重松清 『青い鳥』 ― 2007/10/22

言葉がつっかえて、上手く話せない国語の村内先生が主人公の短編集です。
村内先生は臨時講師として、各中学校に短期間だけ勤務しています。
小太りのどこでもいるようなさえないおじさんですが、たった一人で人生の重みに耐えているこどもの元へ彼はやってきます。
そして、「よかった、間に合った―」という言葉を残して、去っていきます。
個性を認めない、みんなと同じことをすることを期待されている学校の中で、行き詰まっている子ども達。
そういう子ども達を助けるために村内先生はいるのです。
先生は言います。(読みやすいように書きます)
「先生はどもります。あんまりじょうずにしゃべれません」
「でも本気で、じゃべります。先生がしゃべるのは、本気のことだけです」
どの物語もいいのですが、題名にもなっている「青い鳥」を紹介します。
野口くんという気の弱い男の子に、クラスの男の子たちが自宅のコンビニから商品を持ってくるように言います。
最初は1個の消しゴムだったのに、だんだんエスカレートしていき、どうしようもなくなり、野口くんは自殺未遂までしてしまいます。
主人公のぼくは一回だけ野口くんに消しゴムをもらったことはありますが、特にいじめに関わっているというわけではありませんでしたが、止めもしませんでした。
担任の高橋先生の代わりに村内先生がやってきます。
先生は取り去ってしまった野口くんの机を元に戻し、毎朝「野口くん、おはよう」と声をかけるのでした。
それが他の2年1組の生徒たちにとっては、罰のように思えるのです。
ぼくは村内先生になんで野口の席をつくったのか聞きます。
先生は言います。
「みんな野口くんをふみにじった。野口くんの苦しみに気づかないほど、あの子のことを軽くしか見ていなかったから、だから先生はクラスでいちばんあの子のことをたいせつにしてやるんだ」
「それって、ぼくらに罰を与えてるってことなんですか?」と問いかけるぼくに先生は言います。そうじゃない。「責任」だと。
「彼らがやったことを野口くんは一生忘れない。野口くんにしたことを忘れてはだめなんだ、一生。それが責任なんだ」
「いろんなひとがいるんだ、ひとそれぞれなんだ。だから野口くんのような友だちと知り合ったら、今度はもうわかるだろう?今度はもう、ちゃんと聞こえるだろう?」
村内先生の優しさは厳しさの伴った真の優しさなのです。
一遍一遍の物語は現実ではありえないものです。
そもそも一人の子どものためにだけ臨時講師が来るなどということはありえません。
ですが、現在の教育に一番欠けているものが、一人一人をたいせつにするということではないでしょうか。
村内先生のような人に中学校時代に会えたらよかったなと思います。
みんな違って当たり前。
その違うことを認めあえる、そういう世の中になって欲しいですね。
もし孤独を感じていたら、もし自分はみんなとは違うと思えたら、読んで欲しい本です。
村内先生は臨時講師として、各中学校に短期間だけ勤務しています。
小太りのどこでもいるようなさえないおじさんですが、たった一人で人生の重みに耐えているこどもの元へ彼はやってきます。
そして、「よかった、間に合った―」という言葉を残して、去っていきます。
個性を認めない、みんなと同じことをすることを期待されている学校の中で、行き詰まっている子ども達。
そういう子ども達を助けるために村内先生はいるのです。
先生は言います。(読みやすいように書きます)
「先生はどもります。あんまりじょうずにしゃべれません」
「でも本気で、じゃべります。先生がしゃべるのは、本気のことだけです」
どの物語もいいのですが、題名にもなっている「青い鳥」を紹介します。
野口くんという気の弱い男の子に、クラスの男の子たちが自宅のコンビニから商品を持ってくるように言います。
最初は1個の消しゴムだったのに、だんだんエスカレートしていき、どうしようもなくなり、野口くんは自殺未遂までしてしまいます。
主人公のぼくは一回だけ野口くんに消しゴムをもらったことはありますが、特にいじめに関わっているというわけではありませんでしたが、止めもしませんでした。
担任の高橋先生の代わりに村内先生がやってきます。
先生は取り去ってしまった野口くんの机を元に戻し、毎朝「野口くん、おはよう」と声をかけるのでした。
それが他の2年1組の生徒たちにとっては、罰のように思えるのです。
ぼくは村内先生になんで野口の席をつくったのか聞きます。
先生は言います。
「みんな野口くんをふみにじった。野口くんの苦しみに気づかないほど、あの子のことを軽くしか見ていなかったから、だから先生はクラスでいちばんあの子のことをたいせつにしてやるんだ」
「それって、ぼくらに罰を与えてるってことなんですか?」と問いかけるぼくに先生は言います。そうじゃない。「責任」だと。
「彼らがやったことを野口くんは一生忘れない。野口くんにしたことを忘れてはだめなんだ、一生。それが責任なんだ」
「いろんなひとがいるんだ、ひとそれぞれなんだ。だから野口くんのような友だちと知り合ったら、今度はもうわかるだろう?今度はもう、ちゃんと聞こえるだろう?」
村内先生の優しさは厳しさの伴った真の優しさなのです。
一遍一遍の物語は現実ではありえないものです。
そもそも一人の子どものためにだけ臨時講師が来るなどということはありえません。
ですが、現在の教育に一番欠けているものが、一人一人をたいせつにするということではないでしょうか。
村内先生のような人に中学校時代に会えたらよかったなと思います。
みんな違って当たり前。
その違うことを認めあえる、そういう世の中になって欲しいですね。
もし孤独を感じていたら、もし自分はみんなとは違うと思えたら、読んで欲しい本です。
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