一心と一緒に桜屋に行き女将と話していると、桜屋は一心に江戸者たちが喜ぶような桜の宴を考えるように頼んでいたことがわかる。
そこで一心がとんでもないことを言い出す。
藍に三月ほど桜屋で働きながら、お江戸の客を魅了する催しを見つけろというのだ。
女中たちと一切変わらぬ扱いで働き始める藍だったが…。
藍は桜屋の女将と江戸対京のお茶対決をします。
京は宇治茶が有名ですが、東京のお茶って何がありましたっけ?
狭山茶は有名ですけど、埼玉県ですよね。
今回は眠り医者が付け足しみたいでしたが、お茶がとても美味しそうでした。
この頃ほうじ茶ばかり飲んでいますが、たまにはゆっくりと煎茶を飲むのもいいかも。もちろん和菓子は必須ですww。
横山起也 『編み物ざむらい』
黒瀬感九郎は凸橋家から召し放ちになり、父から勘当を申し渡され、行くところもなく、大川のほとりで得意の編み物をしていた。
そこで女が浪人たちに因縁をつけられているのに遭遇し助けようとして怪我をしてしまう。
女は御前、彼女を助けに来た異形の侍は能代寿之丞といい、なんと手妻師だという。感九郎は彼らの住む「墨長屋敷」に連れられていき、しばらく世話になることになる。屋敷には彼らのほかに戯作者のコキリという女がいて、感九郎が編み物をすると知ると、最上級の絹糸で手袋を編んでくれと言い出す。「仕組み」のために必要なのだという。
成り行きから感九郎は彼らの仕事に協力することになる。
題名が面白いので、読んでみました。
江戸時代に編み物をする侍がいたなんて、驚きですよね。
本によるとメリヤスが入ってきたのは安土桃山時代、織田信長や豊臣秀吉の時代から江戸初期にかけてで、南蛮から来た宣教師がもたらし、刀の柄袋やメリヤス足袋、手袋から襦袢や股引まで編んでいたそうです。
感九郎には、ここには書きませんが編み物以外にも特殊能力があります。
墨長屋敷のメンバーもキャラ立ちしてますが、感九郎の婚約者のマオさんはいいキャラです。
侍はこうであらねばならぬとギチギチに締め付けられた江戸時代を舞台にした痛快な時代小説です。
今回読んだ三冊はどれもオススメです。
一冊というと、『編み物ざむらい』かな。是非読んでみてください。
穂波晴野 『吉祥寺うつわ処 漆芸家・棗芽清乃の事件手帳』 ― 2023/02/08

