山本幸久 『店長がいっぱい』2021/07/13

題名が面白そうなので読んでみました。


友々家は国内外で約120店舗を展開する他人丼のチェーン店です。
店長になった人は様々な経歴があります。転職、離婚、家出、左遷、倒産…。
そんな店長たちの奮闘をオムニパス風に描いた作品です。

他人丼ってどんな丼なのか知っていますか?
親子丼は鶏肉と卵ですが、他人丼は鶏肉以外の肉を使っている丼だそうです。
私は親子丼と牛丼しか食べたことがないのですが、美味しそうですね。

友々家の会長は真田あさぎと言い、シングルマザー。
夫がどこかに行ってしまい、息子を育てるために、息子の好きな他人丼を出す店からここまでのし上がってきたのです。
息子に社長の座を明け渡したのですが、息子はとんでもなく無能な奴です。
彼が発案した新メニューや新企画はことごとく失敗。
クリスマス限定のディナーセットは全く売れず、スタンプカードのスタンプを7つ集めるとくれるオリジナルグッズが卵の殻を被った子豚のぬいぐるみ。
クリスマスに何が悲しくて、丼を食べますか?
いい大人にぬいぐるみ入りませんよね。
それを責任者のせいにして海外に飛ばしています。最悪の経営者ですね。
こんな社長の下、店長たちは不満を持ちながらも、頑張っています。
店長たちの頼みの綱は出来る女、フランチャイズ事業部の霧賀久仁子。
社員からはやっかみでしょう、高飛車だとか、嫌みな女だとか、色々と言われ、嫌われていますが、店長たちのために毎日各店舗を訪れ、愚痴を聞き、相談にのり、トラブルを解決しています。

ブラックだという噂の外食チェーン店ですが、影ではこういうことがあるのですね。
今まで読んだ山本さんのお仕事の本とは違うテイストですが、読後心がほんのり、暖かくなるお話です。