丸山正樹 『わたしのいないテーブルで』 ― 2023/07/21
デフ・ヴォイス・シリーズの四巻目。
四巻目が2021年8月に出ていたのに気づかず、今頃読んでいます。
2020年コロナ禍。
手話通訳士の荒井尚人の家庭もコロナの影響を受けていた。
刑事である妻みゆきの連れ子の美和は中学三年生になり、受験が控えている。
みゆきと荒井の子、瞳美は四歳になり、私立のろう学校の幼稚部に通っている。
みゆきは感染に怯えつつも仕事に行かざるをえず、荒井が通訳士の仕事を控えて娘たちの面倒をみている。
荒井の家庭は耳の聞えない瞳美がいるので手話で会話をしている。
だが、みゆきの母、園子は手話ができず、荒井が仕事で迎えに行けないときに、代わりに瞳美を迎えに行ってくれようになったのだが…。
そんな折、旧知のNPO法人「フェロウシップ」から些細な口論の末に母親を包丁で刺したという女性ろう者、勝俣郁美の通訳を頼まれる。
一旦は断ったが、状況が変わり荒井は引き受けることにする。
しかし拘置所で郁美は端から対話を拒んでいた。
彼女の心を開くために何ができるのか、考える荒井だった。
このシリーズを読むたびに、自分の無知さが恥ずかしくなります。
例えば、ろう児の親の9割は聴者で、ろう者の80%がろう者と結婚する。
昭和10年代に大半のろう学校が口話法を採用し、発話習慣や読話習得の妨げになるからと手話や筆談の使用が禁止されていた。
旧優生保護法のもとに不妊・堕胎手術を本人の同意も得ずにしていた。
他にもありますが、是非本を読んでください。
今でもありそうなのが、「ディナーテーブル症候群」です。
ろう者が聴者の会話に十分参加できず、疎外感を覚えている状態をアメリカ人のろう者であるデヴィッド・ミーク氏が「ディナーテーブル症候群」と名づけたそうです。
愛情や気持ちは伝わっているが、会話がわからないことによって、気持ちのつながりや家族のつながりが感じられなくなるのだそうです。
これはろう者だけの問題ではないように思います。
荒井の母の昔馴染み、長澤トキ子さんの言葉が重いです。
<人として生きていくのに一番必要なものは、何だと思う>
(中略)
<「自尊心」だと思う>
(中略)
<手話はな、私に自尊心を持たせてくれた。かけがえのないものだよ>
これから瞳美ちゃんが大きくなるにつれ、色々なことが起こるでしょう。
瞳美ちゃんが世の中にろう者と聴者がいることに気づいたら、どうなるのでしょう。
どう荒井たち家族が瞳美ちゃんに寄り添っていくのでしょうか。
続きを読むのがちょっと怖いですが、荒井家族のことを書き続けていって欲しいです。
シリーズの四冊の中で一番の傑作だと思いますが、できれば一作目から読んで下さい。お勧めのシリーズです。
<今日のわんこ>
暑いので、犬たちのために特別なウエアを買いました。
タンクトップよりも効き目がありそうなロンパースです。
ベストの方がよかったのですが、気づいたら売り切れでした。
意外と赤が似合う兄。
弟は濃い色が男の子っぽくていいかも。
日が当たらないようにスヌードで頭も保護できるようになっていますが、被った姿に笑いがこみ上げてきますwww。ゴメン。
脱がそうとすると、兄がものすごく怒ります。何ででしょうね。
旅行などの時に着せますわ。これに水をかけると涼しいそうです。
防蚊効果や遮熱効果、UVカットもあるそうです。
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