英明大学二年生の花岬麻冬は岐阜県から吉祥寺に引越してきた。
一年が経っても回りから浮いていて、友だちは出来ない。
「第一章 割れ」
麻冬は考古学演習Ⅰの講義課題である土器のスケッチを修正しようと思い早朝博物館に行くと、展示室にあった土器が割れていた。
展示室には麻冬以外の人はいなかったので、教授は麻冬の弁明を聞こうともせず、彼女が土器を壊したと断定し、みんなの前で非難した。
ある日、吉祥寺をうろついている時に、麻冬は店頭に<壊れモノ、繕います>というふしぎな張り紙を見つける。
それは陶磁器を扱う店で、店主は棗芽清乃という整った造作をもつ美人だった。
店では販売のほかに修繕サービスもしており、清乃は<金継ぎ>をしてうつわを直しているという。
清乃から金継ぎのやり方をみせてもらった麻冬は土器を直せないかと思い訊いてみるが、難しいといわれる。
麻冬が何か困っている様子に気づいた清乃に尋ねられ、麻冬は教授に土器破壊の犯人扱いをされ、大講義室で白い目で見られたことを話す。
そうすると清乃は話を聞いただけなのに真相の目星がついたので、自分に出張修繕を依頼するようにしろと言い出す。
「第二章 ひび」
麻冬は木蓮陶房でアルバイトを始める。
仕事は接客と清掃、店舗事務などで、負担は軽いのに給与は高い。
清乃は職人気質で、金継ぎに集中すると寝食を忘れがちな人で、麻冬は心配している。
ある日、高取さくらという小柄なお婆さんが店にやってくる。お猪口を直して欲しいというのだ。
お猪口には<ひび>が入っていて、傷が深いので、清乃は一度割ってから金継ぎで修繕する方法をすすめた。しかし高取は割りたくないといい、悩む時間をくれと言ってうつわを置いて帰っていった。
別の日、店のブログを見たと言って波佐見椿姫という車椅子に乗った女性がやってくる。
金継ぎをしたうつわを見てみたいというので見せていると、高取の置いていったお猪口を手に取り、どこで手に入れたのか尋ねてくる。
清乃は波佐見が高取のことを知っていると確信する。
「第三章 欠け」
麻冬は上京してからずっと吉祥寺東分寮で暮らしている。
ところがこの学生寮が火事になってしまう。
泊めてもらえそうな友だちもいない麻冬は途方に暮れて駅前広場に立っていると、<朧月夜>の板前見習いの逸流と遭遇する。
彼に事情を話すと、清乃に電話をしてくれ、麻冬はしばらく清乃の家で世話になることになる。
ある日、ポストに<棗芽清乃は大罪を犯した>と書かれたコピー用紙が入っていた。麻冬はたまたまやって来た逸流に協力を求めることにする。
それから連日、同じことが印刷されている紙がポストに投函される。
一体誰が脅迫状を送っているのだろう。
麻冬は自分が清乃のことを何も知らないと痛感する。
陶器に関するミステリーかと思って読み始めたらそうではなく、一般的な日常に潜む謎ものでした。
孤独なワケあり女子大生が美人で聡明な金継ぎ職人女性と仲良くなっていくという、よくありそうなお話ではありますが、嫌いではないです。
ただし第一章で、土器を割った犯人がちゃんと罪を償ったのかどうか曖昧なのが気になりました。
次回の展開がどうなるのかに期待して待ちますわ。
<今週のわんこ>

