クレオ・コイル 『大統領令嬢のコーヒーブレイク』2017/10/30

コクと深みの名推理シリーズの十五作目。


ビレッジブレンドの2号店がワシントンDCに!

政府の仕事をしているため、NYになかなか帰って来られないマイク・クィンに会えないことに耐え切れず、とうとうクレアは彼のいるワシントンへ2号店のマネジャーとして行くことにしました。
お店は1階がコーヒーハウス、2階がNYで働いていたバリスタでジャズ・ミュージシャンのエバンスがマネジャーをするジャズクラブです。
実はジャズクラブには問題がありました。
クラブに出す料理担当のシェフとクレアは上手くいっていないのです。
オーナーのマダムが契約したシェフのホプキンズが作るのはグルメ向けの料理で、ジャズクラブでは不評にもかかわらず、改めようとはしないのです。
困ったクレアはあることをしようと決心します。

もう一つ問題が発生しました。
なんと、あの、アメリカ大統領の愛娘が、アビー・レインという芸名でジャスクラブでピアノを弾いていたのです。
彼女の演奏はすばらしく、才能があるのがはっきりしていますが、両親、特に母親は彼女の才能を認めず、ピアノを止めさせて結婚させようとしています。
クレアはアビーの力になろうとしますが、世間にアビーのことがばれてしまい、店は大混乱に。

殺人は起こらないかと思っていたら、クレア、大ピンチ。
なんと最重要容疑者として指名手配され、マイクと一緒に逃亡する始末。
このピンチをどう乗り越えるのか。

このシリーズでは美味しそうな珈琲がいつも出てきますが、今回はジャズクラブで出すお料理がすばらしいです。
こんなジャズクラブがあったら、行きたいですわ。

アメリカの詩人のラングストン・ヒューズ(1902-1967)の詩が出てきました。
「わたしは夢見る…あらゆる人が自由な世界を…あらゆる人が欲することに一粒の真珠のようによろこびが伴うことを…」
「I Dream A World」という詩の一節のようです。

I dream a world where man
No other man will scorn,
Where love will bless the earth
And peace its paths adorn
I dream a world where all
Will know sweet freedom's way,
Where greed no longer saps the soul
Nor avarice blights our day.
A world I dream where black or white,
Whatever race you be,
Will share the bounties of the earth
And every man is free,
Where wretchedness will hang its head
And joy, like a pearl,
Attends the needs of all mankind-
Of such I dream, my world!

ヒューズはアフリカ系アメリカ人で「ハーレムの桂冠詩人」とも呼ばれており、自由の国アメリカを愛した詩人です。

今までのシリーズとはちょっと違い、今回はマンネリから抜け出したようです。