上橋菜穂子 『鹿の王』2014/10/21

国際アンデルセン賞を取った上橋さんの新刊です。
国際的な賞を取ったということは、彼女の本は色々な国の言葉で訳されて出版されているのでしょうね。
私の好きな守り人シリーズとはテーマが変わったものです。


妻と子を失い、<独角>の頭となり、東乎瑠(ツオル)と戦い敗れたヴァンは奴隷となり、アカファ岩塩鉱で働かされていました。
ある夜、岩塩鉱に犬たちがやってきて、そこにいた者たちに噛みつき去っていきます。
噛まれた者たちは次々と病を発症し、死んでいき、ヴァンだけが生き残りました。
逃げようと思い、必要な物を調達しようとしていると、赤ちゃんの声が聞こえてきます。
ヴァンはその子を連れ、岩塩鉱を後にし、二人で旅を始めたところ、怪我をしていて動けなくなっていたトマという青年に出会い、彼のところに身を寄せることとなります。

一方、医術師ホッサルは移住民に広がる謎の病の治療法を探していました。
岩塩鉱で生き残った者がいることがわかり、後追い狩人を使い、ヴァンを探させます。

不思議な病の陰にはある陰謀がありました。

病がなんとかかんとかというところは、興味のない人にはつまらなく思えるでしょう。
ホッサル君は恰好いいです。
ヴァンの滅ぼされた国の者たちや自らを犠牲にして他を助けるという思いが悲しいです。
みんな幸せになって欲しいのにね。

上橋さんの世界観がいつもすばらしいです。
守り人シリーズのような作品をもっと書いていただきたいものです。

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