「ロスト・キング 500年越しの運命』を観る2024/11/07

「これは人生で正当な評価を得られず、真価を発揮できずにいた人の物語です」


フィリッパ・ラングレーは持病があるが、仕事を頑張ってやってきたつもりだった。
だが、上司には評価されていなかったらしく、若い新人女性に狙っていた仕事を奪われる。

失意の中、フィリッパは二人の息子たちといっしょにシェイクスピアの劇「リチャード三世」を観に行く。
劇を観ながら、リチャード三世(1452ー1485)はシェイクスピアが描いたように、醜いせむし故に性格が曲がってしまい、二人の甥を殺した、残忍な、不当に王位を奪った男なのかと疑問を持つ。

フィリッパは多くの書籍や文献を読み、リチャード三世の正当な評価を求めている市民サークル「リチャード三世協会」に参加する。
そんなフィリッパの前にいつしかリチャード三世の幻が現れるようになる。

リチャード三世のことを調べていくうちに、フィリッパは彼の遺体の埋葬場所に興味を持つ。
一説では遺体はレスターを流れるソアー川に捨てられたといわれている。
フィリッパは講演を聞きにレスターまで行き、講演会場に来ていた歴史家のジョン・アッシュダウン・ヒル博士にリチャード三世が埋葬されているかもしれない教会を探したいと相談すると、彼から教会の敷地は手つかずの場合が多いので、空き地を探すように助言される。
フィリッパが見つけた空き地は社会福祉課の駐車場になっていた。
フィリッパはそこにリチャード三世が埋められていると確信する。

フィリッパは考古学者のリチャード・バックリーに援助を求め、発掘のための資金集めとレスター市への発掘許可申請に奔走する。

発掘作業が進む中、足の骨が見つかる。
バックリーは修道士のものだと言ってそれ以上掘ろうとはしない。
しかし、フィリッパは自らの直感に基づき、発掘を強行する。
すると…。

このお話は実話です。
2012年9月にリチャード三世の遺骨は発見されました。
ヒル博士が探し出したリチャード三世の姉の女系子孫のミトコンドリア鑑定を行い、2013年2月に遺骨がリチャード三世のものと断定されたそうです。

歴史の専門家ではない女性(仕事をしていたので、主婦ではないですね)が、リチャード三世の遺体を探せたというのが、すごいことです。
だけどその後に、フィリッパさんの手柄を横取りしようとする連中が現れます。
色々とあったようですが、フィリッパさんに勲章が授与され、リチャード三世が正当な王であることが認められ、墓に王家の紋章が刻まれたそうなので、本当によかったです。

映画ではフィリッパの別居中の夫ジョンとリチャード三世役の人が素敵でした。
リチャード三世捜しに熱中する妻を馬鹿にすることなく、サポートするジョン(スティーブ・クーガン)の姿がとても好ましいです。
リチャード三世になったのはハリー・ロイドという役者です。


なかなか凜々しいリチャード三世ですね。
DNA鑑定によると、リチャード三世は青い目の金髪である可能性が強いみたいですが、残っている肖像画では黒髪の黒目ですね。
どちらが本当なのでしょうか。

映画ではリチャード三世の遺体の埋葬場所をどうやって見つけたかがそれほど詳しく描かれていません。
後から振り返ると、そこのところが疑問です。
フィリッパさんが発掘までの出来事を書いてくれていたらいいのですが。
(どなたかが彼女が本を書いたと書いていました。だから大学等の不正がバレたのねwww)

歴史はロマンですねぇ。
フィリッパを参考にして、埋もれている歴史を掘り出そうと思う方が観ると、勇気づけられるかも。

Official Trailer (英語)