米澤穂信 『いまさら翼といわれても』―<古典部シリーズ>2017/01/30



自分の写真写りの良さをわかっているとしか思えない弟犬。
カメラを向けると兄は顔をそむけるのに、弟はこういう風にポーズをとります(笑)。



高校生活に潜む謎を解くシリーズ。

最初に話とは関係ない疑問から。
一話目の選挙のお話ではちょっと違和感を持ちました。
公立の高校に通っている人ならわかるんじゃないかな。
あ、もしかしたら歴史のある地方の高校ではこの本のようなことを経験しているのかな?
私は北海道と東京の高校しか知らないのですが、生徒会選挙で投票箱なんて使いました?
クラスごとに選挙管理委員が票を袋に集め、それを持っていってクラスごとに何票と数えませんか?
だからこの話のようなことは起こらないんですが。
ひょっとして歴史のある公立学校とか私立学校では投票箱って使っているんですか?
誰か教えてください。

もうおばさんになってしまった私には、この本は重かったです。
書かれている、特に女の子の悪意に心が辛くなりました。
何回も書いてますが、私ってどうも性善説の人らしく、人の悪意をあまり感じないんです。
なんか変だな、なんでこういうこと言うんだろうと不思議に思っても、その後ろに悪意があるって思えないのです。
折木奉太郎君のような子は生きにくいと思います。
結構人の悪意をわかってしまうのですもの。
どうしてそういう人になったのか、理由がわかるともっと辛くなりました。
彼のお姉さんの言葉に救われます。

「あんたはこれから、長い休日に入るのね。そうするといい。休みなさい。大丈夫、あんたが、休んでいるうちに心の底から変わってしまわなければ・・・」
「きっと誰かが、あんたの休日を終わらせるはずだから」

折木君はお姉さんの存在があったので、曲がることなくまっすぐと育ち、そろそろ休日も終わりそうになったのですね。

高校生の頃ってどうだったのかと振り返ってみると、もう子どもではなく、かといって大人でもなく、将来をそろそろ決めなければならないけれど未来は見えず、グレーの時代でした。
今のようなキャリア教育なんてしてませんでしたから。
まだまだ世間を知らない17歳や18歳に将来を決めろと言われても困りますよ。
そういう時に自分の未来をきちんとみすえることのできた人は尊敬に値しますわ。

後悔のない人生を歩んでいけるように願っていますが、色々と挑戦して失敗するのも必要です。
人は色々と挫折や失敗を繰り替えして大人になっていくのです。
<古典部>シリーズ、これからどういう展開があるのか、楽しみに待ちましょう。