新しいおもちゃに夢中のヨーキー。

カットしても乱れ髪です。
M.C.ビートン 『ゴシップ屋の死』 ― 2023/02/10
アガサ・レーズン・シリーズを書いたビートンの新しいシリーズ。

主人公はスコットランドの北部ハイランド地方の小村ロックドゥの巡査ヘイミッシュ・マクベスです。
彼は三十五歳を過ぎているのに、独身で、村人にはたかり屋だとか人の邪魔ばかりしているとか、色々と言われています。
実は彼の父親は小作農で、彼の弟と妹の六人の子どもたちを養えるだけの稼ぎがないので、彼が仕送りをして養わなければならないのです。
本に書かれていたのですが、ケルト系の家族では、長男があとに生まれた弟や妹が自立するまで独身でいるのが当然だと考えられているそうです。今はどうなんでしょうね。
そんなわけで、彼は家族に給料を仕送りするためにロックドゥ村の巡査になり、給料の他に鹿肉やサケを密漁し、飼っているニワトリやガチョウの卵の儲けなども両親に送っています。
ヘイミッシュは持ち前の気楽で素直な性格なので、この運命を受け入れているようですが…。
夏の間、ロックドゥ・ホテルに泊まりながらロックドゥ・サケマス釣りスクールで釣りを習うことができます。
このスクールは手ごろな料金で絶好の釣り場で釣りができるということで、釣りのアマチュアだけではなく熟練の釣り師にも人気があります。
今週行われるスクールには参加者が八人:ニューヨークから来たロス夫妻、労働党議員の未亡人のレディー・ウィンターズ、ロンドンからジェレミー・ブライスとアリス・ウィルソン、マンチェスターから十二歳のチャーリー・バクスター、前にも参加したことのあるピーター・フレイム少佐、そしてオックスフォードからダフネ・ゴア。
楽しくレッスンできるかと思ったら、とんでもありませんでした。
レディー・ウィンターズは参加者たちの住所を手に入れ、汚点を探っていたようで、参加者たちの秘密をバラしていくのです。
彼女の行いに苛立つ参加者たち。
ヘイミッシュは厄介なことが起らなければいいと思っていましたが、とうとう恐れていたことが起こります。
スクールの四日目にレディ・ウィンターズが殺されたのです。
ストラスベイン警察からブレア警部がやって来て、ヘイミッシュを事件の捜査から外します。
ヘイミッシュはこんな高度な犯罪を扱うには経験不足で、自分たちは経験豊富だからだと言うんです。
最初はやる気のなかったヘイミッシュですが、こんな風にバカにされては黙っていられません。
さてヘイミッシュはブレアよりも先に犯人をつきとめることができるのでしょうか。
ブレアとヘイミッシュの間に何かあったのでしょうか?
それともブレアの性格が悪いだけでしょうか、笑。
村人たちからは昼行灯みたいに思われているヘイミッシュですが、やればできる人で、その上家庭に問題がある子どもを助けたり、失恋した女性を慰めたりととっても優しい人です。
地主の娘プリシラ・ハルバートン・スマイスのことが好きみたいですが、身分の差もありますし、兄弟を養わなければならないので、結婚をそう簡単にできそうにありません。
でもプリシラはヘイミッシュの良さをわかっているようなので、これから進展があるかもしれませんね。
楽しみにして読みましょう。
マクベス巡査シリーズは35巻まで出版されているようです。
ビートンさんはお亡くなりになっていますので、これ以上増えませんが、こんな小さな村で35人も殺されたら、住民がいなくなっちゃうわねwww。
二巻のあらすじを見てみると、ブリシラはロンドンの劇作家と婚約してしまうみたいです。
アラ、ヘイミッシュの思いは届かなかったのかしら…。
順番に翻訳されるかどうかわからないので、アガサのように英語で読んでみようかどうか考え中です。
雪の日、お家で遊ぶ ― 2023/02/11
雪が降る日に滑って転んで頭を打ったことのあるママはお家に引きこもりました。
犬たちも家でまったりしました。
まず最初に兄犬がハンカチで持って来いと引っ張りっこをしました。

写真は嫌いなのか、カメラをにらみます。

アララ…。
弟は古いおもちゃに見向きもしなくなったので、仕方なく兄用のエビ天を使い持って来いをしました。

うれしそうにエビ天をくわえています。(おトイレが写ってしまいました)

わざと置いて、ママに取ってみろをやります。

ママに背を向けて取ってみろをします。
ずるいですね、ママは取れませんよね。

遊んでいるとよく舌出しをする弟です。
犬って笑うんですね。
(断捨離の後だったのでゴミ袋が写ってしまいました、恥)
今野敏 『審議官 隠蔽捜査9.5』 ― 2023/02/13

