江上 剛 『円満退社』2011/09/25



銀行に勤めていた人が作家になると、銀行について書くことが多いのでしょうか?
江上さんは元第一勧銀に勤めていたそうです。

題名からわかるように銀行を退職する人をコメディタッチで描いた本です。
退職するという日、一日の間にこんなことがゴチャゴチャと起こったら・・・。体に悪いですわ。

東京大学を出て一流銀行に勤めたけれど、うだつの上がらぬ岩沢千秋は待ちに待った退職の日を迎えようとしていました。
今日一日だけは何事もなく終わりたいと思っていたのですが、次から次へととんでもないことが起こります。

銀行員がいなくなるわ、不正融資はあるわ、ATMから現金がなくなるわ・・・etc.
てんてこ舞いをしているというのに、金融庁から検査官が来るという知らせまで入ります。
これらがばれると、退職金がパーになる・・・。

岩沢には夢がありました。退職金を使ってあることをしたいという。
一方、岩沢の悪妻聡子も退職金でしようと思っていたことがありました。

さて、岩沢は無事に退職金を手に入れ、やりたいことをやれるでしょうか?
悪妻聡子はどういう手に出て、岩沢から退職金を取り上げるのでしょうか?

一見するとユーモア小説のようですが、経済小説ですから、元銀行マンの怨念(笑)が詰まっています。

経済をもっと勉強しとけばよかったと思うこの頃です。