アンデシュ・ルースルンド 『三日間の隔絶』2023/12/07

グレーンス警部シリーズの八作目。


夏のある日、エーヴェルト・グレーンスはノックの音で起こされる。
十七年前にグレーンスが担当した殺人事件が起ったアパートメントで不法侵入があったというのだ。
何も盗まれてはいなかったが、十七年前に気づかなかった床の穴から何かがなくなっていた。

十七年前、その部屋で母親、父親、娘、息子の四人が殺され、五歳の少女が遺され、彼女は証人保護プログラムで新しい人生を与えられていた。
グレーンスが彼女の証人保護プログラムのフォルダーを開くと、全てのページが白紙だった。誰かが記録保管室から書類を持ち去ったのだ
少女に命の危険が迫っている、いやひょっとしたら殺されているのではないかと思うグレーンス。

一方、潜入捜査員を辞め、三人目の子どもが生まれたピート・ホフマンのところに、脅迫状が届く。
初めはホフマンの息子に手榴弾を、次は捜査日誌と機密情報報告書のコピーと非公式になっている侵入捜査員のコードネームをホフマンに送って来た。
この極秘文書はクロノベリの警察本部の保管庫にあり、警察内部の人間でなければアクセスできないはずだ。

脅迫者はホフマンに、FN BRG-15を使って犯罪組織を壊滅し、情報屋を使ってどんな武器で攻撃したのか、どこで武器が手に入るのかの情報を拡散するように要求してくる。
スウェーデンの裏社会で武器市場を牛耳ろうとする新参者なのか…。
だがどの組織?なぜホフマンを引き込もうとするのか?
ホフマンはもう犯罪に加担しないと決め、反撃の用意を始める。

アパートメントの不法侵入事件の数日後、十七年前と同じ手口で殺害された二人の男の遺体が見つかる。
その男たちは武器の売人で、十七年前の殺人事件の容疑者だった。

ホフマンが助けを求めてグレーンスの家に現れ、今度はグレーンスが潜入捜査をする番だと言う。
グレーンスは承諾する代わりに、ホフマンが17年前に起きた事件の容疑者たちを殺した犯人を探るという交換条件を出す。

やがて三人目の容疑者が殺され、残るは一人となる。
その一人を勾留できるのは三日間のみ。
グレーンスとホフマンの残された三日間が始まる。

読み始めましたが、ホフマンの家族のことになるとなかなかペースが上がらず、口直しに他の本を読んでしまいました。
子どもたちが被害にあう話ってかわいそ過ぎて嫌ですもの。
でも、グレーンスとホフマンの潜入捜査が始まると、スイスイと読んでいけました。
十七年前の事件が今に繋がっているのですが、その繋がり方が思ってもみなかったもので、悲しいものでした。

後半年で退職するグレーンス。
初めの頃は頑固な性格の嫌なおやじだと思ったのですが、この頃は子ども好きの意外といい人なんだなと思うようになりました。
子どもに好かれる人に悪い人はいないと思うのです。
アンニと子どものことがなければねぇ…。
ワーカホリックですので、退職後の生活をうまく描けないようです。
ボッシュのように探偵にはなれないのかしら?

ラストが切なくなるお話です。
シリーズですが、続けて読まなくても、これだけ読んでもいいと思います。