中山七里 『絡新婦の糸 警視庁サイバー犯罪対策課』2023/12/28



廃業しようと思っていたラーメン屋に客が殺到。
若手俳優はヘロインを吸引していたことをツイートでバラされる。
ネットの投稿者はアカウント名<市民調査室>。

<市民調査室>はグルメ情報からフォロワーたちの悩み相談まで引き受けている、いわゆるインフルエンサー。
まっとうな意見の持ち主で、情報が正確なことから熱狂的なフォロワーを獲得していた。
しかし、<市民調査室>が根も葉もない大学の理事長の脱税疑惑や政治家のスキャンダルをツイートし始める。

警視庁サイバー犯罪対策課の延藤慧司は<市民調査室>に胡散臭さを感じ、監視していた。
理事長から被害届が出たので、<市民調査室>をネットの扇情者とみなし、特定しようとするが、なかなか判明まで至らない。
そんな中、<市民調査室>から廃業見込みとツイートされた高級旅館の経営者夫婦が自殺をする。
延藤は必死に捜査を続けるが、今度は彼が標的に…。

現在のネット社会の危うさが書かれています。
フェイクニュースかどうか、どうやって判断したらいのか。
情報の漏洩やプライバシーの侵害、匿名の悪意をどう防げばいいのか。
これといった解決法はまだありません。
一旦ネットに載ってしまえば、それがガセであっても真実とされてしまいます。
たった5%の意見だと言われても、標的にされた本人にしたらとんでもないことです。
ネット断ちをするのがいいのでしょうか。
でもテレビや新聞などのマスコミも信用ができませんからね。

サイバー犯罪は「群衆によるリンチ」で、「精神的な完全犯罪」であると中山さんは書いています。
リツイートしたりコメントなど書くときに、このことを念頭に置いてもらいたいものです。

最後の犯人が判明するところがあっけなくてイマイチでした。
この頃、書きたいことが沢山あって、どんでん返しや犯人特定がいい加減になっていないですかぁ、笑。
シリーズになるのかな?次に期待しますね。