竜崎伸也が警視庁大森署長から神奈川県警刑事部長に異動してから起った周囲の出来事を描いた短編9篇。
「空席」
竜崎が神奈川県警に異動した日、後任の北海道警から大森署に異動してくるはずだった女性キャリアの着任が遅れ、一日署長が空席となる。
そんな日に限って難題が持ち込まれ、にっちもさっちもいかなくなり、竜崎がいればどうしただろうかと思う貝沼副署長と斉藤警務課長。
結局貝沼は新任の署長に、斉藤が竜崎に電話をしてお伺いを立てることになるが…。
「内助」
竜崎冴子はテレビのニュースに妙な既視感を覚えた。
いったん家に戻って来た夫の竜崎に話してみるが、「警察がちゃんと捜査をしている。おまえがあれこれ考える必要はないんだ」と言われる。
すっきりしない冴子は竜崎のいない間にこの謎を解いてみようと決意する。
仕事から帰って来た娘の美紀の助けを借り、冴子が辿り着いた犯人とは…。
「荷物」
竜崎の息子の邦彦は悩んでいた。
ポーランド人のヴェロニカから頼まれ、アントニという男性から預かったバッグの中に白い粉が入っていたからだ。
ヴェロニカとは連絡がつかなくなっていた。
ヴェロニカは一体何をしているのだ。まさか覚醒剤の売買では…。自分は運び屋なのか?
邦彦は一度ヘロインの所持・使用で捕まっていた。
父は家族の不祥事を問われ、懲罰的な降格人事をされた。
今度捕まったら父がどんな処分を受けるかわからない。そんなことに耐えられないと思う邦彦。
そんな時に竜崎が部屋にやって来る。冴子に様子を見てこいと言われたというのだ。忙しいだけと言いごまかしたが…。
「選択」
竜崎の娘の美紀は通勤途中で痴漢だと思われる男の逃亡を阻止する。
しかしその後、痴漢詐欺の共犯ではないかと疑われ、ターゲットとされた男性からは名誉毀損で訴えると言われる。
会社では警察に事情を聞かれ遅刻してきたのを咎められ、プレゼン失敗の責任をおしつけられ、課長のパワハラの餌食にされる。
八方塞がりだと思い、どうしようもなくなった美紀。
帰宅して食事をしていた時、母から「どうしたの?何かあった?」と訊かれ、ちょうど父もいたので、美紀は今までのことを話してみることにする。
「専門官」
板橋捜査一課長は困っていた。捜査一課の捜査官の矢坂が前任の本郷部長の時と同じように新人の竜崎部長に楯突くのではないかと思っているのだ。
そんな中、港北署管内で連続強盗事件の一つではないかと思われる強盗事件が起り、矢坂が臨場する。
板橋が捜査本部設置の可能性を告げると、矢坂は設置に反対だと竜崎に抗議しに行く。
「参事官」
池辺刑事総務課長と竜崎刑事部長が佐藤県警本部長に呼び出される。
阿久津参事官と参事官兼任の平田組織犯罪対策本部長の折り合いが悪いので、なんとかしろと言うのだ。
ノンキャリアはキャリアを嫌っている者がいるが、阿久津と平田の対立の原因もそこなのか?
とりあえず池辺に何かわかったら教えるように指示する竜崎だったが…。
「審議官」
竜崎は長瀬審議官に米海軍犯罪捜査局(NCIS)の特別捜査官リチャード・キジマが日本国内の事件の捜査をしていたことを自分に知らせなかったことを咎められる。
彼は海外の捜査機関が好き勝手に日本国内で捜査できるとなれば、日本の警察の権威は失墜し、日本の警察の危機を招くと言い張り、ついては竜崎の処分を考えろと佐藤本部長に命じる。
竜崎は何が問題なのか理解に苦しむ。
しかし阿久津参事官から情報を仕入れ、竜崎はいい解決方法を思いつく。
「非難」
大森署副署長の貝沼は困っている。
第二方面本部の野間崎管理官が署に頻繁にやって来るのだ。
それも藍本署長に会うために。
藍本百合子警視正は四十歳のキャリアで、彼女の大きな特徴が見る者を引きつけずにおかない美貌なのだ。
野間崎が署に来る言い訳が、戸高の非違行為について調べる為というが、野間崎は署長にはその話はせず、するのは世間話ばかり。
解決策の浮かばない貝沼は伝家の宝刀を抜くことにする。
「信号」
竜崎は避けていたキャリア会に八島警務部長の強引な誘いに負け参加することになる。
後日、そこで話し合われていた赤信号を守るかどうかという話が外に漏れ、県警トップが交通法規を守らなくていいと、自ら公言したと物議を醸し出す。
どうしようもなくなった本部長は竜崎を呼び出す。
原理原則に忠実でぶれない竜崎がいいです。
人はどうしても、他の人や自分より階級の上の人がどう思うのかを考えてしまいがちです。
そのため考えなくていいことまで考えてしまい、どうすればいいのかわからなくなってしまいます。
竜崎は人の思惑なんてどうでもよく考慮に入れないので、彼に相談すれば、単刀直入にどう解決すればいいのか答えてくれます。
それにしても嫌な奴はどこにでもいるもので、竜崎はそういう奴にも負けずに冷静に対処していくのが流石です。
そしてたとえ妻の言うことであっても、真摯に受け止め、聞くという姿勢がいいです。
奥さんの冴子さんは竜崎に負けないくらいいいキャラしてます。
息子や娘(たぶん竜崎も)をよく見ています。自分の力でできるところまでやらせて、ここを過ぎるとまずいという時に手を差し伸べるタイミングがいいのです。
娘さんはパワハラ上司に辟易しながらも、回りに助けてくれる人がいてなんとかやっていけそうなのですが、息子は大丈夫かと言いたくなりました。
彼はまた何かやりそうです。竜崎に面倒かけるなよ、笑。
「荷物」と「選択」で気になったのが、邦彦や美紀は竜崎の子どもだったから警察の尋問を逃れられたけれど、もし親が普通の人だったらどうなるのかということです。
そう簡単にいかないように思うのですが、どうなんでしょうね。
次回の『隠蔽捜査10』では美貌の藍本署長と一緒に何かやってくれるといいのですが。もちろん問題刑事(失礼)の矢坂と戸高もね。
<昨日の兄犬>
昨日、兄犬が変でした。
散歩で外に出た途端に歩かなくなったので、ママが抱いてお散歩をしました。

