アンデシュ・ルースルンド&ペリエ・ヘルストレム 『ボックス21』2023/07/17

制裁』に続く、エーヴェルト・グレーンス警部シリーズの第二弾。


エーヴェルトには二十五年前に恋人を殺されたという過去があった。
犯人はヨッフム・ラング。
ラングは裁判妨害や誘拐、傷害、殺人未遂などの嫌疑をかけられたのが二十回あり、有罪になったのはたったの三回。すべて短期刑で、他は証拠不十分で不起訴となっている。
そのラングが出所してくる。
同僚のスヴェンはラングと同じアスプソース刑務所に服役していた、ラングと親しいヘロイン中毒の男に尋問するついでに、ラングのことを聞いてみようと持ちかける。

その頃、ポン引きの男に激しい暴行を受けた売春婦が病院に搬送された。
売春婦はリトアニア人でリディアという名だった。
彼女は騙されてスウェーデンに連れてこられて売春婦となったのだ。
意識を取り戻した彼女は思いもかけないことをする。
医師たちを人質にし、遺体安置所に立て籠もったのだ。
彼女の意図はいったい何なのか…。

エーヴェルトが現場の指揮を執ることになる。

この小説が書かれてから19年ぐらいが経ちますが、今も旧ソや東欧の若い女性が人身売買と強制売春の犠牲者になっているのでしょうか。
後書きに「主に性的搾取を目的とした人身売買の受け入れ大国のひとつが、日本であるといわれている」とあります。
どうなのでしょうか…。

エーヴェルトは癇癪持ちの変わった人で、警察署に寝泊まりし、マルムクヴィストという歌手の歌が大好きで、大音量で流すという変な趣味があり、捜査では警察関係者を罵倒しまくるというのに、何故か認められているという人です。
エーヴェルトのおかしな行動は悲しい過去と関係があったのですね。

一見、福祉国家と言われ、日本よりも進んでいるように思われるスウェーデンですが、こういう闇の世界が広がっているのですね。
やるせない気持ちになるシリーズです。


<今週のおいしいもの>
ほぼ月一回で頼んでいるスコーンです。


ジャムがないので、クロテッドクリームだけで食べました。
スコーンには少し甘味が欲しいですね。ジャムを買ってこなければ…。