村山早紀 『桜風堂ものがたり』&千早茜 『西洋菓子店プティ・フール』2016/12/30

夫に大掃除をさせ、私は兄犬と二人、ベッドでのんびりお昼寝してました(笑)。
今日は家にあるモノで夕食をすませるつもりです。
年末らしさはテレビの中だけのようです。

題名からほんわかした内容のものを期待していたら裏切られました。


老舗のデパートの、デパートの設立当時からある書店「銀河堂書店」で働いている月原一整は、本屋が人生のすべてで、過去のトラウマから人が好きなのに交わらず、ひっそりと本と共に暮らしていました。
彼は、誰も気づかない、いい本を発掘するのがうまい書店員で、これから出版される元脚本家の書いた本が気になり、出版元にゲラをもらえるように手配していました。
そんな時に万引きをした男の子を追っていったために、その子が怪我をしてしまい、一整がネットで非難され、書店に、そしてデパートにも抗議の電話が来るようになってしまいます。
傷つきながらも人に迷惑をかけることを嫌った一整は愛する書店を辞めてしまいます。

家にこもるようになった一整はネットで出会い、本を介して気心を通わした、一度も会ったことのない、桜の咲く美しい村で「桜風堂」という書店を営む男性に会いにいくことにします。

彼の本を愛する姿をそっと見ていた書店員たちが彼のために立ち上がる姿に感動します。
ところどころにファンタジーっぽい猫ちゃんの描写が入っていたのが気になりますが。

人は言葉で人を傷つけ、言葉で救うのですね。
愛することを仕事にできたら、それだけで人は一生幸せ。
そんな仕事に出会えた人はいいですね。

シリーズになって、また一整に会えたらいいですね。

そういえば、書店ものを読むといつも不思議に思うのですが、カリスマ書店員ってどこにいるのでしょうか?
私の住む町に書店の品ぞろえをみると、そんなに考えているのかしらと思うばかりで、私にはよくわかりません。
都心の本屋にいるのかしら?


この本も題名と装丁から受け取ったイメージとはちょっと違いました。
でも、菓子店ですから、美味しそうなお菓子がふんだんに出てきますよ。
特に私はじいちゃんの作ったシュークリームが食べたいです。

亜樹は古びた商店街の中にある、昔、どこにでもあったような西洋菓子店「プティ・フール」で、オーナーであるおじいちゃんと一緒に働いています。
彼女はフランスに留学し、一流菓子店で働いた経験がありますが、じいちゃんの作るお菓子は彼女のよりも上等です。
頭と技術でお菓子を作る亜樹と身体と心でお菓子を作るおじいちゃんの違いでしょうか。

彼女には弁護士の婚約者がいました。
彼はおじいちゃんのシュークリームが大好きで、仕事の合間に平気で5個ぐらい食べちゃうぐらいスウィーツ好き。(大丈夫かい)
婚約したのに、一年以上も結婚の話はとん挫したままです。
亜樹が仕事にこだわっているからなのです。
弁護士の彼はそんな亜樹に婚約解消を申し出ます。

話を簡単に書くとこんな感じですが、亜樹と婚約者以外に登場人物がいて、話に味付けをしてくれます。
人間関係ってこんな風に相手の思いがわからないからグチャグチャになっていくんでしょうね。

最後は年の功でした(笑)。

じいちゃん、いいキャラしています。
「菓子の魅力って背徳感だからな」
「女を興奮させない菓子は菓子じゃねえ」
こういう言葉を言えるなんて。

やっぱりじいちゃんのシュークリームを食べてみたいです。
大晦日はシュークリームを食べて終わりましょうか(笑)。