具合の悪そうな顔をしています。どうしたのでしょう?
また膝が痛くなったのでしょうか?特に足を引きずっているわけではありませんが…。

こんな写真を見つけました。
珍しく兄犬が楽しそうに笑っている写真です。
これからはあまり無理をさせずに、わんこたちが楽しく暮らせるように考えていきますわ。
<今週のおやつ>
バレンタイン前なのに、チョコレートを食べてしまいました。
今年は美味しそうなのを沢山買っています。

日本のウィスキーが海外で流行っているそうですね。
竹鶴の入ったチョコを食べてみました。

ウィスキーの匂いがプンプンしました。アルコール分は3%。食べ過ぎると酔いそうです。

インターナショナルチョコレートアワード、アジアパシフィック大会で金賞と銀賞になったというチョコレートの入ったセットです。
右上「ごま抹茶」が銀賞で、左下「濃い抹茶」が金賞です。
私、馬鹿舌らしく、あまり抹茶の苦みを感じませんでした。
どちらも甘さ控えめです。
リン・メッシーナ 『公爵さまが、あやしいです 行き遅れ令嬢の事件簿①』 ― 2023/02/15
新しいコージーミステリーのシリーズです。
シリーズ名が「行き遅れ令嬢の事件簿」なんて、今時の若い子は「行き遅れ」などという言葉を知っているのかしら?

