タナ・フレンチ 『捜索者』2023/07/19



カル・フーパーはシカゴ市警の元刑事。
娘に起った事件の後から妻との間が上手く行かず、離婚した。
ウェブサイトで見たアイルランドの景色に惚れ込み、片田舎のアードケナルティ村にある廃屋を購入して、アイルランドに移住する。

ある日、誰かがカルの生活を監視しているのに気づく。
それはトレイ・レッディという十代前半の子で、何か事情がありそうな様子を察したカルは廃屋の改修作業を手伝わせる。
トレイはカルが元刑事だと知り、失踪した兄のブレンダンを探してもらいたかったのだ。
トレイのことを不憫に思ったカルは探すことを約束し、ブレンダンの友だちやガールフレンドに話を聞きにいく。

やがてカルはブレンダンが自分の意志で村を出たのではないと思い始める。
そして一見平和に見える村だったが…。

カルとトレイがだんだんと心を通わせて、まるで父と子のようになっていく様子が微笑ましいです。
カルのトレイのような子に寄せる眼差しが温かく、そんな彼だからシカゴのような都市での仕事に消耗していったんだと納得できました。

「倫理(モラル)とマナーとエチケットの境界線」は何でしょうね。
カルのモラルの規範は「人のために正しことをするよう努める」ことだそうです。

謎解きが主ではないですが、アイルランドの自然と閉鎖的な村、そしてそこに生きる噂好きな村人たちが魅力的に描かれている小説です。
大きくなったトレイに会いたいと思いました。


<今週のおやつ>


エシレのガレットとサブレ。
美味しいですが、カロリーが多そうなので、たまにしか食べません。