柚月裕子 『慈雨』 ― 2017/03/21

八重のクリスマスローズが咲きました。
今年は昨年よりもたくさん咲いています。
クリスマスローズって年々増えていくのでしょうか?

不思議なことに、ピンクの中に1輪だけ青い花が咲いています。
突然変異かしら?

警察官を定年退職した神馬智則は妻とお遍路の旅へと出発します。
彼の警官人生の中で心ならずも隠蔽してしまったことが心に重くのしかかっていました。
旅を初めてすぐに、幼女殺人事件が起こります。
その手口は16年前に神馬が関わった幼女殺人事件と酷似していました。
神馬はお遍路をしながら、元部下で娘の恋人の緒方を通し事件と関わり、自らの犯した過ちを正そうとします。
心に残る言葉がありました。
「人生はお天気とおんなじ。晴れる時もあれば、ひどい嵐の時もある。それはお大尽さまも、私みたいな田舎の年寄りも同じ。人の力じゃどうにもできんけんね。ほんでね」
「ずっと晴れとっても、人生はようないんよ。日照りが続いたら干ばつになるんやし、雨が続いたら洪水になりよるけんね。晴れの日と雨の日が、おんなじくらいがちょうどええんよ」
お遍路さんの接待をしているおばあさんの言った言葉は深いです。
晴れの日と雨の日が同じくらいがいい。
そうは言っても普通の人は晴れの日ばかりがいいと思いますよね。
雨の日にどうするのかで、その人の人間としての位がわかってしまうように思います。
そして、雨の日でも次に晴れの日がやってくると思えると、もう少し頑張ってみるかと思えることもありますよね。
犯人が判明するきっかけがそんなことというようなことでした。
この本は謎を解くミステリではないので、まぁいいか(笑)。
人生の終わりに悔いが残っていたらどうしましょう。
神馬のように決着をつけるのもいいけれど、それを抱いたまま終わるのも一興ですよね。
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