十九世紀初頭のイギリスでは、ミドルクラス以上の女性たちに仕事に就くという選択肢はなく、実家を出て行くには結婚するしかなかった。
主人公のベアトリス・ハイドクレアは五歳の時に両親をボートの事故で亡くし、叔父夫婦に引き取られた。
そのため常に周りに気兼ねしながら生きてきたので、本来の性格とは違う内気な性格になってしまった。
その上特に美人というわけでもなく、結婚市場では誰にも見向きもされず、いつしか二十六歳の行き遅れになってしまい、こうなったら叔母の話し相手になるか、従兄弟たちの子どもの家庭教師になるしか選択肢はなかった。
しかしベアトリスはどちらも嫌だった。
九月下旬のある日、叔父夫婦は湖水地方にある侯爵家のハウスパーティに招待され、ベアトリスも従兄弟たちと一緒に同行させられた。
侯爵夫人と叔母さんが女学校時代の友人だった。
ベアトリスたち以外のゲストは、ケスグレイブ公爵ダミアン・マトロックと資産家のトーマス・オトレー、侯爵夫人の学友だったオトレーの妻アメリア、オトレー夫妻の娘エミリー、侯爵の息子アンドリューと彼の友人アマーシャム伯爵、そして侯爵のいとこのヌニートン子爵。
ケスグレイブ公爵は見目麗しいルックスと明晰な頭脳、そして資産まであり、何から何まで完璧過ぎて、ベアトリスはすぐに嫌悪感を抱いてしまう。
オトレー夫妻は娘をアンドリューと結婚させるためにハウスパーティにやって来たようだが、ベアトリスの見たところ、叔母も同じ狙いがあるようだ。
しかし叔母の娘のフローラは美貌のエミリーに夢中だ。
はたから見ているぶんには楽しめるのだが、ベアトリスはパーティなんかよりも読書している方がよかった。
その日は部屋にひきあげてもベアトリスに眠りは訪れず、仕方なく図書館に伝記の本を探しに行くことにする。
しかしそこでベアトリスはオトレー氏の死体を見つけてしまう。
それのみか死体のそばに公爵がいたのだ。
ベアトリスは公爵に体よく追い払われてしまう。
次の日、驚いたことにオトレー氏は自殺をしたことになっていた。
もしかして公爵が彼を殺したのか?
疑心暗鬼になるベアトリスだったが、いつしか公爵と協力して犯人を捜す羽目に…。
十九世紀の貴族の様子が垣間見られるお話です。
とにかくこの時代の貴族の女性にはなりたくないですわ。
色々と面倒なんですもの。
ちなみに貴族の階級は、公爵→侯爵→伯爵→子爵→男爵だそうです。
公爵と接していくうちに、だんだんとベアトリスは失われていた自分を取り戻していきます。
階級社会なので、公爵の言うことが絶対らしいのですが、内気なはずのベアトリスは躊躇せず、公爵に自分の意見を言っていきます。
公爵はそういう女性に出会ったことがなさそうで、初めは面食らっているようでしたが、だんだんとベアトリスを憎からず思うようになっていきます。
これから二人の間がどう進展していくのか、興味があります。
不満といえば、題名です。
原題は『A Brazen Curiosity(厚かましい好奇心)』なのに、『公爵さまが、あやしいです』ですか。
主人公が26歳にもなる女性だとは思えない題名ですねぇ。
二巻目の『A Scandalous Deception』をどうするのかしら。「公爵さま、スキャンダルです」かな?
楽しみですわww。
<バレンタインのチョコレート>
この頃、企業では義理チョコは止めましょうというお達しがあるそうですが、夫が貰って来たのがこのチョコレート。

JOHN KANAYAの葉巻ショコラ(赤ワイン)。
「伝説のレストラン「西洋膳所ジョンカナヤ麻布」のオーナー、ジョン金谷鮮治氏が愛し、トレードマークにもしていた葉巻をモチーフにして作られた」チョコレートだそうです。
「クリームをあえて使わず、赤ワインだけで仕上げたガナッシュチョコレートにクーベルチュールチョコレートを薄く塗り、職人技で巻き上げ」ているそうです。
赤ワインと一緒に食べるといいらしいです。
昨日は赤ワインがなかったので、見るだけでした。
週末にワインと一緒に食べてみますわ。

缶が可愛くて、自分で食べるには高いけど買ってしまったKEITAMARUYAMAの詰め合わせチョコレート。
五種類のチョコレートが入っています。
包み紙も可愛い。

特に気にいったのがチェリークランベリー。2個しか入っていないのが残念。
5種類ありますが、どれも好きです。
クッキーもあるそうなので、買いたいと思ったら遅かった。柄の缶入りは売り切れです。
次は絶対に買うことにします。
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