読んだ文庫本2023/03/30

コロナ禍の影響か、人に会ったり、人混みに行くのが億劫になっています。
わんこと遊んだり、たまに旅に出たりがいいみたい。

今月、本を読みすぎたせいか、久しぶりに目が辛くなりました。
それに頸椎症の手術をした上に胸郭出口症候群なのに、何年も症状が出ないので大丈夫だと思って運動をしていたら、覿面に首から肩にかけて症状が出てきました。
気をつけなければ…。

文庫本が溜まってきたので、まとめて紹介します。


篠田節子 『銀婚式』
高澤修平は大学卒業時は空前の就職氷河期だったが、第一希望の証券会社に入社でき、MBAを取り、三十六歳でニューヨークの現地法人勤務となった。
しかし、妻がアメリカに馴染めなかったことから彼は人生に躓く。
協議離婚の後、証券会社が倒産し、倒産した会社の清算業務を請け負う。
日本に戻ったが再就職先がなかなか見つからず、やっと知り合いの紹介で中堅損害保険会社の海外事業部に勤めるが、結局海外現地法人を売却する整理業務をやることになる。その後、船橋支社に異動し、保険代理店のリストラに関わり、鬱病になりリストラされる。
この間に息子の受験問題や妻の実家の介護問題が起り、高澤は元妻と関わりを持たざるおえなくなる。
新幹線の中で、留学していた大学寮が一緒で、今は都内の私立大学の教授をしている男と再会し、彼の紹介で二学期から東北国際情報大学で金融論の講座を受け持つことになるが…。

「男の本分は仕事」と思っていた男が挫折を味わい、それでも精一杯やるが認められず、それなのに挫けずに頑張っていく、そこに世の中のお父さんたちの姿を重ねて読んでいきました。
高澤は仕事では真面目でいい人だと思うのだけど、なんで妻のことがわからなかったのでしょうね。そこが古い人間(男)なんでしょうね。
五十代以降の男性が読むと身につまされるかもしれません。

竹宮惠子 『少年の名はジルベール』
私、竹宮惠子と萩尾望都の確執のことを知りませんでした。
竹宮さんの描いた『風と木の詩』と『テラへ』が好きで、懐かしいなと思って、表紙に釣られて読んでみただけです。
後で竹宮さんの本も買いましたけど途中で挫折しました。
お二人とも漫画家なので、文章が下手でも仕方ないのですが(ファンの方、怒らないでね。私も二人のファンなのよぉ)。
BL漫画が世の中でまだ認められていない時代のことがよくわかりました。

知念美希人 『十字架のカルテ』
光陵医科大学附属雑司ヶ谷病院に勤める弓削凜は精神鑑定医を目指し、精神鑑定の第一人者と言われている影山司に弟子入りする。
彼女には精神鑑定医にならなくてはならない秘密があった。

医師が書いたものなので、わかりやすく面白かったです。
シリーズにして欲しいですね。

柏井壽 『鴨川食堂ひっこし』
京都、東本願寺の近くにあった鴨川食堂が立ち退きを求められ移転することになる。
今回探す食は三つ。一つ目が流からで、彼の妻、掬子が行き先も目的も言わずに旅をし、土産だと言って持って来た餡が入った紅白のお餅、二つ目は常連客で茶道家の妙から、1992年にエリナというロシア人女性が持ってきたボルシチ、三つ目がこいしと一緒に食堂を始める福村寛から、カレーうどん。
番外編として、鴨川親娘が巡った各地のオススメのお店が紹介されています。

鴨川家族にまつわる人々の過去が明かされていくというお話でした。
マンネリ化していましたが、移転で新たになるのでしょうか。

澤村御影 『准教授・高槻彰良の推察9 境界に立つもの』
四月に深町尚哉は清和大学文学部史学科民俗学考古学専攻の三年生になった。
ゼミが始まり、親友の難波と一緒に高槻ゼミに入るが、尚哉は進路をどうするのか、まだ決められないでいる。
「第一章 トンネルの中には」
ゼミでグループで研究発表をすることになり、ゼミの男子学生たちで一緒にやろうということになり、みんなで動画サイトで話題の「幽霊トンネル」に行ってみる。そこで尚哉は耳元で「どうして」という女の声を聞く。
「第二章 黒髪の女」
高槻が授業で口裂け女とかまいたちの話をすると、大学の演劇サークルの代表から相談事が…。
主演女優がまるでかまいたちに切られたように、夜道でばっさりと髪を切られたというのだ。
「第三章 桜の鬼」
難波との関係がギクシャクしている尚哉を心配した高槻は、気分転換にと言い尚哉を旅に誘う。もちろん佐々倉も来る。
彼らが泊まった宿の近くに隠れた桜の名所があると聞き、夜桜見物にでも行こうかと話していると、従業員から鬼が出るから止めた方がいいと言われる。

高槻の父親が何者かに刺され、難波は尚哉の耳の秘密を知り、高槻をマークしているはずの警視庁捜査一課・異質事件捜査係から尚哉がリクルートされ、いよいよお話は佳局にさしかかります。

椹野道流 『最後の晩ごはん 兄弟とプリンアラモード』
芦屋駅の近くの「ばんめし屋」で働く五十嵐海里が久しぶりに実家に行くと、見知らぬ少女がいた。家族が自分に知らせずに引越しをしたのか、または兄の隠し子かと驚く海里だったが、彼女は母の養子だという。養子は兄夫婦が考えていたんじゃなかったっけ?
別の日、兄の一憲に呼び出される。兄は養親になることに『恐怖』を覚えているという。何故かというと、自分の資質に問題があり、その原因は海里だとのこと。
兄の話を聞き驚く海里。

今回は海里の兄の隠されたトラウマが明かされます。
お兄ちゃん、大変だったのね。今で言うヤングケアラーだったのね。
いい人と出会え、結婚できてよかったね。
少しマンネリか…と思うところもあったこのシリーズですが、今回は面白かったです。

どの本もそれなりに面白かったので、興味が持てたら手に取って読んでみて下さい。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://coco.asablo.jp/blog/2023/03/30/9573195/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。